休みの日に顧客から電話…しかも何度もかけてくるのはうんざりしますね。「できることなら避けたい」それが本音ではないでしょうか。相手や内容によっては、即対応しないと休み明けにとんでもない状況になるかもしれません。
今回は「休みの日の電話対応は本当はしたくないけど難しい場合どうしたらいい?」「休みの日に頻繁に電話をかけてくる顧客がいてうんざり。どう対応したらいい?」
この質問にお応えする流れで話を進めてまいります。後半にうんざりコールの対処法をお伝えしますので是非最後までお読みください。
休みの日に顧客からの電話対応は義務?!
休みの日に顧客から電話がかかってくるのは本音は避けたい。しかし対応しなければ会社にクレーム報告されるそう…。
だったら「やはり顧客の電話はいつでも受けた方が安心だ」と考え対応する場合もあるでしょう。
しかし、休みの日に顧客からの電話に対応するのは義務なのかと言われれば違います。労働基準法では”休日”について「労働者が労働義務を負わない日」とされています。
仕事に関する電話はすべて「労働」。休みの日のたった1本の電話だとしても対応の義務とされません。
つまり、上司から休みの日の電話対応を強要されたら明らかにパワーハラスメントになります。業務上どうしても必要な場合は、割増賃金を保証すべき話なのです。義務は会社側の勤怠管理だといえるのではないでしょうか。
休みの日の顧客からの電話の優先度
休みの日の電話対応は義務ではないとはいえ「顧客によっては緊急を要する内容かもしれない」という心配はぬぐえないでしょう。その場合どうしたらよいか。あらかじめ自分で境界線を引いておきます。
たとえば大口顧客からの電話です。休みの日に電話対応はできない点を顧客が分かっていたとしても、もしかしたら緊急を要する内容かもしれません。
その背景を知らず、電話に出ないで休み明けの対応となれば”時すでに遅し”になるリスクもあります。大口、小口というように顧客優先度をつけるのは良くないですが、会社経営や損益に大きく関わる場合は軽重を付ける必要があるでしょう。
同じく新規顧客の場合は、休みの日の電話対応に関するルールが浸透していない場合もあります。最初のうちは電話で対応し、関係づくり優先で進めるのが良いでしょう。
しかしお得意様の中には、承知の上で何度も電話をかけてくる方がいるかもしれません。次の章で説明する対応でうまくいかない場合(ストレスを抱えそうな場合)は、上司に相談することをおすすめします。
休みの日の顧客からの電話対応
実際の電話対応の仕方は一つに限りません。以下に挙げるのはほんの一例です。「もううんざり!」とストレスを感じないようにするために参考にしてください。
休みの日に顧客からの電話に出る
休みの日に顧客からの電話対応は義務ではないとはいえ、職種によっては難しい場合があるでしょう。たとえば、サービス業やエンジニアなどです。
店舗は365日24時間営業でも従業員は交代で休みをとります。しかし、自分が休みであっても顧客はそうでない場合が多いです。担当が自分一人であれば、なおさら休みの日の電話対応が必要となります。
エンジニアにしても、顧客から「システムに不具合が生じた」となれば即対応が望まれるでしょう。この場合”休みの日であっても顧客からの電話に出る”という感覚は普通になりそうです。
休みの日に顧客によっては電話に出る
サービス業やエンジニアであっても”顧客による対応”でいい場合もあります。その判断は、休みを取る当事者だけでなく上司や同僚にもよるでしょう。
「このお客様はAさんが休みであっても即日伝えた方がいい」「お客様に”Aは休みをとっております”と伝えれば明日でも大丈夫」「Aさんの代わりに対応できそうだ」という感じです。つまり、職場にいる上司や同僚がAさんの代わりに対応するのです。
このように職場内での連携が機能していたら、休みの日に顧客からの電話でびくびくすることもなくなるでしょう。この際大切なのは、互いの顧客に関する情報を共有しているかどうかという点。
また臨機応変に対処できる人材が多ければ多いほど、個人にかかる負担が少なくなりそうです。
しかし、謝罪が必要だと判断した場合は即対応が必須。Aさんが休みであろうとなかろうとです。それはAさんにとっても会社にとっても重要な案件となります。”顧客による対応”は、そうした意味もあると認識しておきましょう。
休みの日に顧客からの電話には出ない
たとえば休みの日に、中小企業の経営者や従業員など個人あてに電話がかかってきたとします。あなたならどうしますか?
