営業で個人や法人顧客に自社商品やサービスをよさを伝えるにも「なかなかうまく伝えられない」「業績を上げられない」と悩む人はいるでしょう。
営業方法に改善の手を加えるには、まず営業資料の見直しを図る必要があります。営業資料とは自社商品やサービスの概要やメリットをわかりやすくまとめたもので、営業活動において欠かせません。
そこで今回は成果につながる営業資料の作り方について解説します。顧客の心をぐぐっと引き寄せるような営業資料の作成ポイントがわかりますので、ぜひ通してお読みください。
まずは営業資料を作成する目的とメリットについて確認しましょう。
営業資料を作成するメリット
ここでは、営業資料を作る目的とメリットについて解説します。営業資料を作成する目的は、見込み顧客に自社商品やサービスの魅力を伝えて成約へつなげることです。
目的を達成するには顧客のニーズをしっかり把握する必要があります。顧客の欲求を満たし行動へとつなげるのに成功すれば、成約率を向上させられるでしょう。
目的を達成し得る営業資料を作成すれば、今回紹介するメリットを感じられます。ここでは、メリットを3つ紹介します。
自社商品やサービスの特徴やよさを共有できる
営業資料を作成するのは、顧客に関するメリットだけではありません。社内において自社商品やサービスの価値を共有できるメリットがあります。
同僚であっても価値観や見方によって自社商品やサービスに対する印象は違います。これは致し方ないのですが、商品やサービスに対する捉え方が違い過ぎれば営業内容に差が生まれるでしょう。
営業内容に差が生まれると、一貫したマーケティング戦略をうちづらくなり業績向上にうまく連動しません。
これを避けるには、社内で自社商品やサービスに関する理解を共有必要があります。営業資料は共通理解を促進するうえで大切な役割を果たすのです。
また、営業資料の作成を通じて、社内で思わぬ視点を発見する可能性があります。今まで認識できなかったアピールポイントを見つける機会となるため、営業資料の作成は自社商品やサービスに関する知識を深めるためにも重要だといえます。
属人化を回避し営業の質を向上させる
営業資料を作成するのは、営業マンによる差が出ないようにするためです。営業マンの手腕に頼り切るスタイルの営業活動では、いつまでたっても属人化から脱却できません。たしかに営業マン一人で営業資料を作成できますが、営業部署全体の底上げにつながらないでしょう。
つまり、営業資料を作成すれば営業部署全体の営業スキルを向上させ、営業の属人化を回避できるのです。全体的に営業の質が向上すれば、成約率アップにつながるなどプラスの連鎖が生まれます。
視覚的に訴えやすくオンラインでも活用できる
営業資料を作成するのは、自社商品やサービスに関する情報を顧客に伝えやすいためです。提案資料がなくても顧客との商談を進めるのは可能ですが、口頭で伝えるだけでは印象に残りにくくなります。
また、口頭のように言語情報だけでは相手がわかりづらい場合があるでしょう。営業資料があれば視聴覚情報が加わるため、顧客が理解しやすくなります。商談が終わった後も営業資料が顧客の手元に残るため、再確認や問い合わせてコンタクトをとりやすくなります。
ほかに、オンライン営業で説明する場合は、PowerPointで営業資料を作成しておくと良いでしょう。資料に画像や動画を挿入すれば、自社商品やサービスの魅力を具体的に示せます。
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このように営業資料は、社内スタッフや顧客双方にメリットがあり、自社商品やサービスに関するベストな情報ソースといえます。営業資料があれば、営業の際に緊張し過ぎることなく自信をもって伝えられるのです。
では、次章より実際に営業資料を作成するポイントを解説します。
成約率アップ&結果を出すためにできる5つのこと
営業資料の作成にメリットがあるとはいえ、作り方を間違えたり手抜きをしたりすれば、実際の成果につなげられません。ここでは、成約率を上げて結果を出すためにできる策として5つ紹介します。
ターゲットとニーズを具体的に設定する
営業資料を作成する際は、ターゲットを明確にイメージしましょう。ターゲットが不明瞭であればアプローチしても効果を実感できません。
ターゲットは実像がはっきりするように設定します。たとえば個人に対する保険の営業資料を作成する際は、家族や年収、ローン返済などプライベートな情報が必要になります。
また、性別によってニーズも変わり、”返済あり・なし”に応じて掛金が変わってくるでしょう。顧客の状況に応じて「もし〇〇だったら」と仮定し、シチュエーションを複数設定することも考えられます。
ターゲットやニーズが明確になれば「お客様のためにどのような資料を作成したらよいか」具体的に見え最適な商材を案内できるのです。
