再来店に向けたアプローチとしては、電話やメール、LINEなどの活用が挙げられますが、今回のテーマである「手紙」を顧客に送る店舗もあるでしょう。
ただ、再来店を促すために手紙を送る場合「せっかく顧客に手紙を送っても成果につながらない」「そもそも来店を促す手紙の書き方がわからない」といった悩みをもつ人もいます。
そこで今回は、しばらく来ていない顧客に再来店を促すために効果的な手紙の書き方について解説します。手紙を送るメリットを紹介したのち、例文をもとに書き方のポイントを説明します。顧客が「ちょっと行ってみようかな」と思ってもらえる方法を紹介するので、ぜひ最後までお読みください。
再来店を促す手紙を送るメリットとは
電話やメール、LINEを活用して再来店を促す手法を取らず、あえて手紙を送るメリットについて解説します。メリットとしては、次の5点が挙げられます。
- 顧客に日ごろの感謝を伝えられる
- 顧客に店舗の最新情報を伝えられる
- メールよりも親密なコミュニケーションをとれる
- 再来店へつなげられる
- 再来店しない顧客の理由を探れる
上記を確認することで、目的を明確にしながら手紙を作成したり、実際に手紙を送ったのちに顧客の思いを分析したりできます。ここでしっかり確認しましょう。
顧客に日ごろの感謝を伝えられる
手紙を送ることで、商品やサービスを購入(利用)していただいた感謝の気持ちを伝えられます。この話を聞くと「来店時にお礼をするから、わざわざ手紙にしたためなくてもいいのでは?」と疑問に思う人もいるでしょう。
たしかに来店時に、最高の笑顔で感謝の意を伝えるのは大切です。しかし、来店のときだけでは顧客の心を長期的につなぎとめるのは難しいと考えられます。
顧客の来店状況を把握してタイミングよく手紙を送るのは、顧客に店舗や担当者を思い出してもらうきっかけになります。顧客は店舗からの感謝の意を受け止めて「私のことを気遣ってくれてうれしい」と感じるでしょう。
顧客に店舗の最新情報を伝えられる
手紙を送るのは、顧客に店舗の最新情報を伝えられる良さがあります。
顧客は普段、仕事や家事で忙しい毎日を送っています。その合間をぬって店舗情報を定期的にチェックしている人もいれば、まったくできない状態の人もいるでしょう。
チェックする習慣のある人も、ときにはお得な情報を逃してしまう可能性があります。手紙を送ることで店舗の最新情報をリアルタイムに伝えるのは、顧客にとってありがたいアプローチといえます。
メールよりも親密なコミュニケーションをとれる
手紙は、メールや電話よりもあたたかい印象を与えられる媒体です。たとえば、手紙を送るのは、下記のようなメリットが挙げられます。まずは顧客に与える効果を紹介します。
- 気持ちがしっかり伝わる
- 特別感がある
- 手元に残りやすい
店舗担当者からの感謝の気持ちは顧客にとってうれしいものです。またメールやSNSでのやり取りが多い現代では、手紙に新鮮さや特別感をもちます。さらに手紙は手元に残るため、記憶にとどめておきやすい媒体といえます。
次に店舗側のメリットを3つ紹介します。
- 顧客のことを考える
- 言葉を大切に使う
- イメージが良くなる
メールを書く場合も、文章をよく考えたうえで送信するでしょう。手紙の場合は顧客により印象づけられるため、メール以上に文章内容や表現方法を吟味しなければなりません。
手紙には顧客が購入したものやニーズ、関心のあるものなどを盛り込みます。顧客の表情や姿を思い浮かべながら書くようにすれば、店舗担当者の気持ちが顧客に伝わり親近感をもってもらえます。
再来店へつなげられる
手紙によって一時的に冷めてしまった顧客の感情を呼び起こせます。手紙の内容次第で顧客は「自分のことを気遣ってくれてありがたいなあ」「私の話をしっかり聞いてくれたのだなあ」など、ポジティブな気持ちをもつでしょう。
ポジティブな気持ちは店舗に足を運んでくれるきっかけになります。ただ、再来店につなげるには、手紙のクロージングの部分で「また行ってみよう」と思わせるひと言を添えられるかが重要になります。
