「ジョハリの窓」わかりやすく解説!4つの窓で円滑マネジメント

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ビジネスでも必要なコミュニケーション力をつけるためには、自分の思いを分かりやすく伝えたり相手の考えを理解しようとしたりする姿勢が必要です。

今回紹介するのは、自己分析や他者理解、そして自己啓発に役立つ「ジョハリの窓」。多くの企業研修で取り入れられており、人材育成や組織マネジメントにも活用されています。本記事で改めて「ジョハリの窓」を見直し、意味や効果を確認しましょう。

また、後半では具体的な実践方法と注意点について解説します。「ジョハリの窓」を正しく活用することで、自分や組織のマネジメントをスムーズに行えます。ぜひ最後までお読みください。

「ジョハリの窓」とは?概要と効果

「ジョハリの窓」とは、アメリカの心理学者ジョセフ・ルフトとハリ・インガムが考案した自分を分析する際に使うモデルを指します。

ほかの人とのコミュニケーションをスムーズに行うために作成され、「自分から見た自分」「他者から見た自分」の2つを使って分析するのが特徴です。

分析によって「周囲にどのくらい自分をオープンにしているか」を知れます。自分自身を客観視でき、今後何をどうすればよいのか具体的な方向性が見えるのです。

「ジョハリの窓」の大きな効果として次の2点が挙げられます。

  • 自分と他者の認識のずれを確認し解消できる
  • 他者との関係性をよりよくし信頼関係をつくれる

のちに紹介する4つの窓が分かると、「自分が思っているより自分のことが分かっていない」「意外にほかの人は私のことを〇〇だと思っているんだなあ」など自己分析や他者理解が進みます。自分と他者との間にある”ずれ”に気づけば、溝を埋めるにはどうしたらいいのか考えられるようになるでしょう。

「ジョハリの窓」は、自分の課題を見つけ改善の方向性を探るために必要なモデルといえます。また「ジョハリの窓」のワークでは、普段はなかなか表現できない思いをオープンにできるため、参加者との距離感を縮められます。

チームワークが求められる場面で「ジョハリの窓」を活用すれば、互いの理解が進んでチームワークを取りやすくなります。チーム内の風通しがよくなり、アイデアを共有したり課題を共に解決したりできるため、業績をさらに向上させられるでしょう。

「ジョハリの窓」は4つ

「ジョハリの窓」は、基本的に「自分が知っている・気づいていない」「他人が知っている・気づいていない」に切り分けたシートに、開放・盲点・秘密・未知の4つの窓が設定されています。「ジョハリの窓」のワークを紹介する前に、各窓が示す意味を解説します。

開放の窓(open self)

開放の窓は、自分も他者も知っている「自己」を表します。開放の窓が広い(該当する項目が多い)人は、組織内で比較的オープンに自分を出している人です。いつも自然体で開放の窓が広く、親近感を抱きやすいといえるでしょう。

また、開放の窓が広い人は、ストレスそのものを感じにくい人といえます。開放の窓が狭い人はストレスをもっているケースが多いため、”自分と他者との認識のずれ”をできるだけ解消してストレスを軽減するようにします。

秘密の窓(hidden self)

秘密の窓は、自分は分かっていても他者は知らない「自己」を表します。たとえば、コンプレックスやトラウマなど、他者には決して伝えられないことが多い場合は、秘密の窓が広くなります。自分をオープンにできていない状態といえます。

コンプレックスやトラウマなどは他者に話せるものではなく、すべてをオープンにするのは難しいかもしれません。しかし、できそうなところから少しずつ自己開示を進め、秘密の窓から開放の窓へと移せるようにします。

盲点の窓(behind self)

盲点の窓は、他者が分かっていて自分が気づいていない「自己」を指します。自己評価と他己評価がずれている場合は、盲点の窓が”広く”なります。

盲点の窓の該当内容が広い場合は、自己分析があまりできていない可能性があります。他者の評価に対して「絶対そんなことはない」と否定するのではなく「意外だけどそうなんだ…」と受け入れることが大切です。

他者に耳を傾け、該当項目を盲点の窓から開放の窓に移す取り組みを始めるといいでしょう。

未知の窓(unknown self)

未知の窓とは、自分も他者も知らない「自己」となります。これは「誰にも分からない」世界です。「もしかしたら〇〇かもしれない」と考えたり「自分には未知の可能性がある」と信じて探したりして、見えていない自己を認識します。

未知の窓を狭めながら、実際に開放の窓へと移行していくには、今までとは違う体験をしながら自分と他者の両方が認める「自己」を発見する姿勢が必要になります。

「ジョハリの窓」の効果的な使用方法

4つの窓をもつ「ジョハリの窓」を効果的に使うにはどうしたらいいのか、ここでは組織マネジメントで効果を出すための正しい使い方を紹介します。まずは3つの方法を確かめましょう。

