買わない客を見極めるのは、営業や店舗運営において重要なスキルです。買わないとわかっている顧客に時間やコストをかけても実際の成功率を上げられません。営業や接客の際は買うか買わないかしっかり見極めたうえで、購買意欲の高い顧客に労力を注いだほうが効率的です。
しかし、顧客が買うかどうか見極めるのは容易ではありません。実際のビジネスシーンで的確に判断できず「なかなか成果を上げられない」と悩む営業パーソンもいるでしょう。
そこで今回は、買わない客を見極める方法と買わない客を買う客に引き上げるコツについて解説します。記事内容を参考にして実践に活かしていきましょう。
買わない客を見極めるメリット
本章では、買わない客を見極める必要性と見極めたうえで営業や接客をおこなう効果について解説します。
時間と労力を節約できる
「買うか買わないか」を見極めることは、営業や接客の際に費やす時間や労力を削減するために有効です。また、買うつもりの顧客に対して適切なアプローチができるという利点もあります。
たとえば、顧客との会話を続けながら「買うか買わないか」を判断せずに進めているとします。その場合、実際の購入に関連する情報を提示した直後に「買うつもりはありません」と断られる可能性もあります。会話に費やした時間や労力が無駄になり、これを繰り返すと業績向上にはつながりません。
逆に、買うか買わないかを見極めて購買意欲のある見込み客に焦点を絞れば、時間と労力を効果的に使えます。
売上や業績における成果を出せる
買わない客を見極めることは、売上や業績における成果を上げるために必要な要素です。
すべての人とコミュニケーションを取りながら突破口を探すのではなく、買うか買わないかを判断し、対応すべき顧客を見極めることが重要です。見極めなければ、時間の浪費になるだけでなく一人の顧客に対する営業や接客の質も低下してしまいます。
顧客のニーズに合わせて提案やアプローチをおこなう姿勢は購入や利用の決定を促し、成功率の向上につながるのです。
買わない客を見極めるためのポイント
実際のケースを想定して、買わない客の見極め方について解説します。買わない客に時間をかけずに、買いそうな顧客に絞り込み、実際に購入してもらうための手立てを講じましょう。以下に、判断するためのポイントを紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
顧客の態度や行動から判断する
買わない客を見極めるためには、顧客の態度や行動をよく観察しましょう。買わない客として、たとえば以下の3点が挙げられます。
- 自分の話ばかりする
- 営業の話に興味を示さない
- 本題を避ける
買わない客は自身の利益を優先し、他者の意見や提案に対して関心を示さない傾向があります。営業パーソンや店員の話を聞こうとしない姿勢や高圧的な態度をとる場合も、買わない可能性が高いといえるでしょう。
さらに購買意欲の低い顧客は商品やサービスに対する関心が低く、雑談ばかりで本題を避ける態度を示します。
顧客の関心度を確かめる
買わない客を見極めるためには、商品やサービスに対する関心度をチェックしましょう。買わない客の傾向として以下の2点が挙げられます。
- 商品やサービス情報を求めない
- 試用や試着に関心がない
商品やサービスに関心のある顧客は、営業パーソンや店員の話を真剣に聞いたり必要な項目を質問したりします。一方、買うつもりのない客は話に対してあまり関心を示しません。
関心の高い顧客は、実際に商品を試したり試着したりすることに興味を示します。まったく試そうとしない顧客は買わない可能性が高いです。
こうした顧客に時間を割くよりも、購入する可能性の高い顧客にアプローチをするようにしましょう。
コミュニケーションスキルを観察する
顧客との会話において、コミュニケーションスキルや態度を観察するのは、買わない客を見極めるうえで重要です。以下に、コミュニケーションスキルを観察するポイントを解説します。買わない客を想定して確認してください。
- 目を合わせない
- 背中を向ける(店舗における接客の場合)
- マナー違反がある
買わない客は、最初から営業パーソンや店員と目を合わせようとしません。関心のある顧客は相手の目を見て話したり傾聴の態度を示したりしながら、より良いコミュニケーションを築こうとします。また、話し方や話題の選択にも気を配ります。