実はこちら、個人の価値観によります。仕事優先で何がなんでも営業成績を上げたいと思えば、場所や時間を問わず電話に出ます。逆にプライベートや家庭優先でワークライフバランスを大切にしているなら、一切電話に出ないでしょう。
「出ない」としている方の中には、自分なりにルールを決めています。例として挙げるなら「一回目は出ないが、複数回かかってくる場合は出る」です。もしかしたら緊急を要する内容かもしれないからです。
また社用携帯を持っている場合は、「退社時に電源を落とす」と決めている方もいるでしょう。個人携帯番号を安易に教えることなく、徹底して社用のみとする姿勢も大切です。
休みの日に顧客からの電話に出ないための対処法
そもそも休みの日に”顧客から電話があるかもしれない”とびくびくして過ごしたくないでしょう。肉体的・精神的に良くありません。この章では電話に出ないための準備についてお伝えします。
前もって営業日・時間を伝える
会社全体としてルールを作成しておくことをおすすめします。そして顧客に「営業日・営業時間外の電話対応はご遠慮ください」としっかり伝える姿勢も重要でしょう。
何かあったとき、双方の認識のズレが大きな問題に繋がる場合があります。そうならないよう”どうしても”という事態以外は、営業日・営業時間外の電話対応はしない旨を理解してもらう努力は必要です。
たとえば”どうしても”という事態の詳細やその場合の対処法などを明確にしておきます。できたら、契約の一部に入れてもいいでしょう。休みの日に電話対応をしない理由や背景について、丁寧に説明すれば顧客は納得するのではないでしょうか。
電話以外の伝達方法を伝える
早急に対応を求めるのではなく、顧客が報告・連絡・相談として休みの日に内容を届けたい場合もあります。休み明けまでに知っておいてほしい情報もそうです。
この場合は、かえってメールの方がいいでしょう。内容によっては電話よりメールの方が意図が伝わるかもしれません。グラフや図も添付しやすいです。
このように、即対応が必要な案件は電話、報告・連絡・相談などの場合はメールとしておくのも一案です。ただ、メールの場合は「返信は必要なし」というルールを相互理解しておきましょう。
その方がすっきりと休みの日を過ごせます。「対応は週明けに。その際は丁寧に」を心がければ関係は良好に保たれます。
返信は営業日にする旨を伝える
先ほどお伝えしたように、返信の有無については顧客と確認しておきましょう。
報告・連絡・相談ごとの内容を伝えても、返信は求めないししない。これを互いに「守る」のが鉄則。それが良好な関係づくりに必要だと互いに認識していれば上手くいきます。
前もってこうした策を講じれば、せっかくの休みの日に”返信せねば”のプレッシャーから解放されます。ただし、そうはいっても中には「返信をしない方が気になる」方がいるかもしれません。
つまり「返信しない」と決める方がストレスになる場合です。そのときは「短い返信」をしましょう。たとえば「休み明けに確認しご連絡します」と伝えるのです。
顧客によっては返信がないことで不安を抱えるかもしれません。こうした短いリアクションだけでも救われます。
それでも”うんざりコール”が続く場合
上述した策を講じても、ストレス大の”うんざりコール”が続く場合はどうしたらいいでしょうか。
上司に休みの日の電話対応を相談する
顧客に休みの日の電話対応やそのルールをきちんと伝えても「まあ、いいじゃないの」という感じで、お構いなく電話をかけてくるかもしれません。
根気強く誠実に対応しても、あなた自身のためにならない場合があるでしょう。知らぬ間に精神的に追い詰められるかもしれません。新人ならなおさら、その危険度は高いです。
顧客が上から目線で無理な要求をしてきたら……「自分ひとりで何とかしよう」という考え方はしないようにしましょう。この場合、早めに上司に相談します。担当を外してもらえるかもしれませんし、上司が顧客に伝えスムーズに事が進む可能性があります。
担当が外れたという点を気に病む必要はありません。適材適所。相性が合う合わないはあります。そこは割り切りましょう。上司に相談するのは、Win&Winのために自分がした良策なのです。
休みの日の電話対応を強要する上司は要注意!