紙とペンで自由に記述する

「ジョハリの窓」は紙とペンがあればできます。自分や他者に対する認識を自由に表現しましょう。まったく自由な記述にすると詳しい内容が手に入りますが、限られた時間でワークを行う場合、分析に時間がかかり大変になります。

そのため、社内で行うグループワークの場合は、性格や能力に関する多彩な評価項目から前もって業務の関連項目を選択しておきます。この方がスムーズにワークを行えるでしょう。

一般的な項目から該当内容を選択する

人間の性格に関する言葉は1万以上あるため、仕事の特性や業種に必要なスキルに関連する言葉を選びます。記述内容を事前に擦り合わせておけば、ワークの時間内で認識のずれを確かめることができます。

「聞き上手」「独創性がある」「挑戦心がある」などの言葉が、あらかじめ選択肢に提案されていれば、各人があまり悩まず選択できるでしょう。自由記述よりもスムーズに評価を行えます。

ただ、決められた表現で評価するしかないため、正確な回答が得られない場合があります。ワークのあとに「なんだか納得できないなあ…」と違和感を抱けば、その後の自己分析や改善の方向性を探れなくなります。

一般的な項目から該当内容を選択する場合は、「ジョハリの窓」ワークの目的や実施後の方向性などを念頭において選ぶ必要があります。

無料診断アプリなどを活用する

無料診断アプリやツールを活用する方法もあります。複数名であっても、意外と簡単にオンライン上で診断できます。

Webアプリの使い方は簡単で、実施人数や名前を入力したのち、自分と相手の評価項目にレ点を付けていきます。その後集計され、4つの窓にそれぞれ評価項目が入っている「ジョハリの窓」表示されます。

アプリのよさは、莫大なデータをもとに分析するため精度が高く、確実に自己分析や自己啓発に役立てられる点です。しかし、実際に知らない”人”があなたを評価するため、すべてが正確といえばそうはいかないでしょう。

いずれにしても「ジョハリの窓」の使い方によっては、どこかに穴が生じたりデメリットを受けやすかったりする可能性があります。次章からご紹介する基本的なワークの進め方を参考にして「ジョハリの窓」の効果を充分に感じられるようにしましょう。

基本的なワークの進め方

本章では、ワークをどのように進めるのがよいのかを解説します。性格や能力などの項目は学者によって異なることも多く、ワークを始める前に慎重に評価項目を選ぶ必要があります。

そのうえで、ワークのために準備するものやワークの流れをしっかり確認します。ここで紹介する3つのポイントをしっかりチェックしてください。

各自2種類の紙を用意する

それぞれ2種類の紙を用意します。1枚めは、最終的に自分が完成させるための用紙で、2枚目は自分や他者の性格や能力を記入するための用紙となります。

1枚めは、格子状に4つに区切り、左上から時計回りに窓(開放→盲点→未知→秘密)を決めておきます。2枚めには、性格や能力に当てはまると思う要素を記入しましょう。

自由記述の場合は、2枚めの用紙は比較的余白のある紙を使います。ほかに、組織マネジメントに活用すべくあらかじめ該当項目を提示しておくといいでしょう。項目ボックスにレ点を入れるだけのスタイルにすれば、参加者があまり悩まずに評価をすることができます。

ちなみに、性格を表す言葉は1万7,950個(心理学者オルポートG.W.)にのぼるそうです。職場で行う場合は、仕事への姿勢や業務に必要なスキルなどに焦点を当てて項目を選ぶようにすれば、マネジメントに活用しやすいでしょう。

2枚めは参加人数分を用意する

グループワークの場合、2種類の紙を人数分用意します。グループで行うときは、2枚めの用紙に自分の氏名を書きます。項目があらかじめ決まっていれば、自分に当てはまる項目ボックスにレ点を付けましょう。

続いて、ほかの参加者の2枚めの紙(氏名が書かれたもの)に、それぞれの性格や能力に該当する項目にレ点を付けます。記入したのち、それぞれの参加者に用紙を戻します。

グループ内ですべての用紙に記入が終われば、自分の手元には自分で記入した2枚めの用紙とほかの参加者が記入した用紙が残ります。2枚めの用紙がすべてそろったところで、4つの窓が書かれた1枚めの用紙に集計しましょう。

1枚めの用紙に集計して結果をまとめる

1枚めの用紙に集計をし、自己分析や今後の方向性を探っていきます。自分の2枚めと他者からの2枚めの該当項目を確認する際は、次の視点をもとに分類しましょう。

  • 開放の窓:自分が✔、他者も✔を付けた項目
  • 盲点の窓:自分が✔を付けなかったが、他者が✔を付けた項目
  • 未知の窓:自分が✔をつけて、他者が✔を付けなかった項目
  • 秘密の窓:自分と他者双方が✔を付けなかった項目

