新規開拓は、競争の激しい環境において事業の発展をめざす企業に不可欠なアクションです。しかし、取引先との信頼関係を築いている場合が多く、競合他社を上回るアプローチをするのは容易ではありません。
なかには新規開拓を目的としてDMを送付する企業もあるでしょう。新規開拓用DMの挨拶文には丁寧さと独自性が求められます。今回は、初めて送る文書の書き方や顧客の心をつかむポイントを解説します。
予算内で効率的なアプローチを実現し、顧客ニーズを的確にとらえることで新規開拓の成功率を上げていきましょう。
新規開拓の重要性と目的とは?
昨今は顧客獲得の競争が激しく、既存の市場は飽和状態に達しています。すでに取引先と関係を築いている場合、新たな参入に対しては厳しい態度で臨まれるケースが多いでしょう。
新規開拓を成功させるためには、まずは新規開拓の重要性と目的を明確にする必要があります。
新規開拓の重要性として「事業の成長と競争力を維持したり向上させたりすること」が挙げられます。また新規開拓は、市場の変化にいち早く対応できる手段として有効です。現代は市場環境の移り変わりが激しいため、新たなニーズやトレンドに敏感に対応しなければ生き残れません。
新規開拓の目的は「新たな顧客を獲得するだけでなく、競合他社との差別化や優位性を得ること」です。顧客の心をつかみ、顧客満足度を高めることで、長期的な取引関係を構築できます。新規顧客の開拓によって、企業の発展をより確実にし競合他社を上回るようにしましょう。
まずはターゲット設定と顧客ニーズの把握を!
ターゲットを設定して顧客のニーズを明確にすることは、新規開拓の成功のための重要な要素です。ここでは、ターゲット設定とニーズ把握の目的、ニーズを掘り起こすためのアプローチ方法について解説します。
ターゲット設定の目的
ターゲット設定の目的は「特定の顧客セグメント(属性)を明確に定義し、属性に合わせたアプローチをおこなうこと」です。BtoBの顧客セグメントは、企業間の取引やビジネスに関わる顧客をグループわけする方法です。以下にBtoBの顧客セグメントを挙げます。
- 産業別セグメント:製造業、IT・ソフトウェア、医療・介護、金融、交通など
- 企業規模別セグメント:大企業、中堅企業、小規模企業・中小企業、個人事業主など
- 地理的セグメント:国内(地域・都道府県・都市など)、海外(国・地域・都市など)
- 職務別セグメント:経営、人事、営業、マーケティング、IT・情報システム、財務・会計、物流など
上記は一般的な例であり、実際のビジネスではさまざまなセグメントが存在します。企業は自社のビジネスモデルや市場状況にもとに最適なセグメントを特定し、セグメントに合わせた戦略を立てましょう。セグメントを設定せず闇雲にアプローチすればコストをかけるだけで、実際の成果へつなげられません。
顧客ニーズの把握
顧客のニーズを明確にするのは、顧客が抱える問題を理解し、解決策を提案するためにあります。顧客が本当に何を求めているのかがはっきりすれば、顧客の要望に合う提案をDMに取り入れられます。顧客にとって最適な商品やサービスを提供できるため、顧客の心をつかみアクションへつなげる可能性を高めます。
ニーズを掘り起こすためのアプローチ法
ニーズを掘り起こす方法は以下のとおりです。
- 市場調査: 市場のトレンドや競合状況を調査してデータを収集する
- アンケート: 質問フォームを顧客に提供し、意見や要望を収集する
- インタビュー: 直接顧客と対話して、ニーズの詳細を把握する
- 既存データ活用: 顧客関係管理システムや営業支援システムなどのデータを分析する
情報を収集したり分析したりすることで、顧客の情報や心理をより深く理解できます。そのうえで、個々の顧客に合う商品やサービスを選定したりアクションへつなげるための案を考案したりするのです。
DMを作成するまでに多くの過程をクリアしなければなりません。DM戦略の策定&実践は大変な工程ですが、効率的に新規開拓を成功させるための重要な要素であり、コスト削減にもつながります。
新規開拓用DM例文と作成のポイント
ここでは、新規開拓用DM例文と作成のポイントを解説します。BtoBにおけるDMとして以下の例文を参考にしてみてください。また、例文の番号(赤)ごとに、DM作成上のポイントを説明します。
時候の挨拶と自己紹介(例文番号①)
時候の挨拶に続いて、自己紹介をします。会社の名前はもちろん、所属や氏名を明示しましょう。氏名までしっかり名乗ることで相手に安心感を与えます。
相手への関心を示しながら目的を伝える(例文番号➁③)
ここでは、相手への関心を示しながらDMを送る目的を明確に伝えます。たとえば、イベントやキャンペーンなどで相手先のサービスを知った旨を伝え「弊社が貴社に関心をもっている印象」を与えます。
続いて、DM送付の目的を簡潔に示しましょう。今回は「ぜひお取引したい」といった内容ですが、新しいビジネスチャンスの提供や商品の情報交換を目的としても良いでしょう。
具体的な提案やアイデアを述べる(例文番号④)
DM送付の目的に関する具体的な提案をします。具体的な提案とは、実際に商談の場につながった場合におこなわれる内容や相手先にとってのメリットを伝えることを指します。
顧客がDMを通じて、提案内容や商談の場をイメージできるようにしましょう。イメージしやすいほうが、顧客から連絡を受ける確率が上がります。
DMの返信がされるような手立てを打つ(例文番号⑤)
新規開拓用DMでは、具体的な提案やアイデアを伝えるだけでなく、返信を促すメッセージを添えることが重要です。
返信の方法をいくつか提示し、顧客が最適な方法で返信できるようにしましょう。例えば、メールアドレスや電話番号を明記したり、アンケートをとる場合はQRコードを添付したりします。
