ビジネスシーンでは以前と比べて髪型に関する規定が柔軟になってきました。しかし、業種や世代によって髪型の印象に差が生まれるため、状況を見極める必要があります。
昨今、若い世代で人気の髪型「ツーブロック」も、スタイルによっては賛否が分かれるところです。
そこで今回は、ツーブロックのなかから好印象のスタイルについて紹介します。また、髪型を含め第一印象をよくするために知っておきたい事柄や営業マンの身だしなみのポイントなどを解説します。ぜひ最後までお読みください。
ツーブロックとは?
ツーブロックとは、トップを長めにしてサイドや襟足(あるいはサイドのみ)を短く刈り上げた髪型をさします。カット部分と刈り上げ部分の2つを塊(あるいは段差)と捉えて”ツーブロック”です。
ツーブロックとはいえ、さまざまなスタイルに分かれています。ファッション性や個性を出しやすい髪型として、とくに若い世代で人気のスタイルです。ただ、営業マンのなかには、”お客様への印象はあまりよくないかもしれない”と判断し、あえて避ける方もいます。
実際に営業マンにツーブロックは通用するのか、次章で確かめましょう。
営業マンのツーブロックは問題ない
結論をいえば、ツーブロックは営業マンの髪型として問題はありません。トップは長めですが、ツーブロックは両サイドを刈り上げているのが特徴です。耳の上に髪がかかっておらず、すっきりさわやかな印象を与えます。
しかし、刈り上げ部分が目立ちすぎるスタイルはあまり好ましくありません。若い世代どうしでのやり取りでは双方気にならないかもしれませんが、年配の方には軽率なイメージを与える可能性があります。
営業マンは、刈り上げ部分とトップの長さの差が分からないようにして、程度を考慮したツーブロックにした方が無難です。良くも悪くも髪型が印象に残り過ぎるのはよくありません。
お客様が営業マンの髪型ばかり気になって商談に身が入らないという状況を避けるためにも、髪型は目立ちすぎないスタイルにしましょう。
たとえば次のようなツーブロックスタイルを参考にしてください。
- トップとサイドの差を控えめにしたナチュラルスタイル
- 長めのトップと短すぎない刈り上げスタイル
- ふんわりマッシュで耳の上やバックを刈り込むスタイル
- 顔に前髪がかからないオールバック風スタイル
- 前髪やトップにゆるいパーマをかけたスタイル
初めてツーブロックにする方は、段差やパーマなどは控えめにして、社内や先方の反応を見るようにします。
営業マンの第一印象が重要な理由
営業シーンでは、やり取りが初めてのお客様もいます。営業マンの第一印象で、営業の進み具合や成約率が変わってくると捉えましょう。
ここでは、営業で第一印象が重要な理由を整理します。理由は3つあります。
- 初めの印象がその後も継続する
- ほかの要素にプラスの効果をもたらす
- 人の判断基準は、まずは視覚情報である
営業の挨拶で好印象をもたれると、自社の商品やサービスの案内に移行しやすくなります。印象という言葉どおり、人はイメージや感覚で相手を捉えるのです。「いい感じ」と思えば自ずと聞く姿勢に入り「いやだな」と思えば断ります。
お客様から一旦好印象をもたれると、営業マンの言葉やしぐさまで印象がよくなります。ハロー効果といわれるものです。
営業マンの髪型を見てお客様が「さわやかだ」と感じれば、商品説明の声質まで、さわやかで心地よく聞こえます。前髪が長く暗いイメージの営業マンが説明すれば、言葉にまで暗さを感じるかもしれません。
人は視覚情報によって判断する場合が多いといわれます。A・メラビアンによれば判断の優先順位は「視覚情報55%」「視覚情報38%」「言語情報7%」となります(メラビアンの法則)。営業マンの見た目と説明内容にズレがあれば、多くは見た目を重視するのです。
営業マンの第一印象は重要です。髪型はお客様の目にすぐ留まります。商談をスムーズに進め、成約へとつなげるための要素に髪型が含まれる点を理解することが大切です。
ツーブロックのやりすぎは禁物