再来店しない顧客の理由を探れる
手紙を送るのは、再来店しない顧客の理由を探るためにあるともいえます。顧客が再来店しない理由にはさまざまなものがあり、ここでは下記の4点を紹介します。
- 単純に今のところ必要性を感じない
- 商品やサービスに満足できなかった
- 安くなったときにだけ購入(利用)したい
- 時間が経ちすぎて行きづらい
顧客が再来店しない理由を把握するには、メールやLINEでの情報発信のほか手紙を送って顧客の反応を確かめる方法があります。ときにはアンケートを取って具体的な理由を探ってみてもいいでしょう。
把握した情報をもとに手紙を送る際は、それぞれの理由に応じて書く内容を変えます。たとえば「今は必要ではないと思う顧客」には顧客の関心を引くような限定サービスを、「費用対効果を求める顧客」にはベネフィットを感じられるキャンペーンを案内するのです。
また「期間があきすぎて再来店しにくくなった顧客」には、前回の購入(サービス)について言及しながら期間があいても安心して立ち寄れるように気遣う言葉を添えます。
このように、顧客の再来店しない理由を分析する場合に「手紙」をうまく活用するのも店舗運営を良好に保つ策といえます。
しばらく来店のない人への手紙例文とポイント
再来店しない顧客へ手紙を送る際は、前章で紹介した手紙のメリットを認識しながら伝える内容を吟味しましょう。
ここではまず、再来店を促す例文を紹介します。例文には赤字で番号がふってあります。例文のあとで番号ごとにポイントを解説しますので参考にしてみてください。
今回はネイルサロンの担当者が顧客へ手紙を出す場合を例に挙げます。業務内容に応じて適宜内容を変えたり加減したりして工夫しましょう。
①顧客の呼名や担当者名の入れる
再来店を促す手紙をかくときは、顧客の名前を入れるようにします。名字だけよりも名前を入れたほうが、とくに女性はうれしく感じるでしょう。ただむやみに入れると慣れ慣れしく感じられるため、顧客との関係性を吟味したうえで判断します。
また店舗名だけでなく担当者名も入れてください。手紙の最後に入れるだけでなく、はじめに名乗ったほうが顧客に良い印象を与えます。その理由は、1対1でのやり取りを実感しやすく顧客の満足感を高めるためです。
このように手紙を書く際は、距離を縮めて顧客に親近感をもってもらえるよう「名前」を適切に使いましょう。
②前回の購入(利用)に触れる
手紙の最初の部分で、前回の購入(利用)に関する内容を盛り込みましょう。
再来店を促す手紙が顧客の手元に届いたとき、顧客によっては実感をもてない可能性があります。実感をもってもらうには、手紙の冒頭部分で前回購入(利用)してもらった感謝の意をさりげなく伝えるのが効果的です。
同時に、購入後の困りごとはないかたずねる気遣いも忘れないようにしましょう。
③顧客に合う提案で特別感を
しばらく来店していない顧客に手紙を送るのは、顧客に特別感を与えるためです。顧客に最適な提案をおこなうと顧客の心を動かせます。
通り一遍の内容では、顧客が関心をもち魅力を感じることはありません。たとえ全員の顧客に伝える内容であったとしても「あなただけに…」といった印象を与える必要があります。
前述の例文から抜粋すると「今回は◯◯様が悩まれていた爪のつやを取り戻すネイルケアをご紹介させていただきます」といった一文を添えることで特別感を与えられます。
困りごとがあっても、日々の忙しさから何となくそのままにしている顧客もいるでしょう。こうした顧客には、アフターサービスを案内したり新商品を安価で提供したりする旨を伝えます。
それぞれの顧客の要望やニーズを把握し、個別に対応する姿勢が大切なのです。
④再来店した場合をイメージできるように
顧客が手紙を読んで再来店の際に得られるであろうベネフィットを感じられれば、実際に足を運んでくれる可能性が高まります。前回の来店時につぶやいた顧客の要望に合わせたサービスを提案しつつ、顧客自身がイメージできる一文を添えます。
また「近日中に新しく生まれ変わる〇〇を準備して…」「お客様の好きな〇〇カラーを豊富に取り揃えて…」といった言葉も顧客の心を引き付けます。
