営業マンになると、フィールドセールス(対面型営業)だけでなくインサイドセールス営業(非対面型営業)でテレアポをすることもあるでしょう。
見込み客のニーズを把握しながら、対面営業へもっていくための重要な営業といえます。しかし、実際は顧客に取り合ってもらえず、最初から「結構です」と断られるケースが多いのも事実です。
テレアポの際「トークスクリプトがあると便利」「安心して営業トークがかけられる」と思う方もいます。実際トークスクリプトのテンプレートを活用して、効率的な営業スタイルを構築している会社もあります。
そこで今回は、トークスクリプトの概要とテンプレレートを紹介します。続いてテンプレートの重要性を再確認したのち、作成のポイントや注意点を解説します。
本記事で紹介した内容をもとに実際の営業活動に活かし、営業成績の向上につなげていきましょう。
トークスクリプトとは?
トークスクリプトとは、電話で行う営業の台本といえます。
挨拶や自己紹介→導入トーク→本題→クロージングの4つのフェーズからなります。各フェーズで重要なポイントを押さえ、テレアポ営業をスムーズに行うための台本です。
トークスクリプトでは、テンプレートを用いるケースが多くあります。テンプレートを用いるのは、各営業マンが好き勝手に商品説明をするのではなく、同じ土台で説明にブレが生じないようにするためです。
また、自社商品やサービスの特徴に合わせてテンプレートを作り直す必要があり、実際の営業で得られた情報をもとに改変する場合もあります。
トークスクリプトのテンプレート【テレアポ】
テレアポで即座に断られてしまう営業マンの悩みを解決すべく、有効性のある内容で営業トークをつなげたのがトークスクリプトです。
この章では、4つのフェーズ+αの視点で順番に解説します。各フェーズごとにテンプレート(例文)を紹介しますので、作り方が分からない方は参考にしてください。
あいさつや自己紹介
対面と同じく、第一印象はとても大切です。姿は見えなくても、声や言葉は「見られている」と考えて話しましょう。最初は相手の警戒心を解くために、会社名と自分の名前を丁寧にはっきりと名乗ります。
例文:お世話になっております。こちら〇〇商品(サービス)を提供しております、株式会社〇〇の△△と申します。
最初に「お世話になっております」の言葉は、初対面で使うのに抵抗があるかもしれませんが、顧客との距離感を縮める意図があります。
抵抗感をぬぐえない、あるいは顧客から怪訝な返事を受けた場合は「恐れ入ります」の文言を変えてもいいでしょう。
導入トーク
お客様への興味づけを図るトークです。テレアポ営業では対面とは異なり、お客様の表情や反応を見て取れません。そのため、商品やサービスのメリットを少し入れたり、声のトーンを和らげたりして工夫する必要があります。
例文:既存のパソコンに導入して営業効率を高める〇〇システムのご案内です。現在、100社以上の地元企業様に活用いただいており、進捗度の把握や課題の共有に活かせると好評のシステムをご案内しております。
「弊社は導入済みのため失礼いたします」と断られる場合もあるでしょう。「結構です」と電話を切られるかもしれません。しかし、切らないお客様は見込みがあります。
その際は「営業の業務上で何かお困りのことはございませんか」と聞いてみます。「そういえば…」「う~ん…」と若干間がある場合は、見込みがあると考えましょう。
適度な間を取りながら「貴社のお役に立てる情報を少しご案内させてくださいませんか」など一歩進める内容を話すと効果的です。
また、用意するテンプレートはお客様の反応や言葉に応じたものを作成すると、実際の場面でゆとりをもって対応できます。
本題:商品やサービスの紹介
伝えたい商品やサービスをテンポよく簡潔に説明する部分となります。導入トークで「今だ」と思えば、そのタイミングで本題に入りましょう。
本題では、商品やサービスのメリットをいかに明確に伝えられるかが重要となります。お客様がもともと興味をもっていれば話はスムーズに展開しますが、知らないか関心があまり無い場合は、メリットを分かりやすく伝えます。
例文:今回ご案内したいサービスは、10月からのお試しキャンペーンになります。メリットは通常価格より半額で30日間のトライアルをご利用でき、貴社に合う営業管理ツールか確かめられる点です。
導入トークでも数字を出しました。数字は具体性や信ぴょう性を保証します。商品やサービスのメリットを伝えたい場合の「必須アイテム」といえるでしょう。
お客様が「なるほど…」「へえ…」などの言葉を発する場合は、自社商品やサービスの解説を加えることも可能です。ただ、相手も限られた時間の中で対応しています。
