テレアポは、見込み客リストを作成後、実際の商談へつなげるための重要な営業活動となります。
ただ、法人営業のテレアポは個人営業とは異なり、会社に対するアプローチのため、かなりのプレッシャーがかかります。苦手意識をもったりモチベーションがなくなってしまう営業マンも多いでしょう。
そこで今回は、法人向けのテレアポのコツやアポ取り成功のテクニックを紹介します。本記事を読んで、実際のテレアポ営業へのモチベーションをキープしながら、営業力アップへつなげていきましょう。
法人向けテレアポと個人向けテレアポの違い
法人向けテレアポも個人向けテレアポと同様、営業マンの実力が大きく影響します。実力とは、営業成績や営業トーク、顧客との関係づくりなどです。
法人営業では、個人の実力に加えて会社のブランドや信頼性などの影響を受けやすいといえます。営業に自信があり、豊富な経験をもった営業マンであっても、会社のブランドや信頼性が低ければ、テレアポで応対されません。
また、法人の場合、最低購入額が数十万から億単位になる案件があるため、短期で成約されにくい営業といえます。加えて、個人向けよりリストが限定されやすく回数をこなしにくい点も、法人向けテレアポの特徴です。
法人向けテレアポの悩みや課題
ここでは、法人向けテレアポの課題を洗い出してみます。各場面における突破口の開き方が難しいというのが課題です。受付、担当者、メンタル面に関する課題の順に解説します。
受付突破が難しい
各部署の詳しい仕事内容や他社との関係性を、受付が詳しく把握している場合は少ないかもしれません。また、各部署の仕事が滞らないよう、必要な電話を見極めてつなげるのが受付の仕事ですから、担当部署の担当者名を知らないと分かれば、簡単に取りついでくれません。
受付スタッフは、電話の必要・不要を判断し、自社営業マンの時間を確保するために、電話の相手や内容を審査しているといえます。電話をかける営業マンは事前に下調べやトークの準備して、審査に合格するよう努めなければなりません。
担当者からアポが取れない
自社商品やサービスのメリットを知ってもらい、実際の商談の場へつなげるには、営業担当者は最も重要な存在です。
しかし、営業部署の担当者によっては、自社商品やサービス案件に合わない可能性もあります。最適な担当者につなげられなければ意味がありません。事前調べが不十分であれば、たらい回しされるだけで、取り次いでもらえない場合もあります。
難し過ぎて気持ちが折れる
受付を通して担当者に取り次ぐまでの関門や課題があるため、個人営業以上に、方法も結果もさまざまです。大口であれば、1回断られてその後はしない…ことはありえません。上司から叱咤激励されて何度も電話をしても、うまくいかなければ気持ちが折れてしまうでしょう。
回数をこなせれば熱意で受け取ってもらえる場合はあります。ただ、その可能性に甘えずテレアポの分析を行い、改善して再び電話する必要があります。PDCAサイクルの地道な実践が大切になるのです。
受付突破→アポ取りのための要素
受付突破からアポ取りまでの要素は「信頼性」「共感と傾聴」「行動力」の3点となります。
信頼性とは、担当者につながる前の受付への対応からスタートします。言葉遣いや声のトーンなど、自分目線ではなく、相手にとって聞きやすく受け入れやすい言葉で話しましょう。
共感と傾聴は、信頼性ともつながります。自分の話を一方的にするのではなく相手の話に耳を傾けます。相手の話す言葉の意味を徹底的に理解する…丁寧過ぎるくらいの姿勢が大切です。
行動力とは、テレアポを成功させるための大切な要素です。「数うちゃ当たる」といわれますが、やはり行動し続けなければ、実際の訪問目的を果たせません。
これら3点を念頭に、次章からテレアポのコツを解説します。
テレアポのコツ【法人営業】基礎編
まずは、基礎編として、だれもが身につけたい、あるいは用意しておきたい要素を解説します。
ビジネスマナーを守る
まずは、ビジネスマナーを守りましょう。テレアポでは、容姿が見えない声だけの対応となります。見えないからこそ、イメージをよくするためにどうしたらよいのか神経を使います。
たとえば、次の点に気をつけましょう。
・挨拶や自己紹介は、はっきりと丁寧に
・要件はまとめて短く
・声のトーンは相応に
・しつこすぎない
挨拶は「初めまして」より「いつもお世話になっております」の方が、既に取引している雰囲気を出せます。
相手も忙しいでしょうから、挨拶のあとの導入から単刀直入に電話をした目的を率直に話します。声のトーンは明るい方がいいでしょうが、年相応の落ち着いたトーンの方が聞きやすい場合があります。
ただ、電話では、声が低めに感じられる場合があります。訪問営業よりも若干高めを意識した方が、相手はさらに聞きやすいでしょう。
電話を切られそうになると、何とかしてつなげようとする方もいますが、しつこすぎるのはよくありません。すぱっと引き下がるのもビジネスマナーといえます。
精度の高い見込み客の選定をする
営業リスト(企業情報や規模、取引先など)を作成し、数値をもとにした分析を行いながら、成約率が高いと思われる見込み客の選定をしましょう。