⑤顧客が再来店できる文言を
顧客へ手紙を出す場合、どのように締めて終わるのかは重要なポイントです。たとえば下記のポイントを念頭においてみてください。
- 久しぶりだから行きづらいと思う顧客に→いつでもお客様の相談に応じる姿勢を大切に
- 今までとは違う商品を求める顧客に→今までとは異なるイメージの商品に言及
- 忙しいしちょっと面倒だなと思う顧客に→さりげなく「限定」といった言葉を用いる
手紙の文言に、上記の内容をすべて盛り込むのは難しいかもしれません。あらかじめ顧客情報を収集して顧客の心理を把握している場合は、それぞれの顧客に合わせたサービス内容を伝えましょう。
また、例文の終わりに紹介したように「もしも爪のお手入れに関して悩み事などがございましたら、こちらのLINEにてご連絡ください」といった文章を入れると、顧客とのつながりを保てます。
実際に来店できない状況であることを想定し、顧客に合わせた連絡方法(電話やメール、SNSなど)を明記しておきます。顧客はいつでも安心して連絡をとれるようにしておけば、顧客との関係性が切れることはありません。
このように手紙の最初から最後まで徹底的に顧客目線を貫き、気持ちを店舗に向けてもらえるようにしましょう。「うれしい」「よさそうだ」「行ってみたい」と思える要素をいかに盛り込むのかが、再来店の確率を高めるのです。
再来店を促す手紙を送る場合の注意点
ここでは、しばらく来なかった顧客に再来店を促す手紙を書く際の注意点を解説します。気をつけるべき点としては下記の3点が挙げられます。
- 手書きの部分を入れる
- ハガキで送ってもよい※個人情報に注意!
- 接客サービスの質を向上させる
次から順に解説します。
手書きの部分を入れる
手紙はメールよりも顧客が温かみを感じる媒体だとすれば、できるだけ手書きの部分を入れたほうがより効果的です。ただ、すべての顧客に自筆で書くのは大変時間がかかります。
この場合は、予算に応じてネット印刷などを利用しましょう。あるいは、定型文を活用したうえで「ここぞ」といった内容については自筆で書き入れるようにします。
※再来店を促す手紙を送る場合、メールのような定型文のまま送るのは好ましくありません。顧客に機械的な印象を与え、手紙を送っても無駄で逆効果になります。定型文は店舗の顧客層や顧客ニーズに合わせて適宜変えましょう。
ハガキで送ってもよい※個人情報に注意!
経費を削減したい場合、封書ではなくハガキを送るのも効果があります。ハガキで送る際は、文章を精選し顧客がぱっと見て分かるような内容にしなければなりません。場合によっては、商品やサービスの写真、顧客イメージに合うデザインを施すなど工夫をしてみましょう。
しかし、ハガキは文章内容が目に入る可能性が高いため、個人情報に関する内容については十分配慮してください。たとえば家族や職場、学校名などパーソナルな内容については書かないようにします。
接客サービスの質を向上させる
忘れてはならないのは、手紙やハガキで伝えた顧客への感謝やおもてなしの心を実際の接客にしっかりつなげることです。手紙やハガキの内容に心を動かされ再来店してくれても「やっぱり来なきゃよかった」となってしまうのは絶対に避けなければなりません。
このような事態を招かないよう、サービスの質を向上させ一定に保つ姿勢を大切にしましょう。
まとめ
しばらく来店していない顧客に手紙を送って、再来店&再購入(利用)へとつなげられます。最適なアプローチができれば、リピーターや優良顧客にランクアップできます。
手紙で顧客の心をつなぐためには、顧客情報を把握しながら各顧客に合うサービスを提案しなければなりません。顧客にメリットを感じてもらえれば、店舗に足を運んでくれる可能性が高まります。
購入していない期間が長い顧客は再来店を躊躇しやすいため、不安を軽減するひと言を添えます。また、実際の来店時には最高の笑顔で迎えるようにします。
メールやSNSとは異なる手紙の特質を理解して、より多くの人に店舗を利用してもらえるよう活用していきましょう。