営業の目標はまず、アポイントを取ること(アポ取り)です。その第一関門がテレアポや営業メールといえます。ビジネスマナーを守り、営業のコツを知って実践に移すなど、地道なアプローチでアポを獲得したいですね。
しかし、実際のアポ取りは簡単ではなく、営業の手法や流れを改善しても、一気に成約率を上げられません。
そこで今回は、アポ取りの困難さを少しでも解決するために、知っておくべきマナーや事前準備、プラスαの工夫について解説します。まずは、アポ取りに関する概要説明とアポ取りの難しさを説明します。
アポイントとは?
ここでは、アポイントの必要性とアポ取りの難しさの背景について解説します。アポイントを取るには、電話とメールの2種類の方法があります。
電話やメールを通して商談の場を設定するのですが、個人宅と法人へのアプローチの仕方は異なります。個人宅へは電話、法人営業には電話とメールの2種類を適宜使い分ける必要があるでしょう。
電話とメールの難しさなどについても解説しますので確認してください。
電話でアポイントを取る場合
電話営業でアポ取りの必要性と難しさについて説明します。
電話でアポ取りが必要な理由
電話営業をするのは、商品やサービスの情報を顧客に伝えるためです。アポ取りをするにも、顧客が商品やサービスの名前さえ知らなければ、成約につながるアポイントは取れません。
電話営業で商品やサービスを紹介することで、顧客に初めて興味をもってもらえるのです。商談の場へつなげるための大切なステップといえます。
電話でアポ取りが難しい理由
電話でアポ取りが難しいのは、顧客の電話に対するイメージがネガティブであるためです。自社商品やサービスの価値を伝えようにも、初コンタクトの段階で、つまづきやすいといえます。
また、非対面でのアプローチは、信用されない可能性が高く、突破するにも相当のスキルが求められます。
メールでアポイントを取る場合
電話営業とは別に、メールで営業をかけるのもインサイドセールスの一つです。メール営業の必要性と難しさを解説します。
メールでアポ取りが必要な理由
営業メールを使う理由は、顧客に自社や商品に関する情報を端的に伝えやすいためです。メールの”突破口”といえば、件名でしょう。件名に工夫を加えれば開封してもらえる可能性が高まります。
開封してもらえれば、会社名や担当者名、商品やサービスの概要説明、日程調整など、必要な情報をすべて相手に伝えられるのが、メール営業のメリットといえます。
メールでアポ取りが難しい理由
メールでアポ取りが難しいのは、顧客に迷惑メールを思われ、開封されにくいためです。また、たとえ開封されて内容を把握してもらっても、忙しさや対応のわずらわしさから返信してもらえない可能性もあります。
メールでアポイント日程調整の依頼をしても、スケージュールを確保できないかもしれません。再アプローチのタイミングやアプローチの可否さえ分からない点が、メール営業の難しさといえます。
電話でアポイントを取るために必要なマナー
ここでは、電話でアポ取りの率を上げるために必要なビジネスマナーを整理します。基本的なマナーを確認して実際の電話営業に活かしましょう。
アポ取りの基本的な流れを確認する
アポ取りを目標に掲げつつ、基本的な話の流れはあらかじめ確認しておきます。自己流ではなく、トークスクリプトを用意しておくと間違いがありません。
トークスクリプトとは電話営業における台本のようなもので「挨拶&自己紹介ー導入トークー本題ークロージング」の流れに沿っています。
ただ、トークスクリプトを棒読みするようでは相手が違和感をもちます。何度も練習して身体にしみ込ませ、自然な営業トークをめざしましょう。
テレアポをする時間帯に気を配る
電話営業をかける時間帯に気を配ります。相手が不在では電話をかけても無駄になり、忙しい時間帯であれば相手に迷惑となるためです。
電話をかける場合は、顧客情報を分析しつつ、できるだけ迷惑にならない時間帯にかけるようにします。たとえば、小さいお子さんのいる個人宅に電話をかける際は、保育園の送迎時間帯を避けましょう。法人営業をする場合は、朝のミーティングや昼食時、退庁前の時間帯を外すのが賢明です。
声の大きさやトーン、言葉遣いに配慮する