さらに、返信の期限を設定することで、顧客に返信をおこなう意識を高めてもらいます。
DMの内容は、定型文を使いつつも独自性を出すようにしましょう。ただし、オリジナリティを出しすぎると相手に怪しまれたり不快感を与えたりする可能性があるため、適度なバランスを保つことが重要です。
また、相手先の業種や企業文化に合わせる視点を持ち、内容を微調整する姿勢も大切です。顧客や状況に合わせたカスタマイズをおこなえば、相手に取引の必要性を感じてもらいやすくなります。
以上の点を考慮し、DMの内容やメッセージを慎重に検討していきましょう。
DMからアクションを促すコツ
DMから実際の購買行動につなげるためのコツを5つ紹介します。成功率を上げるための要素です。
- 顧客の心を引き付ける文を書く
- 購買行動につなげるための提案を
- 特別感や季節感が伝わる表現で
- 追伸で安心感をもたせる
- 過度な押し付けはしない
上記について、次から順に解説します。
顧客の心を引き付ける文を書く
顧客の心を引き付けるDMを作成するためには、顧客ニーズに寄り添った内容を伝えるようにします。自社の商品やサービスを売り込もうと斬新なアイデアを提供するのは、ときにデメリットになるでしょう。
その理由は、目線が自社に偏る可能性があるためです。新規顧客の開拓用DMとして重要なポイントは、あくまでも顧客の共感を引き出すような文体や言葉遣いを選ぶことです。
また必要以上に長い文章も印象を悪くします。忙しい合間に読んでもらうためには、短くて適度な行間があり、読みやすい文章が必要です。DM作成においても、徹底的に相手目線を貫きましょう。
購買行動につなげるための提案を
DMから購買行動につなげるためには、明確な提案が必要です。自社の商品やサービスの特徴や利点を具体的に伝え、顧客が購入(利用)した際のメリットを提示します。
ただし、すべての情報をDMで詳細に伝えてしまうと商談の魅力を減少させてしまうでしょう。DMを受け取った顧客が「この商品(サービス)は良さそうだ、直接少し話を聞いてみたい」と思ってもらうようにするのがコツです。
また顧客が興味をもった場合、連絡方法が明確に示されていなければチャンスを逃す可能性があります。連絡方法を明示し、質問や連絡を簡単におこなえるようにしましょう。たとえば、電話番号やメールアドレス、質問アンケートのリンクなどを明記します。
特別感や季節感が伝わる表現で
DMに特別感や季節感を演出することは、顧客に印象を残しやすくするための効果的な手段です。
特別感を演出するためには、顧客ニーズに寄り添った提案を行います。顧客にとって特別な価値やメリットを伝え、限定的な表現や特典を用いて顧客の行動を促しましょう。たとえば「お客様だけに特別なオファー」「今だけの限定割引」といった表現を活用します。
季節感を演出する場合は、季節に合わせたイベントやキャンペーンを提案します。タイミングに合わせた提案を行うことで興味を引きやすくなるでしょう。
DMを作成する際は「提案が本当に顧客が求めているものか」「タイミングが最適であるか」をしっかり確認する姿勢が大切です。
追伸で安心感をもたせる
DMの追伸は、読者に安心感を与えるために重要な要素の一つです。
追伸では、商品の品質やサービスの信頼性を強調し顧客に安心感を与えます。たとえば、製品の品質や信頼性について具体的な事例や実績を挙げたり、第三者の評価について取り上げたりします。
事例や評価などを伝えたい場合は、WebサイトやPDFのURLを追記しましょう。顧客は必要な情報にアクセスしやすくなり、より詳細な内容を確認できます。URLの追記は、DMの制約されたスペース内で効率的に情報を伝える手段として有効です。
また、アフターサービスやサポート体制の充実に触れることも効果があります。商品やサービスを購入した後も安心して利用できる環境が整っているとわかれば、顧客は不安を解消し購買意欲を高めます。
追伸では押し売りを避け、興味をもった場合に気軽に連絡するように促しましょう。顧客が自らの意思でアクションを起こせる環境を提供することが、追伸の大切な役割といえます。
過度な押し付けはしない
DMを1回だけでなく、数回にわけて送るという考え方も一つの手法です。ただし、過度な押し付けをおこなったり押し売りと受け取られたりしないようにしなければなりません。DMを作成したのちは、顧客に迷惑に感じられないか第三者に確認してもらいましょう。
安心感や信頼性を高めるためには、「お悩みやご質問があればお気軽にご相談ください」といった文言を追加します。これにより、顧客が疑問や問題を抱えた場合に気軽に相談できる環境を提供できます。つまり、顧客の関心度や反応に合わせてメッセージを調整するのです。
最終的な目標は顧客の関心を引きつけ、信頼関係を築きながら購買行動につなげることです。常に顧客の目線に立って作成したり読み返したりする姿勢を大切にしましょう。
まとめ
新規開拓用DMを効果的に作成し顧客の心を動かすためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。まず、ターゲットの設定と顧客ニーズの把握は大切です。顧客の心を引き付け、購買行動につなげる明確な提案をおこないましょう。
また過度の押し付けは避け、顧客との信頼関係を築きます。安心感を与える追伸や、問い合わせ先の明示などを通じて、顧客が不安や疑問を解消できるようにするのがポイントです。
より効果的なDMを作成するには、新規開拓用DMの効果を測定して改善点を洗い出し、PDCAサイクルを回す取り組みが重要です。顧客の心を掴みアクションにつなげる力を持つDMを作成し、事業の発展に活かしていきましょう。