上記の視点で、それぞれを1枚めの用紙に項目を振り分けていきます。グループワークの場合、参加者全員が作業をやり終えたところでフィードバックの時間を設定するといいでしょう。結果についての感想を出し合ったり気づきを共有したりする場があると「ジョハリの窓」のワークを価値づけられます。

「ジョハリの窓」ワークで気をつけること

ワークを行う場合、効果を最大限に出したり人間関係をよりよくするために知っておきたい留意点があります。やり方を間違えれば「ジョハリの窓」のメリットを感じられないばかりか、かえって人間関係に亀裂が入るかもしれません。本章で、しっかり確認しましょう。

関係が築けているメンバーで行う

「ジョハリの窓」では、自分が知っている「自己」と他者が見る「自己」の情報が必ず必要です。5~10人程度の参加者で行う場合も、互いに関係が築けているメンバーで行いましょう。

初めて会う人はもちろん、まったく異なる部署で働く人の間で「ジョハリの窓」を行っても、正しい評価が生まれません。評価しようにもよく知らない人どうしでは難しいためです。

同じ部署内、毎日顔を合わせる人どうしてワークを行いましょう。

項目はプラス的な言葉を選ぶ

人の性格や能力をあらかじめ決められた該当項目はプラス的な言葉を選ぶようにしましょう。

何事もネガティブに受け取りがちな人もメンバーにはいるため、項目内容の精選は必須となります。ただ、この点を気にし過ぎれば項目が極端に少なくなってしまいます。

たとえば、評価項目に「暗い」「落ち着きがない」などの明らかにマイナス的な言葉を使わないようにすれば、必要以上に参加者へ心理的な負担をかけないでしょう。

無理やり参加させない

組織マネジメントに「ジョハリの窓」を活用するとはいえ、強制的に参加させないようにします

自分のコンプレックスやトラウマをオープンに出せない人や周りに気を遣いすぎる人がいる場合、”絶対義務”だと受け取られないようにしましょう。

事前に「ジョハリの窓」の目的や流れを全員に説明したうえで、各自が参加・不参加を選べるようにする配慮が必要です。

ワークをさせっぱなしにしない

ワークのあと、個人で結果をまとめさせただけで「終了」としないようにします。できることなら、自分の気づきを交流させる場があるといいでしょう。「新たな気づきを得られてうれしい」と思う人がいれば、ほかの参加者もうれしくなります。

また「私は〇〇だと思っていたのに、そうではないことが分かりショック」と聞けば、参加者のなかにはフォローの言葉を投げかける人もいるでしょう。

このようにフォローアップの時間は、自分の気づきを整理し、開放の窓を広くするための行動をどうすればいいのか分かるため、有効に活用したいものです。

とくに管理職は、部下のなかで「どうせ自分は〇〇なんだな」とネガティブになったり傷ついたりする人がないよう、全体でのフォローアップ以降も気を配る必要があります。

「開放の窓」を広くするために

「ジョハリの窓」は自己啓発の実現が目的となります。もっとも重視したいのが開放の窓です。開放の窓の項目がたくさんあれば、他者とスムーズなコミュニケーションが図れていることになります。逆に開放の窓が狭ければ「自己開示ができていない」と判断できるでしょう。

開放の窓を広げるには「秘密の窓」を狭くして自然体の自分でいることを心がけます。そのうえで、他者に対する自分の”オープン化”を図るのです。

また、自分は知らないけれど、他者が分かっている「盲点の窓」を小さくするのもいいでしょう。他者が自分に「〇〇をもう少し出すといいよ」とアドバイスされたと考えれば「盲点の窓」から「開放の窓」へと移行するための行動ができます。

最後に「未知の窓」を狭めるには、自分の可能性を見いだすことが重要です。たとえば「挑戦心がある」の項目が「未知の窓」に合った場合は「本当にしたいことは何か?」と自問しましょう。上司や先輩の目が怖くて最初から行動をあきらめていた”挑戦したいもの”を見つけるかもしれません。

「チャレンジしたら意外にできるかも」と前向きにとらえて行動に移せば「挑戦心がある」は「開放の窓」に移せるのです。

まとめ

「ジョハリの窓」は、自己分析や他者理解を進めるだけでなく「開放の窓」を広げることで自己啓発につなげられるワークといえます。また「ジョハリの窓」はビジネスにおける能力開発にも役立ちます。

互いの気づきを交流させる過程で上司が部下の4つの窓を知れば、組織マネジメントで取り組むべきサポートが見え、組織の活性化にもつながるでしょう。

しかし「ジョハリの窓」のワークを嫌がる人に強要するのはよくありません。ジョハリの窓は人間関係を良好にするメリットがあるのですが、最初から抵抗感があれば結果を出せないでしょう。

グループワークが苦手な人には、個人でできる無料診断アプリを紹介するなどの柔軟さが必要です。

いずれにしても、自分の見えない才能を見つけて伸ばすために「ジョハリの窓」は有効といえます。ワーク後のフォローアップと合わせて組織づくりや人材育成を充実させていきましょう。

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