さらに、買い手志向の顧客は商品に対して適切なマナーをもち丁寧に扱います。しかし、買わない客は人に対してだけでなく商品に対しても乱暴な扱いをする場合があります。
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以上、3つのポイントを参考にして買わない客をしっかり見極めましょう。商品やサービスに関心のある顧客とのコミュニケーションに時間をかければ、実際の成果へつなげられます。
買う買わないを見極めて成果を出すための方法
買わない客を見極めたのちに、購買意欲のある顧客を確認する方法を解説します。しっかり見極めて、時間を労力を有効活用し、購入や成約の可能性を高めていきましょう。
商品情報を提供して関心度を高める
買う意思の高い顧客を見極めて成果を出すためには、商品情報を提供し関心度を高める必要があります。以下に、関心度を高めるための方法を解説します。
まずは買う意識の高い顧客の特徴を挙げます。
- 購入意思を具体的に示す
- 商品の詳細を知りたがる
- 購入に必要な情報を質問する
購入意思の高い顧客は、具体的な要望や相談を提案します。つまり「商品を購入したい」といった明確な目的があるため、それを達成するための行動を起こしているのです。
さらに商品の特徴について深く知りたいと思っており、営業パーソンや店員との会話で商品に関する質問をしてきます。また、具体的な金額や購入の手続きについてたずねるなど熱心な態度を示します。
購買意欲の高い客に対しては適切な情報やサポートを提供する必要があります。このため、事前に商品やサービスの概要やメリット、どのような顧客に最適か、など詳細な情報をしっかり把握しておかなければなりません。
情報を把握したうえで顧客との会話や質問内容からニーズを判断し、顧客に合う商品やサービスをすぐに引き出せるスキルが重要です。具体的に顧客が自分の将来像を描ければ、購入する確率が高くなります。
顧客ニーズをさらに深掘りする
顧客のニーズに具体性をもたせる質問は、顧客に最適な商品やサービスを提供するために重要な要素です。顧客ニーズを深掘りするために必要な質問力として以下の3つが挙げられます。
- オープンクエスチョン
- 追加の質問
- 商品を身近に感じてもらう質問
オープンクエスチョンとは、単にYes、Noで答えるのではなく、顧客に自由に回答してもらえる質問を指します。たとえば「ご購入される際に、どのようなポイントを重視されますか?」など、具体的なニーズや優先順位などをたずねます。。
追加の質問とは、顧客が最初に伝えたニーズに対して、更なる詳細な情報を引き出すためにおこなう筆問です。「お客様がご購入を検討している〇〇について、機能やデザインについてはどのようなものがご希望ですか?」などといった質問を通じて、より深いニーズの把握を目指します。
さらに、顧客に自社商品の価値やメリットについて質問します。「他社の商品と比べて、こちらの商品にはどのような価値を感じていただけますか?」などと尋ね、顧客の期待や評価基準を把握し、自社商品の強みを感じてもらいます。
以上の3つの質問方法を活用して、顧客のニーズをより深く掘り下げましょう。顧客の具体的な要望や期待に応えることで、より適切な商品やサービスの提供が可能となります。
ポジティブで具体的な表現を使う
ポジティブで具体的な表現を使うことは、顧客の購買意欲を高めます。
買う買わないを見極めて、購買意欲の高い客にアプローチする際、質問してニーズを把握するだけでは実際の購入につなげられない場合もあります。成果を上げるには、さらに具体的な表現を使って商品やサービスに対するポジティブな印象を与える必要があります。
たとえば、洋服を試着した顧客に対して店員が声をかける場面を想定しましょう。「お似合いですね」と褒めるだけでは心を動かせません。「この服は上品なデザインで、お客様にぴったりですね」と具体的に伝えると効果的です。商品の特徴やデザインの良さをアピールすることで、見込み客の購買意欲を高められます。
また、商品やサービスの効果を伝える際は、数値を用いると顧客に良い印象を与えます。「この機器を導入すれば生産性が20%向上し効率的な業務が可能になります」と伝えるのです。
