接待営業のメリット・デメリット|売上げアップへの貢献度は?

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営業パーソンは日々の業務に加えて、取引先の接待を任されるケースがあります。ときには上司から「接待ができなければ一人前とはいえない」などとプレッシャーをかけられるかもしれません。

しかし、営業パーソンのすべてが接待が得意であるわけではありません。平日の夜や休日におこなわれる会食やゴルフ接待なども仕事の一環とはいえ、前向きになれない人々も少なくないでしょう。

本記事では接待営業の概要やその目的、メリットについて詳しく解説します。また、デメリットや課題などについても取り上げ、接待営業のいかに価値づけたらよいのか紹介します。接待営業に関する新たな見方や営業活動のヒントを得られます。ぜひ最後までお読みください。

接待営業とは何か?その種類

接待営業とは、ビジネスにおいて顧客や取引先との関係を深めるためにおこなわれる活動を指します。本章では、接待の意味と目的、その種類について紹介します。

接待の定義と目的

接待は、顧客や取引先をもてなして信頼関係を築くための手法です。接待営業を通じて顧客との距離感を縮めたり、顧客がもつ本当のニーズや課題を探ったりすることが可能になります。得た情報や関係性をもとに事後の営業プロセスを円滑におこなうと同時に、実際の成約や長期的な関係の構築に役立ちます。

また、接待営業によって良好な関係づくりが形成されれば、自社にとって有益な情報や顧客を紹介してもらったり新たな事業を協働的に始めたりするなど、ビジネスの広げるチャンスになります。

よく活用される接待営業は以下の3つです。それぞれについて解説します。

接待の種類① 会食

会食は、食事をともにしながら顧客との関係を構築する接待です。顧客との対話を促進する効果があり、信頼関係を強化するための重要な手法です。

通常、営業終了後に高級なレストランや料亭で夕食を共にし、お酒を楽しむのが一般的です。食事は人間がリラックスできる時間の一つであり、形式的な会食であっても本音や人となりがわかる場面と考えられます。

会食による接待営業は、店の選定や予約、当日の段取り、お礼のメールまで顧客が心から満足できるようにおもてなしをしなければなりません。また、主催者側が酔ってしまうことのないよう注意をはらう必要があります。

接待の種類➁ ゴルフ

ゴルフ接待は、スポーツを楽しみながらビジネスの機会を探る方法です。ゴルフは半日以上かかることが多く、一緒に時間を過ごす機会を得られるため、顧客との関係を深めるのに適しています。

ゴルフは紳士のスポーツであり、ビジネスパーソンがたしなみの一つとして趣味に取り入れている場合があります。接待ゴルフを取り入れれば自然な流れで交流が促進され、ビジネスシーンに活かせる視点を把握しやすいと考えられます。

接待の種類③ キャバクラ

キャバクラとは、夜の娯楽を通じて顧客との関係を深める接待の形態を指します。インフォーマルな環境で顧客と親しみやすい雰囲気をつくることが可能です。普段の商談では聞けない情報を引き出す機会となる場合もあり、有効活用したい接待方法です。

近年の社会情勢もあり、キャバクラでの営業は一時期より控えめになっていますが、会食のあとの二次会として活用されるケースもあります。

キャバクラ接待においても会食同様、お酒の飲みすぎには十分に注意しましょう。徹底的に顧客を引き立てる役回りを担う姿勢が重要です。

接待営業のメリット

接待営業のメリットについてはすでに触れてきましたが、改めてまとめてみましょう。ここでは3つのメリットについて紹介します。

顧客との親密度が上がる

接待営業を通じて、顧客との関係性をよりよくできます。互いに好意をもち、長期的なビジネス関係を築くうえで有効です。顧客との信頼性が構築されれば、相手のために貢献したくなる気持ちも醸成され、双方にとって利益になる可能性が高いといえます。

適切なマナーを学べる

接待営業によって、ビジネスの一般的な常識やマナーを学べるのも利点です。たとえば、会食接待のマナーとして、以下の内容は覚えておきたいところです。

  • 身だしなみ
  • 席次
  • 着席や料理をいただくタイミング

身だしなみについては基本的に男女ともにスーツで、シャツは清潔感のある白を選びましょう。女性はジャケットのボタンをすべて留め、スカートの長さにも注意します。

席次については、和室では床の間の前を上座にするのが常識です。状況に応じて上座をどこにするのか慎重に判断しましょう。たとえば、きれいな景色や調度品などが見える側や、長いテーブルを囲む場合は中央が上座になる場合があります。

さらに、もてなす側が早々に着席したり料理をいただいたりしないよう注意してください。相手が着席してから、あるいは料理を召し上がったところを確認します。さりげなくおこなうことがポイントです。