逆にターゲットやニーズが不明瞭なまま、”自社がおすすめしたい商材”で資料を作れば顧客は魅力を感じません。せっかく営業資料を作っても押し売りとされて、話を聞いてもらえない可能性があります。
営業資料の利用目的を確認する
営業資料の利用目的とは、おもに次の3点を指します。
- 自社の企業情報を紹介→「会社案内」
- 自社商品やサービスの紹介→「パンフレット」
- 顧客に商品やサービスを購入(利用)案内→「提案資料」
※なお本記事は紹介する3点のうち「提案資料」を作成する視点で伝えていますが、前2つも重要な資料になるためここで解説します。
1つめの「会社案内」とは、新規顧客を獲得したい場合に必要な資料を指します。自社がどのような会社か紹介したり、自社の事業内容や取引先などの情報を細かく伝えたりするものです。
2つめの「パンフレット」は、顧客に自社商品やサービスの魅力を効果的に伝える資料です。魅力を伝えるには、キャッチフレーズで印象づけたり商品の写真を大きく掲載したりするなどの工夫が必要です。
最後の「提案資料」は、商談で一番重要な資料となります。提案資料の出来次第で成約につながるか断られるかが決まるといえます。
提案資料は、顧客のニーズをしっかり把握し、自社商品やサービスが顧客のニーズにどう応えられるかわかる内容でなければなりません。さらにいえば好感をもってもらうだけでなく、購買行動へとつなげられる資料であるのが理想です。
営業資料を使うフェーズを確認する
フェーズとは、営業活動における段階を指します。営業フェーズに適した営業資料を作成すれば、スムーズに商談を進められます。
フェーズは、顧客の求めるものや知りたい情報と関連しているため「この顧客は、今このフェーズにいるから、この営業資料を提示しなければならない」と考える必要があります。
フェーズを考える場合は、下記の「AIDMA(アイドマ)モデル」がよく使われます。各段階の内容に応じて提案資料を作成しましょう。
- ・Attention(注意):顧客「こういう商品やサービスがあるんだ…」
- ・Interest(関心):顧客「もうちょっと詳しく知りたいな」
- ・Desire(欲求):顧客「なるほど、これは良さそうだ、できたら購入したいな」
- ・Memory(記憶):顧客「(不安材料を解消して)なんとかして購入したい」
- ・Action(行動):顧客「これだったらメリットは大きい!購入しよう」
フェーズにおける顧客の思いに合わせた資料を作成すれば、効率的に営業活動をおこなえます。
営業資料で何を一番に伝えるのか決める
営業資料の内容を考える際は、該当資料を通して伝えたいことを明確にする必要があります。たとえば「購入(利用)してほしい」あるいは「すぐに結論をいただきたい」のか考えるのです。
ただし、資料内容にそのまま記載すれば、相手の心証を悪くするでしょう。次のようなアプローチの仕方をすると効果的です。
- 購入(利用)してほしい⇒「無料で特典3点をおつけします」
- すぐに結論をいただきたい⇒「ただいまお得なキャンペーン中」
このように一番伝えたい内容を具体的に言い換えれば、購買行動をおこしやすくなります。
営業資料の構成やデザインを考える
営業資料が使われる場面に合わせて構成やデザインを変える必要があります。たとえば下記のようなポイントを念頭に考えてみましょう。
- 顧客やニーズを念頭に作成する
- 大枠を作成してから詳細を加える
- 文字のフォントやサイズを考える
- 文字だけでなく写真や図などを活用する
- 自社を意識しつつも顧客に合わせたデザイン
前述した提案資料の種類「会社案内」「パンフレット」「提案資料」によっても構成やデザインは異なります。文字量に関しても利用目的に合わせて調整が必要でしょう。
ただ、どのような場合であっても顧客やニーズを意識したものでなければなりません。文字が多すぎれば顧客に負担感を抱かせる場合があるため、適宜改行したり行間をいれたりして「見やすさ」を意識します。
「見やすさ」に関していえば、写真や図など見てわかるものを取り入れると説得力ももたせられるでしょう。
また、ストーリー性のある営業資料は、顧客が魅力を感じやすいといえます。ストーリー性をもたせるには、いきなり資料作成に入るのではなく大枠を考えてから作成に入るのがおすすめです。
なお5つめの「自社を意識しつつも顧客に合わせたデザイン」とは、”自社のイメージを損なわないデザイン”と”購入(利用)を検討する顧客に合わせたデザイン”の融合を図る視点を指します。
営業資料には、顧客に購入行動をうながすために必要な工夫を施すようにしましょう。
営業資料の作り方と手順
上記の5点を念頭に実際に営業資料の作成に入ります。ここでは、営業資料の作り方と手順を解説します。
