アタックリストとは、ターゲットリストあるいは顧客リストとも呼ばれ、営業の対象となる顧客に関する情報を集めた一覧表を指します。
既にアタックリストを使って営業をおこなっている方はいるでしょう。ただ、次のような悩みや思いがあるかもしれません。
「アタックリストを作っているけれど、業績につながっていない」
「アタックリストを使って効率的に営業するにはどうしたらいい?」
この悩みを解決するために、今回はアタックリストの活用で営業成績を上げるために必要な情報をお伝えします。アタックリストをフル活用するための視点やリスト作成時に使えるツールを紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
アタックリストの概要
アタックリストは、営業マンが効率的に顧客へアプローチするために顧客情報をリストアップした名簿表です。リストに掲載されるのは、たとえば「顧客氏名あるいは代表者名」「連絡先」「住所」「営業担当部署や営業担当者」「ホームページURL」などです。
営業先が個人あるいは法人によって、挙げられる項目や数に違いはあるでしょう。法人であれば支店やグループ企業名、社員数、そのほか資本金や売上高なども含まれます。個人の場合は、家族構成や職業、地域情報などが入ります。
業種によって収集すべき情報は変わってくるでしょう。いずれにしても情報収集をする際、何に活用できるのか見通しをもちながら、目的に合う情報の項目を挙げる必要があります。
アタックリストのメリットとは
ここで、アタックリストのメリットを整理します。アタックリストを作成する場合「とりあえず情報を集めよう」「なんでもかんでもとにかく集めよう」といった姿勢はあまりよくありません。
活用目的が不明瞭なまま収集しても結局どこにも活用できず、収集にかけた時間やコストが無駄になってしまうためです。
できるだけロスを少なくして集めた情報をフル活用することが大切です。これを念頭にアタックリストのメリット3つを確認しましょう。
営業活動の効率化
アタックリストを作成し活用することで、営業活動を効率的におこなえます。その理由は、目的に応じて計画的に顧客へアプローチをかけられるためです。
訪問営業の回数を増やしてやみぐもに営業をしていくだけでは、戦略なき営業となり効果を出せないでしょう。逆にアタックリスト作成時に顧客ターゲットを絞り込めば、アポイント獲得の可能性が高い顧客にアプローチでき成約へつなげやすくなります。
また、営業の効率化によって無駄なコストを削減できるだけでなく、生まれた時間を使って新たな顧客にアプローチすることも可能になります。
顧客管理の最適化
アタックリストを作成すると顧客管理を最適にできます。膨大な顧客情報をいつでもどこでも誰もが確認でき、担当者が不在であっても代理の営業マンが顧客と円滑にコミュニケーションを取ることも可能です。
さらに、アタックリストの有効活用で顧客のレベルに合わせて戦略的に営業をしかけられます。たとえば見込み顧客の精選にとどまらず、潜在顧客を掘り起こしたり既存顧客を優良顧客に押し上げたりするのです。
つまり、アタックリストはひとりの顧客を発見して自社商品やサービスのファンに育てるうえで欠かせないリストといえるでしょう。
営業活動の組織化
アタックリストを作成するのは、組織内で情報を共有できるメリットがあります。共有ができれば、1人の営業マンに頼り切る組織からの脱却が図れるでしょう。つまり、アタックリストの作成は、営業活動の属人化を防ぎ、組織を強くするために必要な方法なのです。
たとえば、営業マンが10人いて1人に頼り切る組織があるとしましょう。その場合、いくら優秀な営業マンがいても1人の成約率を向上させるには限界があります。
一方、アタックリストをはじめとする営業活動の最適化を図ることで、10人いればそれぞれに仕事を任せることができ営業部内の生産性は向上します。
また、アタックリストがあれば営業活動における重複を避けられます。リストをもとにチーム内でよりよいアプローチ法を考案するのも可能になり、営業組織の更なる活性化につなげられるでしょう。