このほかにも、細かな知識やマナーの確認が必要となります。新入社員の場合は上司や先輩の行動や助言を参考にして、もれがないようチェックしましょう。

人脈を広げられる

接待はビジネスにおける新たなネットワークづくりの機会となります。さまざまな顧客や取引先との接触を通じて、異なる価値観を共有したり学んだりしたりすることが可能です。ビジネスを展開するうえで必要な人脈の形成にもつながり、連携の幅を広げるチャンスとなるでしょう。

また、今の会社で人脈を広げておくのは、将来的に独立したり新たな事業を立ち上げたりする際に、心強いバックアップやサポートをもらえる可能性が高まります。

接待営業のデメリット

接待営業はコストが重なり、精神的なストレスも生じやすいといった課題があります。自社に優位な営業を展開するためには顧客の見極めが非常に重要です。ここでは3点のデメリットについて解説します。

コストと時間がかかる

接待には費用がかかり、時間を要する点がデメリットです。顧客に対して居酒屋チェーン店では失礼にあたるため、高級なレストランや料亭を予約する必要があり、食事代はもちろん交通費などの諸経費も念頭におかなければなりません。

このほかに会場の選定や予約、もてなしの計画・準備、当日の会場設定、お見送り、アフターフォローなど、思っている以上に時間と労力を必要とします。

また、平日の業務が終了後に会食、休日のゴルフ接待などのように、接待営業はプライベートな時間におこなわれることが多く、全体として仕事量が多くなってしまう点もデメリットです

体力や心理的な負担がある

接待は体力的にも精神的にも負担がかかるケースが多いといえるでしょう。長時間の会食やゴルフゲーム、深い関係を築くためには、体力だけでなく多大な神経を使います。失敗を許されないような大口顧客の接待では大きなプレッシャーを感じながらおこなうため、精神的なストレスを抱えやすくなります。

家庭のある人にとっては、充分な家族サービスや家事・育児の分担に支障をきたす場合もあります、自身がライフワークバランスを保ちたいとしても思うような働き方ができず、仕事に嫌気がさしてしまうケースもあるでしょう。

顧客の選別が難しい

どの顧客や取引先に接待を提供すべきか選定するのは、難しい作業です。自社にとって時間とコストをかけるだけの価値があるかどうか、次につながる成果を得られるかどうか、客観的に判断しなければなりません。

また、過去の成功事例が異なる顧客に当てはまるとは限りません。常に同じ会場や方法を用いるのではなく、各顧客の顧客のニーズや好みに合わせた接待をおこなう必要があります。対応が良くなければ、取り引きにつながらない可能性もあります。顧客の選別をしっかりおこない、それぞれの顧客に合う接待方法を取り入れる姿勢が重要です。

接待が売上アップにつながる貢献度

実は、自社の業績を向上させるうえで「接待営業は絶対必要」とは言い切れません。その理由として、さまざまな社会情勢や働く人々の価値観が変化している点が挙げられます。

しかし「接待営業はまったく必要ない、やっても無駄だ」と判断するのは時期尚早でしょう。適切な接待をおこなうことで信頼関係がより強固になる場合があるためです。通常の営業だけでは難しい顧客との関係づくりが、接待営業で一気に進む可能性もあります

ここでは、接待営業が売上アップにつながる貢献の仕方について解説します。

信頼関係を強化できる

接待営業のメリットは、顧客との関係性をより良くできる可能性が大きいことです。接待を通じて互いをより深く理解でき、信頼関係が構築されます。互いに安心できる存在として長期的な関係づくりに良い影響を与えるでしょう。

ただし、通常の営業トークとは異なるコミュニケーション法を身につけなければなりません。仕事の話ばかりをするのではなく、あくまでも相手をより良く知る機会として捉え、考え方や価値観などの理解を深める場にする姿勢が重要です。

ビジネス機会がより拡大する

接待営業は、新たなビジネス機会を引き寄せるチャンスとなります。接待がうまく進み、長期的な信頼関係が構築されれば、新しいプロジェクトや取引が発生するかもしれません。

「この企業はどのような相談をしても親身になって適切なアドバイスをくれる」「人間的に魅力があり、信頼もできるから安心して取り引きができる」といった評価をしてもらえることで、新たな顧客を紹介してもらえる可能性も高まるでしょう。

顧客や取引先に合わせた良質の接待をおこない、成功体験を増やしていけばいくほど、自社にとっての接待営業の重要性も大きくなります。

接待が苦手なら営業力を磨く

接待が大切な位置を占めるとわかっていても、営業パーソンのなかにはプライベートに影響を与えたくないと考える人もいるでしょう。とくに、接待営業であまり良い経験をしていない場合は、接待に対するイメージを悪くして、できることなら避けたいと感じるかもしれません。

