会話の主導権を奪われないために知っておきたい6つのテクニック

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訪問営業や商談、会議などのビジネスシーンにおいて、会話の主導権を握ることはビジネスの進行に大きな影響を与えます

しかし、会話の主導権をなかなか握れず、次のような悩みを抱える人もいるでしょう。

「相手に思い通りに話を進められてしまい、一つも提案できない」
「自分で気をつけていても、いつも主導権を奪われてしまう…」

このような悩みを抱えながら営業活動を続けていくのは、成果を出せないばかりか精神的にも追い詰められてしまいます。

今回は、主導権の意味や主導権を奪われることによるデメリットを明確にしたうえで、主導権を握るためのテクニックについて紹介します。ビジネスシーンでより成功を収めるためのポイントをお伝えしますので、ぜひ通してお読みください。

会話で主導権を握る力の重要性

会話や交渉において主導権を握ることは、成功への鍵となります。ここでは、主導権の意味と重要性について解説します。

主導権は、対話や交渉において話の進行や方向性を自身がコントロールする能力です。会話のリーダシップをとることを指し、ビジネスの目的を達成するために重要な要素です。

会話で主導権を握ることで、さまざまな効果が期待できます。

  • 自分のメッセージや提案を相手に効果的に伝えられる
  • 自信をもって対話に臨むことができるようになる
  • 相手の信頼を得られやすくなる

スムーズなコミュニケーションを行う場合、傾聴の姿勢は欠かせません。ただし、単に相手の話を聞くだけでは自身の目的を達成しにくくなります。最適なタイミングで自分の意見を相手に伝えることは、コミュニケーションの質を向上させます。

主導権の握り方を身につければ、人と対話する際に自信をもって臨めるようになり、同時にコミュニケーションの楽しさを実感できることでしょう。また、相手にも「この人はいつも話を聞いてくれるし、自分の考えをしっかりもっている人だ」といった信頼感を得られやすくなります。

会話で主導権を奪われる場合のデメリット

主導権を握ることが難しい状況やその課題について考えてみましょう。主導権を失ってしまうと、コミュニケーションの進行や交渉がうまくいかない可能性があります

  • 商談が円滑に進まない
  • 相手に依存する状態になる
  • 営業に不安や苦痛を感じる

主導権を握れない場合、商談が予定通りに進まず成果につながりにくくなります。その理由は、相手が話題をそらしたり異なる方向に話が進んだりすることで、本来の目標や計画からずれてしまうためです。

また、主導権を握れないと相手の反応や行動を待つ立場になり、相手が動かないと何も進展しない状況に陥ります。相手に依存している状態が続けば、成約率を思うように上げられません。

主導権を握れない状況が続けば、営業パーソンが精神的なストレスを抱えやすくなります。せっかく準備して臨んだ商談でも自分の役割が曖昧になり、自信やモチベーションを低下させる結果を招くでしょう。

主導権を奪われたままの状態を改善するためには、自分の会話法やクセを分析して少しずつ改善していく必要があります。

会話で主導権を奪われないためのテクニック6選

会話や商談において主導権を握ることは、成功に向けた重要なステップです。主導権を握るテクニックには「場の主導権」と「会話の主導権」がありますが、本記事では会話の主導権を握るテクニックについて解説します。

以下の6つが主導権を握るためのテクニックです。

  • シナリオを準備する
  • あいづちやリアクションは適切に
  • 積極的な発言をする
  • 質問で切り返す
  • まとめる
  • 適切なタイミングで沈黙を活用する

それぞれ詳しく解説します。

シナリオを準備する

会話の進行をイメージし、自分のメッセージや質問を含んだシナリオを用意しておきましょう。シナリオがあることで、自信をもって会話に臨みやすくなります。

シナリオは言ってみれば、知らない場所へ旅をする際に持っていく地図のようなものです。”迷子”になるリスクを低減させ、確実に目的地に到達するための手段といえます。

シナリオを用意する際には「何を話すか」だけでなく「何をどの順番で話すか」を考えて作りましょう。具体的なシナリオを作成すれば、相手の反応に合わせて質問をしたり適切な情報を提供したりすることが可能になります。