アタックリスト作成前に営業戦略を策定
次に、アタックリストを作成する前におこなう営業戦略について解説します。これはロスなしのリスト活用を実現するうえで必要な項目です。
営業戦略を立てなければ、アタックリストをもとにした営業に不備が生じたり改善点があった場合に有効活用できなかったりする場合があります。
営業戦略があるからこそ目的に合う営業をおこなうことができ、営業結果を客観的に分析し営業の質を向上させられるのです。
このため営業戦略を立てる際は、目標設定はもちろん、3C分析やSWOT分析などのフレームワークを使って迅速かつ丁寧におこなう必要があります。また、戦略を立てるだけでなくアクションプランを作成することも重要です。
まずは営業戦略をしっかり立て、戦略にもとづいてアタックリストを作成するようにします。この方法を用いた方が、アタックリストで顧客を選定する段階でアポイント獲得につながりやすい顧客を選べます。
フル活用できるリストを作成するコツ
アタックリストの作成には2つの方法があります。1つは自社で作成する方法で、もう1つは専門業者に依頼したりリストを購入したりする方法です。ここでは、無料でできる自社でのアタックリスト作成方法について解説します。
顧客情報を収集する
企業が業績を上げるには、市場の状況やターゲット層を分析しながら、自社商品やサービスを購入すると想定される顧客の情報を丁寧に収集する必要があります。
たとえば、法人顧客に関する収集方法として考えられるのは次のとおりです。
- 企業のコーポレートサイトやECサイト
- 企業の求職サイトや求職情報サイト
- ツイッターやインスタグラムなど
- 新聞やテレビ、雑誌などの広告
- ローカル冊子や電話帳
また、セミナーやイベントを開催して直接顧客とコミュニケーションをとる機会を設定するのもいいでしょう。詳細で確かな情報を入手したい場合にとくにおすすめします。
情報収集とリスト作成は同時進行で
次に、収集した情報をアタックリストにまとめます。情報収集したらすぐにリスト化した方が、もれもなく最適なリストを作成できるでしょう。リストを作成後も、追加情報を入手した場合は、その都度入力するようにします。
無料でできる方法として、アタックリストの作成でよく使われるExcelが挙げられます。Excelは、顧客管理システムを導入した場合でもCSVファイルで簡単にアップロードできるため活用度が高いツールといえます。
このため、予算の理由で有料ツールの導入を見送る場合でも、まずはExcelでアタックリストを作成しておけば作成にかける時間を無駄にしないですみます。
アタックリストの項目選定は確実に
アタックリストを自社で作成したり無料テンプレートを使ったりするのは、企業側の事情によりますが、いずれにしてもアタックリストで選定したい項目はあります。
業種によって項目は変わってきますが、成果を出せるアタックリストを作成するために必要な項目です。よろしければ参考にしてみてください。
- 社名
- 代表者名
- 連絡先(電話、FAX、メールアドレス)
- 担当部署(担当者名)
- 住所
- 資本金、売上高
- 支店数や社員数
- コーポレートサイトやECサイトURL
- 顧客ニーズ
- 面談回数
- 購買履歴
- 問い合わせフォーム接触数
- 提案への反応状況
- 成約した際や断りの理由
- 改善案や気づき
このほか、企業や業種によって必要な項目を加えて、営業活動の効率性を高めていきましょう。
アタックリスト作成に便利なツール
アタックリストを作成できるツールには、さまざまな種類のものがあります。自社の企業規模や予算などに合わせて選定するようにしましょう。ロスなしで効率的に営業活動をおこなうために必要な作成ツールとして、今回は下記の4点を紹介します。
- SFAやCRM
- ExcelやGoogleスプレッドシート
- 無料テンプレート
- 有料リストの活用
順番に解説していきます。
SFAやCRM
SFAは営業支援システムツール、CRMは顧客管理ツールでどちらも有料サービスとなります。ツールを活用すれば、そのままアタックリストの作成ができると考えていいでしょう。