自社商品やサービスが顧客にとってメリットがあるか、その効果はどのくらいかなども予測しておく必要があります。顧客ニーズと自社商品やサービスとの相性がよければ、テレアポから商談の場へとつなげやすくなります。
精度の高い見込み客を選定するには次の3点が有効です。
・既存顧客にアンケートをとったりインタビューをしたりする
・アポイントの取れた顧客のニーズをヒアリングする
・既存顧客やアポイントの取れた顧客の外部情報を分析する
現につながりのある顧客が自社との相性がいいといえます。相性のよさがどの点にあるのか、しっかりと分析することで、新規顧客の獲得につながります。
企業や営業担当者のリサーチをする
企業情報や営業担当者の情報をできるだけ細かくリサーチして、トークスクリプトの作成に活かすのも大切です。
受付を突破し担当者につないでもらうまでは、確かに難関です。ただ、企業や担当者のリサーチを徹底的にしておけば、トークに要素を盛り込めます。
共通の話題を知っているだけでも、相手の共感を引き寄せる要素となります。その場限りでなんとか切り抜けようと思わず、事前準備である丁寧なリサーチは重視しましょう。
トークスクリプトを作っておく
個人や法人と問わず、テレアポをする前に、トークスクリプトを作成しておきましょう。トークスクリプトとは、電話で行う営業の台本をさします。挨拶&自己紹介→導入トーク→本題→クロージングの流れで進めます。
トークスクリプトは、テンプレートを用いるのが通例です。商品に関する説明にブレが生じないようにしたり、テレアポをする際に自信をもって話したりできるようにするためです。
トークスクリプトに、断られた際の切り返しを加えれば、スムーズに話をつなげたり、しつこくなりすぎない言葉で返したりできます。また、改善をすぐに記録できるため、トークスクリプトや営業トークの質を向上させられます。
断られたときの返答の仕方を用意する
先ほどお伝えしたように、テレアポで断られそうなときの切り返しポイントをリストアップしておくのは有効です。
電話を切りたがっている相手を無理に引き止めないようにします。適切な切り返しをすれば、普通のテレアポとは違うアプローチの仕方で顧客との関係性を保てるかもしれません。
たとえば、資料を送付できる旨を伝えたり、電話の約束を取り付けたりします。「自分は担当ではない」と返されたときは、取り次いでもらえる担当者名や連絡先を確認できるといいでしょう。
テレアポのコツ【法人営業】応用編
ここでは、基礎編をもとに、難関突破のための+αのコツを解説します。突破口を開き、商談への場へつなげるためのコツです。
電話では出し惜しみをする
何度もテレアポするのを前提として、焦らず前進しましょう。「数をこなすのが当たり前」の認識で進めます。これには、1回のテレアポですべてを話してしまわないようにするのもコツです。
法人向けテレアポも、アポ取りが主たる目的です。「もう少し詳しく話を聞きたいなあ」と思ってもらえる程度で話を止め、相手の興味を喚起できるように努めます。
電話ですべて話すと、商品やサービスの必要性まで判断されるため、実際のアポ取りにつなげる意味がなくなってしまいます。
ただ、出し惜しみし過ぎて、商品やサービスを購入(利用)するメリットを顧客に伝えないのはよくありません。見えない相手の言葉や真意を読み取りながら、ポイントを絞って話すようにします。
顧客のニーズを掘り起こす
法人向けテレアポで「ぜひ会って話が聞きたい」と思ってもらえるためには、顧客のニーズを探る姿勢が重要です。
テレアポで一方的に自社アピールをすれば、相手は引いてしまいます。営業は「自分が話をするよりしての話を聴く」ことでうまくいきます。相手が話したくなるような聞き方ができると、顧客のニーズを掘り起こせます。
顧客からニーズに関する話を聞き出せれば、そこに自社商品やサービスの価値をつなげられます。ただ、テレアポでは「ニーズと価値の合致がありそうだ…」というニュアンスにとどめましょう。
「具体的な説明は訪問で」がテレアポの鉄則といえます。
トークスクリプトを活用しテンポよく話す
前章でお伝えしたように、トークスクリプトのテンプレートを活用し、テンポよく話すように努めます。切り返し方も、テンポよく、です。
「自分は話し方がたどたどしいから心配だ」と思う方もいるでしょう。ただ、こうした不安を取り除き、スムーズに話せるようにするのが、トークスクリプトの役割といえます。
相手はトークスクリプトの存在を知りません。テレアポで心がけるのは「トークスクリプトを読んでいるのが分からないようにトークする」ことです。
話し方に不安がある方は、トークスクリプトの内容を改善し、自分が話しやすいテンプレートにしておきまます。そして、俳優や女優のように、何度も練習しましょう。
トークスクリプトを充実させトークの練習を重ねるのは、営業力の向上につながります。
話のタイミングや間を意識する
テンポよく話をするのが大切とはいえ、タイミングや間のおき方に注意を払うのは重要なポイントです。タイミングとは電話をかける時間帯で、間のおき方は実際のトーク場面にあります。