表紙
表紙は「第一印象」をよくするためにあると考え、具体的で簡潔なタイトルをめざします。また、文字のフォントや大きさも吟味する必要があります。
顧客により印象づけたい場合、タイトルの中に数字を入れると効果的です。たとえば「【商品名】5つの効果…」「生産性が1.5倍上がる【商品名】」という感じです。
表紙に顧客の氏名や企業名を入れる際は「〇〇様へのご提案」などとすると、自分事として受け取ってもらえます。しかも「私(弊社)のことを大切に思ってくれている」といった印象を与えるでしょう。
商品やサービスの紹介
自社商品やサービス内容について簡潔に説明します。とくに「貴社が自社商品を購入することでどんなメリットが得られるのか」をわかりやすく伝えましょう。営業資料には、商品の写真を掲載したりサービス導入でもたらされる効果をグラフで表したりすれば顧客に印象づけられます。
直接その場で製品を紹介できない場合は、使用の様子を見られる動画を活用すると効果的です。
課題や解決策の提示
顧客が抱える課題をイメージして提示し「この課題をどのように解決できるか」といった内容を資料に盛り込みます。
設定する課題は、顧客の悩みをしっかり調査したうえで決めるようにしましょう。その理由は、顧客のニーズや悩みとかけ離れた課題を設定して解決法を提示しても、顧客の心に響かないためです。
この際、サービスを利用しない場合のデメリットも合わせて紹介すると、顧客に「損はしたくない」といった気持ちにさせ購買行動へつなげやすくなります。
事例を紹介
事例を紹介する理由は、自社商品やサービスに対する印象をよくするためです。営業マンが「この商品はいいですよ」と何度も伝えるよりも、顧客に信頼感をもってもらえます。
たとえば「○○社様にもご購入いただき好評を博しております」「95%以上の利用者が効果があったと答えています」と伝えてみましょう。ユーザーの利用状況や声など、より具体的に伝えると信用してもらえるでしょう。
また、著名人がおすすめする声や第三者機関の研究結果などを紹介するのも信ぴょう性が増します。
料金や導入時の手順を説明
料金に関する情報は商品やサービスの情報と合わせて、顧客が知りたいものです。いくらよい商品やサービスであっても「これは高すぎる」と思えば、購買行動へとつなげにくくなります。
料金を提示する場合は、ベーシック・スタンダード・プレミアムのように料金の安い方から順に3つほど提案するのもおすすめです。とくに中間の価格帯をいくらにするのかが重要になります。
その理由は顧客は「安すぎるのも心配だし、お得感が少ない気もする…高すぎるのは手が届かない…」といった心境になるため、真ん中が一番”安心”となり選ぶ確率が高くなるためです。
そのほか、購入(利用開始)後の使い方などについても簡潔に提示しましょう。購入後をイメージできる方が、顧客に安心感をもってもらえます。また購入(利用)後に「こんなつもりじゃなかった」といったクレームを回避できます。
顧客が求める営業資料とは?
ここでは、営業資料を作成するにあたって知っておきたいポイントを解説します。わかりやすい例としてPowerPointで営業資料を作成する場合をイメージしてお読みください。
営業資料を作成する際は、下記の4点を意識しましょう。
- 読みやすさと見やすさ
- 数字を入れる
- 不安を解消する
- 悪い点も伝える
顧客に自社商品やサービスのよさを伝えるためには、まずは「読みやすさ&見やすさでわかりやすく」が鉄則です。情報を入れ込み過ぎると顧客がわかりにくくなります。
わかりにくいとなれば顧客は商品やサービスに対して不信感をもち購買行動につながりません。顧客に安心してもらうためにも、情報を精選し、適宜図表や数字を入れながら簡潔にまとめましょう。
また、営業資料を作成する際、良い点ばかりを記載すれば逆に「いいことばかりだけれど本当なのか?」と顧客に疑念を抱かせるかもしれません。
こうした不信感を払しょくするために「顧客が本当に知りたい情報は何か?」とくり返し問い直します。ときには不安材料をあえて提示し、そうならないための方法について説明すると顧客に安心してもらえるでしょう。
まとめ
今回は商談で成約率をアップさせ結果を残すために必要な営業資料について解説しました。営業資料を作る際も実際の営業活動と同じように、顧客やニーズの把握をしっかりおこない、最後まで顧客目線を貫く必要があります。
営業資料は営業のフェーズに合わせ、顧客のニーズを満たしたり悩みを解決したりするための情報を盛り込みます。顧客が”見て読んでわかる内容”であることが条件です。
また、不安を解消し自社商品やサービスの購入によって明るい未来が描ける資料が理想です。本記事で紹介したポイントを参考に、顧客に安心かつ魅力に感じてもらえる営業資料を作成しましょう。