SFAやCRMは顧客情報や購入履歴、問い合わせ履歴など一元管理できるため、営業を効率的におこなうために企業で導入が進んでいます。
価格は月額数千円から万単位のコストがかかるものまで幅がありますが、予算や営業の活用目的・用途などを吟味しながら選択するとよいでしょう。
訪問営業や商談の結果などの情報をその都度入力すれば、適切なタイミングで顧客にアプローチできるため営業活動の効率化に役立ちます。
ExcelやGoogleスプレッドシート
コストをかけずに手軽に作成したい場合は、ExcelやGoogleスプレッドシートの活用がおすすめです。以前からExcelを活用している人も多いため比較的取り入れやすいでしょう。
Googleスプレッドシートも無料でできる表計算ソフトで、アタックリストの作成に活用できます。とくに、大人数で協働的に作業ができる点がメリットといえます。
また、Googleスプレッドシートはインターネット環境が整っていれば、いつでもどこでもアタックリストの更新が可能です。リアルタイムで編集できるため、情報の一元化が必要な営業活動に適したツールといえるでしょう。
無料テンプレート
スプレッドシートでアタックリストを作成する場合、無料テンプレートを活用できます。たとえばGoogleスプレッドシートを開くと「テンプレートギャラリー」のなかから選べます。
顧客情報を整理するシートのほか、月間予算や優先順位をまとめるシートもあるため適宜使い分けていくといいでしょう。もちろん項目は変更が可能です。とにかく早めに顧客管理を設定したい場合は、Googleスプレッドシートの無料テンプレートを試してみましょう。
実際に使うことで、項目を書き換えたり使い勝手のよいフォーマットに変更したりして自社に最適なアタックリストを作成できます。
有料リストの活用
アタックリストは自社で情報を調べて作成する以外に、販売会社から有料で購入できます。顧客情報を調べるにも時間やコスト、人手が足りない場合は、有料リストを購入した方が費用対効果が良い場合があります。
自社でアタックリストを作成するとどうしても自社目線になってしまいますが、他社に依頼することでより精度の高いアタックリストを入手できます。
アタックリスト作成&活用の注意点
おわりに、アタックリストを作成&活用するにあたって気をつけるべき点を解説します。注意点は下記の2つになります。
- 情報は常にアップデートする
- 個人情報保護法を順守する
アタックリストに掲載されている情報は、常に最新のものであることが大切です。昨今は変化の激しい時代であるため、今年流行ったものが来年も同じように流行るとは限りません。
つねにアンテナを高くしておきましょう。たとえば法人顧客であれば社名の変更はもちろん、営業担当者やニーズ等が変わっていないか定期的にチェックします。
また、個人情報の扱いについては気をつけすぎるくらい注意しましょう。個人情報保護法を遵守すれば顧客情報の売買は違法ではありません(国の機関や公共団体を除く一般事業者の場合)が、販売会社が不正な取得方法で情報を入手している場合は、利用者側にも責任が問われます。
個人情報を購入する場合は、個人情報保護委員会のWebサイトで販売会社が届出を出しているかどうか確認しましょう。
まとめ
質の高いアタックリストを作成するには、事前に営業戦略を策定し作成後は常にアップデートを続けることが大切です。
無料ツールでリスト作成すればコストを抑えられますが、作成に手間がかかり時間的にロスになる可能性があります。有料リストを購入すれば手間がかからず精度の高いリストを入手できますが、法律にもとづいた手続きが必要です。
今回紹介したツール作成方法に関してはそれぞれにメリット・デメリットがあるため、社内で充分に検討し現段階でのベストな方法を選定しましょう。
ロスをできるだけ抑えながら良質のアタックリストを作成するには、やはり実際の営業活動で培った経験も重要なポイントになります。アタックリストの価値や情報の取得、作成方法などを組織で共有しながら、アタックリストの精度を上げていきましょう。