昼食時や退勤前のテレアポは避けましょう。自分が「このタイミングでテレアポ?」と嫌な気持ちになる時間帯は外すのがマナーです。
ただ、会社や担当者によっては、時間帯が微妙に異なる場合があります。労働形態も含めて、会社情報をできるだけ詳しく調べておくのが先決です。
また、トーク中の間の取り方は重要です。相手が忙しいからと矢継ぎ早に話をすれば、しつこい勧誘のだと思われます。質問した際に「相手が考えている」と思う場合は、焦らず待ちましょう。相手と呼吸を合わせるように努めます。
受付突破→アポ取りが成功しない場合の対処法
ぜひアポ取りを成功させたいと思っても、企業との接点がなかなか見つからない場合があります。ここでは、結果を出せない状況が続いたときの対処法を紹介します。
目的を明確にする
目的をもう一度見直し、戦略を立て直します。法人向けテレアポの目的は、見込み客とのアポ取りです。テレアポでクロージングトークを目指す必要はないのです。
「商品やサービスのよさを知ってもらい、契約へつなげよう」と強く思えば思うほど、相手に押し付けがましい印象を与えます。警戒されてしまっては、次回以降のテレアポでアポ取りの可能性を狭めてしまっては目的を達成しえません。
「テレアポの目的はアポ取り」を明確に認識して電話をしましょう。
自社商品が顧客のメリットにつながるか確認する
まずは、顧客関係管理ツールなどを活用しながら、企業情報を徹底的に洗い出します。
企業が困っているだろう情報をつかめるかもしれません。困っているのは「ニーズ」そのものですから、ニーズを満たすのに自社商品やサービスが必要となれば、両社の利益が合致します。
また逆に、両社の利益を合致させるために必要な自社商品やサービスの改善点が見えてくるかもしれません。商品に最大の魅力があれば、相手先のニーズを満たせるでしょう。
つまり、モチベーションが下がってしまうときこそ「見えにくい部分を見えるようにする」のです。自分がやるべきモノやコトが可視化されれば、行動にうつしやすくなり、モチベーションも少しずつ上がっていきます。
営業トークを改善する
大切なのは、トークスクリプトを改善したり話し方の練習をしたりする姿勢です。
テンプレートにするのは、話しやすくさせる意図がありますが、もう一点、改善しやすいためです。顧客の怒りを招いてしまった場合は、すぐに改善して社内で共有すれば、質のよいトークスクリプトをキープできます。
また、自身のトークを客観的に評価してもらう機会を設定します。結果が散々なものでモチベーションがさらにダウンしたとしても、アドバイスをもとに改善するしかありません。
一気に直していくより、一つずつ改善する姿勢でいいのです。「昨日より今日をよりよく」と思って取り組みましょう。
テレアポ【法人営業】のモチベーションが保てないときは
どうしても結果を出せないときはどうしたらよいか、悩む方もいるでしょう。ここでは、モチベーションの保ち方について解説します。
上司や同僚に相談する
自身でどうにかしようと思っても、また実際に行動におこしても、うまくいかない場合はあります。この状況を脱却するには、人に相談することも必要です。
昨今は、営業の属人化(一人の優秀な営業マンに頼り切ってしまう状況)を回避するチームづくりが推奨されています。相談する場合は、まずは上司にしましょう。仕事上の課題として理想と現実とのギャップを明確にしながら話します。
上司に相談しにくい場合は、信頼のおける同僚(先輩)にします。上司や先輩が、チームで対応してくれるかもしれません。
個人の課題だと思っていた内容が、ほかの営業マンも同様の悩みをもっている可能性さえあります。一人で抱え込まず「営業チームの一員として」の意識で対応しましょう。
テレアポの習慣化をめざす
がんばらねば!と意気込むより、テレアポの習慣化を目指します。具体的な行動目標を立て、実践できたことを自ら認める習慣をつけるのです。
たとえば「毎週月曜日の〇時から〇時はテレアポタイムとして集中してやる」「月初に10件アポ取りをめざす」「今月はまずは数をこなす」など、まずは達成度の高い目標設定をします。
重要なのは「できた」の感覚をたくさんもつことです。モチベーションは、実際に行動し、成果を認識する過程で生まれてきます。
まとめ
法人営業は、商談の場へ持ち込めるかどうかがポイントです。その前段階としてテレアポは、重要な役割を担います。
確かにプレッシャーはありますが、うまくいかないのが当たり前と思い、うまくいくための策を考え実行し続ける姿勢が必要です。
試行錯誤しながら続けてもうまくいかない場合は、何かしらの原因があると考えましょう。原因がどうしても分からない場合は、上司や同僚の助言を求めるのもモチベーションをキープするコツです。
テレアポを通して「信頼性、共感と傾聴、行動」の姿勢を身につけられれば、これら3つスキルは商談の場でも活かせます。今回紹介したアポ取り成功のコツをもとに、よりよいと思うことを見つけながら実践していきましょう。