営業トークは、顧客に内容がしっかり伝わるように話す必要があります。暗く、ぼそぼそと話しては、伝わらないばかりか、不信感を抱かれます。
明るめがいいとはいえ、声が大きすぎたりトーンが高すぎたりすれば耳障りです。どのくらいの声の大きさやトーン、速さがいいのか、事前に社内で確認し合うのも大切です。
また、言葉遣いは丁寧に、正しい敬語を使うように心がけましょう。
トークが冗長にならないようにする
個人宅・法人営業問わず、相手の貴重な時間を取っていると考え、要点を押さえて手短に話すのは大切なマナーです。
トークスクリプトの流れに沿っているとはいえ、たとえば挨拶や自己紹介などで冗長な印象を相手に与えると、「今、忙しいので(ガチャッ)」と電話を切られる可能性があります。
肝心の本題に入れなければ電話営業の意味がありません。端的にテンポよく営業トークができるように何度も練習します。
結果によらず最後まで丁寧に
電話の対応は最後まで丁寧に行うのが鉄則です。
話が弾み、クロージングで日程調整までたどり着けたとしても「やっぱり今回は遠慮します」と言われる可能性もあります。「もしもよろしければ、お断りする理由を教えていただけますか」とたずねましょう。今後の改善の視点を得られるかもしれません。
最後まで丁寧な対応をすれば、縁はつながります。いつでも、どこでも、最後まで誠実な対応を心がけましょう。
メールでアポイントを取るために必要なマナー
電話営業と同じ側面もありますが、メールならではのマナーがあります。アポイントへつながる要素ですので、しっかり確認しましょう。
メール内容が分かる件名を付ける
件名は、メールにおける「第一印象」です。相手の興味を引き付けるような件名にする必要があります。単に「○○について」と書いてある件名は顧客はスルーし、関心がなければ削除されるでしょう。
また、どこから送られたメールか分かるようにするのも大切です。
たとえば、「新規サービス〇〇システムのご案内~営業管理をよりスムーズに~(株)〇〇会社」のようにすると、目的や内容、差出人が明確で、相手の目に留まりやすくなります。
おおよその流れを決めておく
電話営業にトークスクリプトがあるように、メールに関してもテンプレートを用意しておくと便利です。社内で共有テンプレートがあれば、営業におけるブレをなくし、顧客にとっても分かりやすい内容となります。
流れとしては「宛名ー挨拶と自己紹介ー主旨(メール送付の目的)ー本文(商品の案内やメリットなど)ー結び(挨拶と日程案内など)ー署名」などが考えられます。
文章は簡潔に分かりやすく書く
読んでもらえる文章は、伝えたいポイントだけを分かりやすくまとめて書かれたものです。顧客がメール全体を見て「コンパクト」と感じられれば、忙しくても通して読んでもらえます。
しかし、件名に興味をもって開封したとしても、長い文章が続いていれば読まれない可能性があります。一文が短く要点を押さえた書き方を心がけましょう。
正しい日本語と敬語で丁寧に
メールは電話と異なり、何度も読み返せます。詳細をすぐに確認したい場合とても便利なのですが、逆に気をつけるべき点があります。誤字脱字があったり、間違った表記がされたりしていないか確かめます。
また、心証を悪くしないよう、敬語を使って丁寧な文章を心がけましょう。アポイントにつなげるには、相手に対する敬意がしっかり伝わり、自社や営業担当者である自分に信頼をもってもらうことが重要です。
アポ日程の提示は選択肢を示す
メール営業の目的はアポ取りにあります。この点を忘れずに、商談を視野に入れた文章を考えます。本文の終わりに、アポイントや説明会の日程調整に関する情報を追記するのです。
日程調整は、相手が選択できるよう複数の候補日を挙げておくのがポイントです。アポ取りの可能性を広げるための有効な策ですから、念頭におきましょう。
アポイントを取るために必要な事前準備
前章までの内容は、お客様の立場での対応の仕方やマナーでした。本章では、電話やメールなどの方法問わず、アポ取りに有益な対処法を解説します。
相手目線をキープしつつ、自社にとってのメリット(アポ取り)を得るための重要なポイントです。
自社商品・サービスの価値を把握する
