プリフレームでルートを示してスムーズ商談!脱線を防ぐアプローチ

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プリフレームは、例えば商談や会議の場面で話の内容と時間などを示すフレーム(枠組み)です。商談や会議の到達地点までのルート説明といえます。

「商談が時間内に終わらない」「お客様との話はスムーズにできても内実がない」など、商談の目的を果たせない悩みを持っている方はいるでしょう。

今回はその解決策としてプリフレームを使った商談でのアプローチ方法をお伝えします。

プリフレームとは?その目的

プリフレームの目的を解説する前に、一例を紹介します。その方がプリフレームの目的を理解しやすいからです。

「本日はお忙しい中、弊社のプラン説明会にお越しいただきありがとうございます。
1時間半ほどで終わると思います。およそ内容を3分割いたしました。
最初の30分は弊社担当者よりプランの概要を説明いたします。
続いて具体的な商材のご案内を30分、終わり30分で質疑応答の時間を設定いたします」

プリフレームのプリは「前に」フレームは「枠」の意味です。例のように前もって話のフレームを伝えるのがプリフレームの基本です。プリフレームの目的には次の2点があります。

・商談を成立させるため
・話し手と聞き手の心理状態をプラスに

商談成立という大きな目標を達成するのが、プリフレームを導入する一番の目的です。そのために、両者の間に起こる心理的変化に気を配る必要があります。

人との会話では、必ず心理的変化が伴います。「この人の話の内容はスーッと頭に入ってくる」「会話が弾んで楽しい」というプラス的な印象をもつ場合、逆に「この話はいつまで続くのか、早く終わらないかな」「何を伝えたいのかさっぱり分からない」などマイナスの印象を持つ場合があります。

自社商品・サービスのよさを知ってもらい興味づけ・購入へつなげるには、心の動きをプラスに保たねばなりません。

プリフレームはプラスの心理的効果をもたらします。伝える側が「脱線しないように」と過度のプレッシャーを感じやすい場合、プリフレームを使えば話しやすくなります。

聞く側としては、話の方向性が分かり安心して最後まで聞きたいところ。意図的に枠組みが提示されれば、聞く側に心構えが生まれます。

つまり、商談や会議でプリフレームを使うのは、あらかじめ予想されるルートを示して、スムーズな進行を達成するためといえます。プラスの心理状態を保つのに、プリフレームは適しているのです。

プリフレームを商談に使うメリット・デメリット

では、商談や会議でプリフレームを使うメリットとデメリットを確かめます。プリフレームを使う際の大切な視点になります。ぜひ通してお読みください。

商談に使うメリット

商談で使うメリットは、商談成立という目的と重なります。

・話が脱線せず、スムーズな商談につながる
・話す側も聞く側も安心して商談にのぞめる
・時間を互いに気にしながら濃い内容で進められる。

プリフレームは、話す側・聞く側双方にメリットがあります。

話す側は、自社商品・サービスの興味づけや購入へつなげるという大きな目的があります。ただ、商談の途中で話が脱線し過ぎてしまえば、時間だけ過ぎて内実を得られません。

聞く側としては、やみくもに提案や説明をされても「どこを聞いて何に答えればよいのか」分からなくなるでしょう。

プリフレームはそれらを回避してくれます。商談の進行をスムーズにするだけでなく、互いが安心して商談にのぞめるようになるのです。また予定時間を共有していれば、話す内容や時間を気にして進行を妨げないように努力します。

商談だけではなく会議でも使え、スムーズに話し合いを進める助けとなります。議題内容や議題にかける時間を参加者が認識すれば、質問や意見を伝える時間や話し方に注意を払うからです。円滑な議事の進行につながります。