あいづちやリアクションは適切に

会話の主導権とは若干異なりますが、リアクションを意識したり適切なタイミングであいづちを打ったりする姿勢は、会話を成功させるうえで重要な手法です。

リアクションやあいづちによって、相手の言葉を受け取り理解していることを示せます。相手は自分の話に対して興味をもって聞いてくれている点に好感をもち、営業パーソンの話にも積極的に耳を傾けるでしょう。

ただし、リアクションやあいづちを何回もするのは避けたほうが良いです。頻繁に同じリアクションを繰り返した場合、相手によっては「話を軽く受け流されている…」と感じ、あなたの話にもあまり関心を示さなくなります。

積極的な発言をする

聞く姿勢を保ちつつ自分の目的に照らして明確に意見を伝えることも、主導権を握るための重要なテクニックです。

積極的な発言をする際には、以下のポイントに注意すると効果的です。

  • 曖昧な表現を避け、具体的な明確な表現で伝える
  • 相手に自信をもって話す姿勢を示す
  • 相手の話に関連づける
  • 質問を組み込んでみる

自信をもって話すのが難しいと感じる場合は、声のトーンと姿勢に注意を払いましょう。トーンが高すぎれば、相手にあまり良い印象を与えません。適切なトーンと姿勢がどの程度であるのか、同僚や上司などに聞いてみると参考になります。

自分からなかなか発言しにくい場合は相手の話をよく聞き、その話に関連づけて自分の考えを伝えます。また、相手に質問をするのは、対話をつなげて主導権を奪われないテクニックとして効果的です。

積極的に発言する姿勢を身につけ、会話の流れを主導する力を育てていきましょう。

質問で切り返す

相手の発言に適切な質問をすることで、会話の流れを自分の方向に導けます

相手のニーズを正確に理解し、ニーズを掘り下げるための質問を行いましょう。適切な質問は相手に興味がある旨を伝える要素となり、信頼を構築するうえでも効果があります。

会話で主導権を握るためには、以下のポイントに注意して質問を行います。

  • 相手が感じている課題や疑問を引き出す
  • オープンクエスチョンでたずねる
  • フォローアップの質問を行う
  • 自分の提案や商品に関する質問を投げかける

顕在化したニーズだけでなく潜在的にもっているニーズも把握するために、相手の話をよく聞いて深いニーズに迫る質問をすることが大切です。YesかNoですぐに即答できるような質問内容ではなく、具体的な言葉で語ってもらえるような質問をします。

質問を繰り返していくと会話に深まりが生まれ、ニーズ把握が可能になると同時に関係づくりにも良い影響を与えます。自分の提案や商品に関連する質問を行うのは、相手に自分のアプローチを示すためです。ただし、自己中心的な印象を与えないように言葉や態度に細心の注意を払いましょう。

まとめる

会話の途中で相手の話をまとめるのは、相手の発言を受け入れながらも、自分の理解を示す重要なテクニックです。相手は自分の話がちゃんと聞かれていると感じ、信頼感を持ちながら会話を進めるでしょう。

自分の意見や提案を主張する前に相手の話をまとめることで、スムーズに自分の話へ移行できます。このタイミングで自分のアイディアや提案を提示できれば、会話の主導権を確立できます。

話の内容をまとめる際は、適切な言葉の表現を用いて一方的なまとめ方にならないように気をつけましょう。不適切なタイミングと表現でまとめた場合、相手によっては「勝手に話をまとめられてしまった」と思い、あなたや会社に対する不信感をもたせてしまいます。

これを回避するには相手目線を貫き、共感的態度で顧客を理解しようとする姿勢が大切です。

適切なタイミングで沈黙を活用する

会話で主導権を握りたい場合、沈黙を適切に取り入れる方法があります。

口数が多いことが主導権を握っていると思われがちです。しかし、ことわざにもあるように「言葉多きは品少なし」ともいわれます。会話を流ちょうにつなげる人に対して「頭の回転が速い」「知性がある」といった評価も聞かれますが、逆に「軽薄だ」「品位に欠ける」と思われる可能性もあります。