ただ、接待に対する苦手意識がある営業パーソンも、日常のビジネス活動で顧客との関係性を深めることは可能です。以下の解説を読んで、自身の営業力を向上させる手立てを考案し実践に移していきましょう。

日常の営業活動で接待分をカバーする

接待以外の営業スキルを強化し、日ごろの営業活動で顧客との信頼関係を築く努力をします。営業力を向上させるには、たとえば下記の視点が重要です。

  • 営業活動における具体的な数値目標を設定する
  • 市場動向や顧客ニーズの把握を徹底的におこなう(デジタルテクノロジーの活用)
  • 収集した情報の分析をもとに確度の高い見込み顧客を選定する
  • 実際のアプローチや商談をもとに分析を加えたり営業法を改善したりする
  • 数値目標の達成度を随時確認し、改善点があれば要因を探って修正、実践に移す
  • 顧客へのアフターフォローをタイミングよく丁寧におこなう

以上の取り組みはPDCAサイクルをもとにした営業活動です。各プロセスを丁寧におこなうことで、次第に営業の質が向上していきます。常に新たな情報を収集して分析、実践に活かすといった取り組みが習慣化されることで迅速な対応力も身につくでしょう。

この過程で顧客の立場になって考える姿勢が形成され、顧客との信頼関係も築かれていきます。顧客から感謝されれば自信につながります。

顧客ニーズを見極め価値提供を続ける

上記のような取り組みをおこなっていても、ある顧客には話も聞いてもらえず、思うように商談へと進められないケースもあるでしょう。ここであきらめてしまいそうですが、顧客ニーズを徹底的に追求する姿勢は崩してはいけません

顧客が何に困っているのか、不満なのかについて気づく力が重要です。気づくためには、やはり相手の話をしっかり聞く姿勢が必要となります。傾聴を通じてお客様の本音に近づくために適切な質問をし、何気なく発した顧客の言葉に自身が反応できるようにしなければなりません。

「少しでもお役に立てれば…」といった姿勢で、顧客の悩みを解決できる自社商品やサービスを選定し、その価値を丁寧に説明します。相手の心が少しでも動いたのであれば、営業パーソンとしての取り組みの成果が見えた証です。

さらに深く、ニーズ把握に努め、最適な価値提供をおこなうようにします。地道な取り組みは顧客の心に響き、より良い関係性の構築につながるでしょう。

以上のように、日常の営業活動で営業力を磨いていく過程で、実は接待営業もできる知識やスキルも身につけられます。あとは会食やゴルフなどに関する特別なマナーや常識が必要となりますが、やはり日常の業務が基軸にあることを念頭におきましょう。

接待がすべてではない

接待は重要ですが、日々変化するビジネス環境においては、接待だけが成功へのカギではありません。アナログ的な接待営業のみに頼るのではなく、テクノロジーを活用した情報の精選、分析なども営業における重要な要素となります。

デジタル化と変化する接待の動向

現代は、デジタルテクノロジーと接待の統合が進んでいるともいえるでしょう。新たな接待戦略を用いて、効率的で効果の上がる接待法を採用する必要があります。

あるいは接待営業に頼る率を減らしながらデジタル化の推進を図り、よりカスタマイズされた取引方法や接待法を開発する姿勢が重要です。

統合的なアプローチの必要性

今後は、接待とデジタルを結びつけた統合的な営業アプローチが求められます。

人間的なかかわりとデジタルテクノロジーを組み合わせ、相乗効果を発揮しながら成功への戦略を構築するのです。また、営業チーム全体において、各自が得意分野を活かしながら営業活動をおこなえるようにすることも重要です。

その際、フィールドセールスの部署とインサイドセールスの部署とが、情報交換を密にして顧客対応に一貫性をもたせます

営業部署内の誰に聞いても「○○社の特徴や営業パーソンの名前がわかる」「〇〇さんは▢▢に興味があり造詣が深い」など理解している状況をつくるのです。営業パーソンによって顧客への対応や内容が変わらないように留意しましょう。

まとめ

接待営業はビジネスにおいて不可欠な要素であり、顧客との信頼関係を築き、新たなビジネス機会を探る手段といえます。しかし、接待がすべてではないことを認識しなければなりません。

デジタル化と統合的なアプローチが今後の成功に寄与できる点を念頭におきましょう。本記事の内容を参考にし、接待営業に対する見方や考え方、取り組み方法を再度ふり返るとともに、自社にとってより効率的で成果のある営業方法を確立していきましょう。

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