このようにポジティブで具体的な表現を使い、顧客が自分にとって有益なものと感じるようにすると、購買意欲が高まり成約につながる可能性が高くなります。しかし、表現は誠実で客観的な情報を提供することが重要です。その点はしっかり念頭におきましょう。
買わない客を買う客に引き上げるコツ
買わないと判断した顧客でも、適切な対応をすることで購入につなげるチャンスがあります。本章では、買わない客を引き上げるためのコツを説明します。
顧客が買わないと判断した場合「もしもご質問やご相談がございましたら、いつでもお声かけください」といった内容で、「気にかけています」という気持ちを示すことが重要です。
営業パーソンや店員が買わない客というレッテルを貼るような対応をすることは避けましょう。何となく冷たい態度を示すと、顧客に不快感を与える可能性があります。
その時点で買わないと判断した顧客に対しても、将来的に購入してくれる可能性や興味があると認識し、適切な対応を心がけましょう。
以下に、営業パーソンや店員が買わない客に対して適用できるアプローチ法を3つ紹介します。
いつも感謝の気持ちを大切に
買う買わないに関わらず、常に丁寧な態度と感謝の気持ちをもって対応します。
たとえば店舗であれば、顧客に感謝の意を示すために店舗の前まで出てお見送りをする姿勢は効果的です。丁寧な言葉とともに、笑顔で頭を下げるアクションをおこないましょう。「この店の店員は感じが良いなあ。また次回も訪れてみよう」と顧客に思ってもらえるかもしれません。
買わない客であっても、態度を変えることなく丁寧に接する姿勢は信頼関係の構築につながります。顧客が将来的に購入意欲をもつ可能性もあるため、常に感謝を伝える姿勢を大切にしましょう。
2つの商品を比較しながら話す
買わない客と結論づける前に商品を少しでも紹介する機会があれば、まずは2種類の商品を見せて簡潔に説明しましょう。
たとえば、洋服の場合「綿素材とポリエステル素材」の特徴を比較しながら説明します。顧客がすでに利用している商品との比較や、市場でよく見かける他社商品と自社商品との比較など、具体的な点を提示するのです。
商品の特徴や利点を比較できれば、顧客にとっての選択肢やメリットを明確に示せます。顧客にとってわかりやすく「へえ、なるほど」と思ってもらえる可能性を高めます。
ただし、説明の際には相手の興味や関心に配慮し、冗長にならないように気をつけましょう。簡潔で具体的な比較を通じて、顧客が商品の価値を理解しやすくなるように努めてください。
商品やサービスの価値を届ける
買わない客であっても商品やサービスの「価値」を届けるアプローチを通じて気持ちを変えることは可能です。
買わない客に対して「売り込み」の姿勢を見せると逆効果となります。その理由は、自社側が「売りたい」という気持ちが大きく働き、顧客にとって負担となる可能性があるためです。
代わりに、商品やサービスの概要とメリット、つまり「価値」を紹介しましょう。営業パーソンや店員自身が「その商品やサービスを気に入っている」あるいは第三者や市場で「人気がある」といった事実を添えると効果的です。
このアプローチでは、商品やサービスの特徴や利点を客観的に伝えるようにします。顧客にとってのメリットや解決できる問題、提供する価値を明確に示すことで顧客が興味を持ち、商品やサービスに関心を抱く可能性が高まります。
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以上のような見極めスキルを向上させるためには、経験を積むことが重要です。営業記録や備忘録を活用して、過去の経験や洞察力を養いましょう。顧客の傾向や好みを把握し、より的確なアプローチが可能になります。
まとめ
見極めるスキルを磨くことで、買わない客に時間を取られずに時間と労力を有効活用できます。時間と労力を有効活用できれば、売上の向上につながり事業を成功へと導けます。
まずは顧客の態度や行動、関心度、コミュニケーションスキルを観察し、的確な判断やアプローチをおこないましょう。見極めたのち、購買意欲のある顧客に焦点を絞り込み、ニーズ把握や最適な商品やサービスの提供に努めます。
また、お客様が商品を購入しない場合でも、感謝の気持ちを忘れずに適切な姿勢をもちます。経験を積み重ねて洞察力を養い、見極めスキルを向上させる姿勢も大切です。
今回紹介した見極め法とアプローチの仕方を参考にしながら、お客様に価値を届けることを通じて実際の成果へつなげていきましょう。