沈黙を活用する際は自分から積極的に話を切り出さず、相手にリードさせる姿勢が求められます。自分が発言しない限り会話が進まないため、実際には「会話の主導権を握っている」状況をつくるのです。

沈黙を使うことは会話の中でタイミングを見極めるスキルが必要です。相手に自然なリアクションや発言の機会を与えて、会話の質を向上させるテクニックといえます。

主張が強い顧客に対する会話の進め方

事前にシナリオを用意して適切なテクニックを駆使しても、顧客の主張が強い場合はなかなか会話の主導権を握れないかもしれません。この場合の効果的な会話の進め方について解説します。

ポイントは以下の3点です。

  • 相手を観察する
  • 適切なタイミングで介入する
  • 確認&共感する

例を挙げながら解説します。

相手を観察する

まずはじっくりと顧客の態度を観察したり話し言葉を分析したりしましょう。この場合は前章でお伝えした「沈黙」の要素を取り入れ、以下の要素に着目してみてください。

  • 顧客のトーンやキーワードを確認する
  • 表情や雰囲気から気持ちを読み取る
  • 顧客のこだわりを見つける

顧客のトーンやキーワードを確認することで、相手の感情や態度を把握する手がかりを得られます。さらに表情や雰囲気を観察し、気持ちを適切に理解することが大切です。

また、顧客のこだわりや関心、ニーズなどを把握し、顧客との共感ポイントを見つけます。決して簡単ではありませんが、高圧的な態度を取る顧客であっても、観察によって対応に必要な要素を引き出せると考えられます。

適切なタイミングで介入する

観察を通じて顧客のタイプが把握できたところで、適切なタイミングで介入しましょう。商談の進行において「顧客はなぜ時間を長引かせようとしているのか」理解するためにも必要な行動です。

たとえば、2つのタイプに合わせた介入ワードを紹介します。

  • キャラが強いタイプ:商談に至る理由をたずねます。「当社との商談に時間をとってくださっている理由を教えていただけますか?」
  • 正義感が強いタイプ:顧客が自分の「正しさ」を証明しようとする場合は、共感を示しながら「先ほどおっしゃっていた〇〇について、もう少し詳しく教えていただけますか?」

このように投げかけることで、会話の主導権を自身の手に戻す確率を高めます。ただし、相手の思いや悩みに寄り添う姿勢は忘れないようにしましょう。

確認&共感する

確認&共感するとは、顧客が商談に時間を使う理由を掘り下げ、その理由に共感を示すことを指します。顧客の心情を理解し、営業提案を行う前に共感の場を作る工夫が必要です。

  • キャラが強いタイプへのアプローチ: 商談の目的や理由を確認し共感を示す。「〇〇の理由は大変興味深いです。具体的にどの点に魅力を感じていただけたのか教えてください。」
  • 正義感が強いタイプへのアプローチ: 顧客が自分が正しいと思って譲らない姿勢を示したときは「そうですね、その点については誤解が生じることがありますね。さらに詳しく教えていただけますか?」

強いタイプの顧客に対しては、相手に対する尊厳の気持ちを失わないようにします。そのうえで、相手の話をまとめながら適切なリアクションを通じて相手に質問することが重要です。

まとめ

会話や商談において主導権を握るのは、ビジネスを円滑に進めるうえで重要です。主導権を奪われる場合、業績を上げられないばかりか意外に信頼を失う要素となってしまいます。

会話や商談においては相手の態度やキーワードを観察し、適切なタイミングで質問したり介入したりする姿勢が大切です。適切な質問やリアクションで相手との共感を深め、自信をもって意見を述べることが可能になります。

今回のテクニックを参考にして、商談場面を想定しながら、いかに自身が主導権を握るタイミングを得るのか考えてみてください。さらに実践を通して学び、会話の主導権を握れる営業パーソンをめざしていきましょう。

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