商談に使うデメリット

商談でプリフレームを使う際に生じるデメリットは、次のようになります。

・型に頼り過ぎれば興味づけにならない
・学習して使いこなす時間が必要
・見えないマイナス要素を取り込む場合がある

特にコストのかからないプリフレームですが、型があるから安心というわけではありません。予期せぬできごと、万が一の場合、臨機応変に対応できるかが重要です。

流れに逆らわず自然な形で使用するには、スキルや経験が必要になります。顧客にはさまざまな方がいます。案件や進捗具合、先方の悩みどころは同じではありません。ある程度の型を覚えたら、使いこなせるまで何回も場数を踏む必要があるでしょう。

効果を上げるプリフレームのアプローチ法

ここではプリフレームのアプローチ方法を解説します。プリフレームの流れにそって確認しましょう。「商品・サービス導入を前提とする」「商談の初め・途中で入れる」「箇条書きで伝える」の3点です。

商品・サービス導入を前提とする

あいさつや名刺交換をしたのち、まずは雑談で雰囲気を和らげましょう。いきなり本題では味気なく、相手に緊張感を与えてしまいます。

和やかな雰囲気になったところで商談の本題に入ります。この際「貴社が導入した場合」という前提でプリフレームを使って説明するのです。

例えば「最初にサービスの概要を20分で説明します。実際に利用したことを想定しながら説明をお聞きください。その方が貴社にとってのメリットが分かり質問内容が浮かぶかと思います」など、導入前提としてプリフレーム時間を設定します。

また前日に、およその話の内容を次のように伝えておくのも有効です。「弊社のサービス紹介と質疑応答を合わせて30分から40分程度を予定しています」と内容や時間設定を電話で伝えます。先方は商談を前向きに捉えてくれます。

商談の初め・途中で入れる

実際に商談が始まったところで、例えば次のようにプリフレームを使います。

「本日は最初の5分で弊社の紹介をお伝えします。そのあとに貴社の状況をお聞かせいただければと思います。全体で30分程度を予定しております」

短いプリフレームですが、時間の見通しが立てられ話の脱線を回避できます。自社も相手先も限られた時間のなかで内容の濃い商談を求めています。見通しがないまま商談を進めると、話が長いだけで内容が薄くなりがちです。

プリフレームを使えば、互いに相手の話を聞く態勢や気持ちの準備が整います。両者が話の時間や内容に責任がもてるようになるのです。

また、商談の最初だけではなく、商談の途中でもプリフレームは使えます。例えば次のような内容です。

「弊社のサービスの概要はお分かり頂けたかと思います。ただ、料金は気になるかと思いますので、ここから2,3分ほど料金のご説明をします。」

このように商談の各説明の冒頭にプリフレームを入れましょう。予告することで先方の注意を引くと同時に、自らも話を厳選してコンパクトに仕上げようと努めます。適度な緊張感が商談の有効性を高めるのです。

箇条書きで伝える

プリフレームを自由自在、臨機応変に使えるようになるには、場数を踏むのが必要です。ただ、ここで紹介する「箇条書き」のプリフレームは、比較的導入しやすいアプローチ法といえます。

先ほどまでのプリフレームは、文章の中に入れ込む方法でした。「箇条書き」は各項目をメモのように短く伝える方法です。例えば次のようにお客様に伝えてから商品説明に入ります。

「こちらの商品の特徴は3つあります、1つ目は…、2つ目は…、最後の3つ目は…です。」

この際、ジェスチャーを付けると印象に残ります。商談では聞き手に興味をもってもらうのだ重要です。1つ目を聞いて「次は何だろう」と心が動きます。大げさにならない程度の演出として「箇条書き」は有効です。

プリフレームを使いこなすために

ここまでは、BtoBの商談場面を想定しました。本章では、例えば新築住宅内覧会に立ち寄った夫婦や家族に対する働きかけの場面を想定してください。プリフレームを使う際に留意したいことを解説します。「目的を共有する」「適度な間やタイミングを大切に」の2点です。