働き方改革関連法やパワーハラスメント防止法の施行に伴い、使用者側は職場の働きやすさを意識せざるを得ません。休みの日の電話対応もその一つ。
そうであっても「俺の若い頃は休みなく働いたもんだ!お客様の電話一本で駆け付けた。今の若いもんは甘すぎる」という価値観の上司はいまだ健在。そういうタイプが上司の場合は苦しい立場に置かれます。
しかし、法律で労働者の権利は保障されています。労働組合やさらに上の上司に相談したり、第三者機関に頼ったりするなど方法はいくつもあります。
同僚で同じような思いの方がいれば、労働基準監督署への申告を検討してもいいでしょう。あるいは、官公庁や弁護士の質問・相談窓口(電話・メール・オンラインなど)の利用なども可能です。
「○○すると顧客に文句を言われる」「○○すれば、上司の立場が悪くなる」「結局、自分が悪いのだ」と相手の立場のみを重視し、自分を押し殺してしまうのが一番危険です。
質問や相談をするのは自分ができること。あきらめず改善策を探っていきましょう。
電話対応以外のツールを取り入れる
たかが電話、されど電話。昭和の時代は電話が主だった連絡ツールでした。今もそうでしょうが、ほかにさまざまなツールが誕生しています。
メールはもちろん、LINEワークス、チャットワーク、スラックなどでのやり取りも可能です。機能も豊富ですから仕事上使っている方もいるでしょう。
タスク管理、既読、リアクション、グループ連携などで一人に負担がかかることなく連絡できます。誰かが休みであっても勤務中の誰かが対応できるのです。
また、社内外のルールの共有も顧客との間でしやすくなるでしょう。営業マン一人で顧客にルール説明すると、実は時間と労力がかかります。グループで連携すれば、ルールの徹底も容易になるのでないでしょうか。
休みの日の電話対応で疲弊しそうなら転職
転職は最終的な策です。ただし「電話対応がうまくできないから」というマイナス的な捉えでなく、前向きな策としましょう。
顧客対応の細かな点まで気にして完璧さを求める…。それは価値あることかもしれません。ただし、ある程度の割り切りがないと難しいのも事実。
誠実に対応するとは、顧客や上司の要求のままに動くことではありません。相手のためだけでなく、自分に正直になるのも大切です。
そう考えれば転職するというのは、自分を守り、自分をよりよく生かすための策といえます。別の道がある点を心に留めておきましょう。
まとめ
今回は、休みの日に電話対応で”うんざり”感を軽減するための策をお伝えしました。
「営業は、根性だ!」と言われた時代もありました。精神論だけで押されていた感があります。でも今は違います。その人の性格や経験は影響しますが、”何をどう見てどのようにやるのか”、分析力と実践力が営業の要素かもしれません。
もちろん、会社の基本ルールが設定されているかどうかは重要です。その最終判断は自分自身。たとえば「休みの日に顧客からの電話に出るか出ないか」の判断に使える「my規準」を作っておくといいです。
たかが電話、されど電話。自分と顧客・会社と顧客が、お金に関わるWin&Winの関係だけでなく互いの時間を尊重し合える関係でいたいですね。