髪型は、第一印象をよくするための要素であり、適度なツーブロックはお客様に清潔感やさわやかなイメージをもってもらえます。
しかし、ツーブロックのやりすぎは禁物です。「自分に似合っているから」「自分のテンションが上がるから」という自分目線の理由で、トップと刈り上げ部分の段差があり過ぎるツートップはお客様の印象を悪くする可能性があります。
場合によっては「この営業マンは目立ちたがり屋だ」というマイナスイメージにつながることもあるのです。実際は目立ちたがり屋でなくても、それほど第一印象のイメージは人の判断に影響を与えます。
業種や職場による許容範囲はさまざまですが、ビジネスシーンでは「控えめくらいがちょうどよい」と考えるようにします。営業マンは「お客様が主役である」という認識が重要です。その姿勢をお客様は敏感に感じ取ります。
営業マンの好感度を上げる髪型
好感度アップのツートップは、その程度によってお客様のもつ印象を変えます。お客様にとって印象のよい髪型、つまり営業の場面にふさわしい髪型のポイントは「清潔感」と「さわやかさ」です。
身だしなみに気を配る営業姿勢をお客様に伝えたり、お客様の気持ちを明るくしたりする要素となります。清潔感とさわやかさを感じさせる具体的なポイントについて次から解説します。
前髪を流すか上げる
前髪は長すぎず、まゆげが見える長さにします。前髪をオールバックのように全部上げる必要はありません。
ただし、前髪が長いと目元や表情が分かりづらく、お客様に暗い印象を与えてしまいます。隠し事をしているわけでもないのに、相手を不安にさせる場合もあるでしょう。
暗いイメージを払拭するためには、前髪をサイドに流したり立たせたりして、目元や表情が分かるようにすると印象がよくなります。
サイドや襟足は短くする
営業では全体的に短めの髪型にするのが基本といわれます。サイドは耳にかからない程度に、襟足も刈り上げると、すっきりさっぱりとして好印象です。
また営業マンは法人や個人宅など外回りが多いため、汗をかいたり風雨にさらされたりする場合があります。
状況によって髪を整えるのが難しくても、短ければ即対応できます。ハンカチやタオルで汗を拭き、さっと髪型を整えてお客様に笑顔で対応しましょう。
程度を考えてバランスよく
ツートップのスタイルはもちろん、何事も”いい加減”が重要です。髪型が極端に短かったり長かったりすれば、お客様に奇抜だと思われるかもしれません。
ヘアカラーにも注意を払いましょう。明るい印象をもってもらおうと明るめのカラーを選ぶのは逆効果です。ワックスもつけ過ぎるとギラギラした印象が強くなります。お客様に清潔感をもってもらうには、ワックスの種類や量に配慮します。
営業マンは常に「清潔感とさわやかな印象をもってもらうには?」と自問し、お客様にとって気持ちのよい髪型を追求する姿勢が大切です。自分らしさを出したい場合は、営業トークや姿勢で示すように努めます。
知っておきたい業界別髪型ポイント
清潔感とさわやかさが感じられる髪型は重要なポイントですが、業界や世代によって髪型に関する”許容範囲”は異なります。また、どの業界においても世代間で認識の差はあるのは、ある意味仕方ありません。
同じ業種でも、堅い職場と自由な職場など差はあります。そして、どの職場でも世代間の差は意外と大きいものです。20代、30代では何とも思わないツーブロックが、50代以降の世代には軽薄なイメージをもたれるかもしれません。
営業マンが関わる業種は多岐にわたります。どの業界においても共通点は「清潔感」と「さわやかさ」です。その点は念頭におきましょう。では早速、業界別髪型ポイントを解説します。
公務員・医療・金融保険業など
いわゆるお堅い仕事の公務員、命を預かる医療、お金と命に関する金融保険業などは、髪型・服装・所作など、ほかの業種よりさらに清潔さやさわやかさが求められます。
また、特定業種どうしとのつながりだけでなく、さまざまな業種関係者とやり取りする場面が多い仕事です。誰が見ても不快感を抱かせない髪型にする必要があります。