目的を共有する

プリフレームの目的は商談を円滑に進めること、成立させることにあります。ただ、商談成立を願うあまり、場合によっては失敗するかもしれません。

例えば新築住宅の内覧会に訪れた夫婦や家族に、次のようなプリフレームを導入したらどう思われるでしょうか。

「本日は初めの10分で間取りの説明、その後20分で建物の中と外を見学しながらの解説、最後に20分ほどお時間をいただいて質問をお受けし今後のお手続きに関する説明をいたします。」

前章でお伝えしたように「購入を前提」として説明するのは間違ってはいないのですが、お客様によっては、あまりにも唐突で前提ありきのプリフレームに引いてしまうかもしれません。せっかく訪れたお客様を逃してしまいます。

プリフレームを使う際は、目的の「共有」が重要です。商談や会議などは、目的が定まりやすいといえます。最初から「○○のための商談」と大枠が決まっているため、プリフレームで内容や時間設定を明確にして脱線しずらくするのは有効です。

しかし、新築住宅の内覧会に訪れるお客様は、それぞれに目的が異なります。「ぜひ購入したい」「内覧して良かったら前向きに考えたい」「インテリアや外装・外溝の参考にしたい」「近くに遊びに来たから立ち寄っただけ」などさまざまでしょう。

購入前提で最初から話されると困る方もいるのです。プリフレームで内覧会のスケジュールを提案する場合、相手の目的がどうなのか必ず確認します。双方の目的がズレていれば、プリフレームの使用はデメリットになるのです。

例えば「お越しくださりありがとうございます。初めに…差し支えなければ、本日訪問してくださった理由を教えてくださいますか。お話しの内容に応じて丁寧に説明させていただきます」と伝えてみましょう。

また、家や土地の購入は一生のうちで一番高価な買い物です。夢が膨らみやすい案件ともいえます。お客様の気持ちのなかで、次々と興味がわくのは、ある意味自然なことでしょう。

興味からリアルな課題解決に導くには、営業パーソンとして腕の見せどころです。お客様の話を丁寧に聴き、内容に応じて「ではまず○○について▢分ほど、次に…」とプリフレームを作成して説明する力が必要です。

なんとなく説明しながら家の中を案内するのではなく、お客様の願いに寄り添い、その目的に応じた説明をしたり課題の解決に導いたりできるようにスキルを磨きたいものです。

適度な間やタイミングを大切に

プリフレームを使う際、相手と目的を共有する以外にも大切なことがあります。それは「適度な間やタイミング」です。

プリフレームがいいと思っていきなり「初めに○○を5分、次に○○・・・・」と話を始めたり、商談の途中でも「次は○○について大切な点3つお話しします。1つ目は○○…」と矢継ぎ早に説明をしたりしては、相手の入る隙はありません。

自分の側に主導権をもち過ぎては相手の反感を買う可能性があります。それを避けるには例えば次のように相手に切り出してみましょう。

「次は○○についてお話しします。ここまでで何かご質問はございますか」と質問するのです。相手が主導権を握る機会を与えます。この何気ない切り替えが、先方が自社に抱く印象をプラスに変えるのです。

先方にメリットがあると思って説明しても、実は質問や疑問を感じているかもしれません。相手が主導権を握れるタイミングがあれば、進んで質問や悩みなどを開示してくれるでしょう。

自社にとっても「説明の仕方、ペースが合っているか」「内容を相手に理解してもらっているか」確認する場となります。

プリフレームは、自社にとって商談を成立させる有効な方法ですが、同時にコミュニケーションのツールなのです。きちんと相手の存在や思いに添う言葉を適宜入れること。これが信頼関係の構築につながります。

まとめ

商談や会議における「話の分かりやすさ」は、自社と他社の関係づくりに良い影響を与えます。プリフレームでそれが可能になるのです。

話の内容や時間をあらかじめ伝えれば、聞き手は安心して聴けて内容をしっかり理解できます。また話す側も時間を意識して話すため、脱線のリスクを回避できます。

今回説明した内容を参考に、商談や会議の場でプリフレームを使ってみてください。その際、相手と目的を共有する点と、プリフレームを使うタイミングや間は意識するようにしましょう。

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