電話営業は、非常に短い時間で自社商品やサービスのアプローチをしなければなりません。事前に自社商品やサービスに関する知識や価値について、しっかり調査する必要があります。
また、自社商品やサービスと同類の商品を扱うライバル社や業界情報など、社会動向と合わせて把握しましょう。事前に知識や情報を得ることで、営業トークやメールの文面に顧客が興味をもつ内容を盛り込めます。
精度の高いリスト作成や情報収集をする
いくら架電数を増やしても、なかなかアポ取りの率を上げられないのが現状でしょう。ただ、成果につながりにくいとはいえ、見込み顧客を獲得するためのリストを作成したり顧客情報を集めたりする作業は重要です。
自社のターゲットとなる顧客とはまったく違う路線の顧客に電話をかけるのは、時間と労力の無駄になります。また、商品やサービスを利用する機会のない会社に、メールでアピールしても「的外れなメールだなあ」と判断され、自社の信用を落とす可能性があります。
1回の電話やメールに必ず意味を持たせられるよう、事前準備はしっかり行います。
需要を把握するための要素をトーク(文面)に入れる
自社商品・サービスは顧客や市場にどのように評価されているのか、どのくらいの需要がありそうかなど、電話やメール営業を通して把握する姿勢は大切です。
顧客が現に利用している商品や「もっと〇〇であればいいのに」と思う話(ニーズ)をたずねるトークや文面を入れるのも一つの工夫です。
もし、電話や返信メールで断りやネガティブな内容のトーク(文面)があったとしても、自社に有益な情報として一旦は受け止めます。
日程調整が即時できるようにしておく
日程調整がいつでもできるように準備しておきます。電話やメールでの対応で、顧客に興味をもってもらった際、タイミングを逃さず商談の場へつなげることが重要です。
電話の場合は、話の流れや信頼関係の構築状況によりますが、さらに詳しい商品説明ができる機会を提案します。この際は、日程調整が即時できるように「調整→決定」できるようなシステムを導入しておきます。
アポイントを取るためのスキルアップ
インサイドセールスに営業ツールやシステムなどを導入しながら、アポ取りを効率的に獲得する企業が増えています。ただ、ツールやシステムで情報をまとめたり管理したりできても、実際のアポ取りは営業マンの手腕にかかっています。
アポイントを取るためのスキルアップは、いつの時代も必要です。たとえば、下記にあるようなアポ取りのためのスキルアップを行いましょう。
- 顧客を尊重しつつ、主導権は握る姿勢
- 詳細は伝えずに興味を引き付ける
1つめは、相手目線と自分目線のバランスです。目的はアポ取りですから、相手目線で顧客の話や立場に寄り添いつつも、自社の業績につながる一押しは必要となります。この際、ゴリ押しではなく、相手のニーズが自社商品やサービスの価値と合うかどうか見極めることが重要です。
2つめは、商品やサービスの説明を完了してはならないという意味です。「もう少し詳しく話を聞きたい」と顧客に思ってもらえるところで、一旦留め置くのがコツといえるでしょう。「お楽しみは実際に会ってから」の感覚を残しておくのです。
このように、営業は人と人の心理作戦といいましょうか、顧客とのやり取りを極論”楽しめるようになる”と、仕事に対するモチベーションも上がるでしょう。
スキルを身につけるには、経験も重要な要素となります。架電数をこなすのは、それなりに意味があるのです。大切なのは、数をこなしながら分析したり改善策を考えたりして、必ず次の営業に活かす姿勢です。よくいわれるPDCAは、意識して実践に移すことで回っていきます。
営業にも失敗・成功はつきもの。いずれにしても事後の記録をしっかり残し、改善点を洗い出しては実践を繰り返すのです。この過程で仕事術が向上すると考えます。
まとめ
アポ取りが難しいのは確かな事実です。しかし、電話やメールでのインサイド的アプローチがなければ、アポ取りの率を上げるのは不可能といえます。
アポイントを取ってこそ全体が前に進み、直接の業績アップにつながります。そのためにも、まずはインサイドセールスの質を上げるのが重要なのです。
この点を念頭に、事前準備やマナーの確認を行いつつ、PDCAサイクルを回しながら電話とメール営業のスキルアップをめざしていきましょう。