製造・建築業など
上記の業種ほど厳しくはありませんが、取引先企業やお客様には年配の方もいます。製造や建築業者の営業マンとして、公務員や医療、金融保険業者とやり取りする場面も生まれるでしょう。
社内や同業種では認められる髪型でも、場と人が変わればツーブロックなどが信頼関係にマイナスとなるかもしれません。そのため、極端なヘアースタイルはしない方が無難です。
アパレル・美容業など
おしゃれ感大の業種については、比較的自由な髪型が認められています。トレンドを意識した髪型を社員にすすめる業種や職場もあるでしょう。
しかし、それでもお客様相手の仕事ですから「清潔感」と「さわやかさ」は求められます。店舗に訪れるお客様や取引先の営業マンに違和感をもたれないような髪型にします。
ビジネスシーンでは髪型以外にも気配りを
外回りの多い営業マンはとくに、髪型以外にも気配りをする必要があります。同僚どうしはよくても、外に出れば誰であれ、お客様です。毎日意識すべき内容について確認します。
朝の時間はゆとりをもって
出勤日の朝は、ゆとりをもって起床したいものです。ぎりぎりまで寝て慌てて起き、適当に髪を整え着替えて出勤…とならないよう、気持ちにゆとりをもてる朝にしましょう。
洗顔、ヘアセット、着替え、朝食、排便などごく当たり前の日課をスムーズに行えるのが、できる営業マンです。「朝食の時間が無いから朝は抜くかコンビニ」の習慣は、あまりおすすめできません。
きちんと歯を磨く時間も設定してゆとりをもって出勤します。
身体のメンテナンスを定期的に
忙しい毎日ですが、自分の健康状態に気を配る姿勢は大切です。定期的なヘアカット、歯の検診や治療、爪の手入れ、ときには身体のもみほぐしなど、お客様の目に見える部分だけでなく、見えない身体のメンテナンスを意識します。
おしゃれ感というより、どちらかといえば「心身ともに健康である」と自信をもっていえる営業マンが、清潔感やさわやかさを醸し出せます。髪型はバッチリ決まっているけれど、顔色も悪く前かがみ…となれば、お客様は違和感をもちます。
服装や靴などにも注意を払う
お客様によっては髪型だけでなく、スーツやワイシャツ、ネクタイ、靴など隅々まで見る方もいます。スーツやワイシャツの手入れ、ネクタイの締め方、靴は磨かれているか…などです。
ブランド物を着用すれば、すべてOKと思うのはよくありません。営業マンで見られるのは、ブランド物に着せられている姿ではなく、ブランド物であれ何であれ、営業マン自身が着こなしている姿です。
また、身につけているものがブランド物で、手入れされていたとしても足元が△の場合もよくありません。「おしゃれは足元から」といわれます。「靴は汚れやすいため、とくに丁寧に扱うこと、そういう心配りができるように」の意が含まれています。
個人宅を訪問して玄関先でなく家に上がる場合、靴を脱ぎます。お客様のなかには、靴を見て「この営業マンは外見だけでなく細部に気を配れる人だ」と思う方もいるでしょう。
靴のほかに、靴下に関しても同様です。靴を脱いだら靴下に穴が空いていた…なんてことにならないようにします。汗をふくハンカチやタオルさえも清潔感を感じられるものにしましょう。
まとめ
営業マンにとって髪型は、第一印象をよくするための要素となります。適度なツーブロックは、お客様から清潔感とさわやかさの理由で好印象をもってもらえます。
しかし、極端に短すぎたりファッション性を意識し過ぎたりするツーブロックは営業マンの評価を落としかねません。また業界や世代の違いによっても印象は変わります。営業マンはさまざまな方との接点が多いため、控えめな髪型にした方が商談もスムーズに進められます。
ツーブロックがいいか悪いかと判断する際のはお客様です。「お客様にとって気持ちのよい髪型や服装、姿勢やトークは?」と考え実践するのが営業マンです。
自分らしさを出せるチャンスは営業姿勢やトークにあると捉え、見た目も含めた営業力を磨きましょう。