だらだらと話し続けるのはおすすめできません。それを回避するためにテンプレートは有効です。要点を落とさず簡潔に自社商品をサービスをアピールできます。
クロージング
クロージングは、営業目的が達成できたか確かめるフェーズといえます。対面営業のアポ獲得や商品やサービスの資料請求など次の段階に進むために必要なのがクロージングです。
【例文】もう少し詳しくサービス内容や導入法についてお話させていただきたいのですが…来週か再来週でご都合のよろしいお時間はございますか。
【例文】ほかに使う際に感じるメリットを多数ご紹介したいのですが…よろしければ弊社のサービス案内や資料等をお送りしますがいかがでしょうか。
クロージング前までの流れがスムーズでも、最終段階で目的を達成できない場合もあります。本題でお客様が興味をもったと感じても、クロージングで本意かどうかが分かるのです。
クロージングで後ろ向きな返事をもらったとして、挽回しようと躍起になるのはおすすめできません。印象が良いうちに終了するのもポイントです。もしかしたら時間がたって連絡をもらえるかもしれません。
あらかじめ、断られた場合のテンプレートを用意し、お客様とのつながりを保てるように伝えるのも営業トークでは重要です。たとえば次のように締めましょう。
【例文】今後、もう少し話を聞いてみたいと感じられる場合がございましたら、いつでもご連絡ください。本日は貴重なお時間をありがとうございました。
補足:アポの獲得や日程調整
クロージングでアポ獲得や日程調整の段階に進んだ場合、トークスクリプトのテンプレートと並んで、用意しておくといいシステムは日程調整ツールです。簡単に日程調整ができるシステムを導入しておれば、顧客とすぐに調整できます。
なぜなら「改めて日程を調整しましょう」など対応を延ばした場合、顧客の興味が時間を追うごとに弱まり「やっぱり結構です」となる可能性があるためです。
後日改めて日程調整の対応をするのは、相手によっては面倒に感じます。その場ですぐに確認できるツールがあれば、見込み客を逃さず、対面営業にスムーズにつなげられます。
テレアポでトークスクリプトが必要な理由とメリット
トークスクリプトがあることで、テレアポ営業は円滑に進みます。トークスクリプトのテンプレートの紹介で、すでに重要性についてはお分かりでしょうが、ここでトークスクリプトの必要性を確認しましょう。
新人営業マンの戦力化につながる
テンプレートを使えば、新卒者であれ初心者であれ、ある程度の営業トークが可能になります。配属初日から顧客と会話できるメリットがあるのです。
営業は経験から学ぶことが多いため、経験が少なければ営業トークのやり方が分かりません。表情が見えないため、お客様から自分では予想だにしない理不尽な対応をされる場合もあるでしょう。
その場合も、お客様の反応別に提示されたテンプレートがあれば安心です。自信をもってトークに集中できます。人材が不足している昨今、トークスクリプトは課題を解決するツールといえます。
成果や改善点を洗い出しテレアポの質を上げる
トークスクリプトを土台にして営業をかけると、実際の成果や改善点を分析しやすくなります。提供する商品やサービスや地域によって異なる対応が迫られた場合、書き換えることで、自社に合うトークスクリプトを作成できるでしょう。
良いと思って始めたテンプレートの文言に対し、お客様から予期せぬ切り返しがあったとします。その場合、すぐに書き加えたり手直しをしたりできます。トークスクリプトがなければ、改善や分析に時間がかかり非効率です。
トークスクリプトがあることで、PDCAサイクルを回しやすくなり、営業そのものの質を向上させられます。
自信や安心感をもって営業ができる
新人でも可能な営業トークができるのが、トークスクリプトのメリット。ほかに「話すのが苦手」「文句を言われたらどうすればいいか焦りそう」など自身の性格に不安を抱く営業マンもいるでしょう。
トークスクリプトがあれば、教則本みたいな存在であるため、だれでも安心してテレアポ営業ができます。また、お客様から突然の切り返しがあっても、焦らず対応できるため自信につながります。
トークスクリプトを使ったテレアポ営業を重ねるうちに、言い回しに慣れたり、お客様に適切な言葉かけをしたりできるようになります。スキルアップを自覚できれば、対面営業でも自信をもって話せるでしょう。
テンプレート【テレアポ】の作成ポイント5選
テンプレートはトークスクリプトの質を向上させるうえで重要な役割を果たします。
ここでは、トークスクリプトのテンプレ―トを作成する際のポイントについて、注意点も含めて5つ紹介します。
ゴールを明確に設定する
まずテレアポ営業の目的を明確に定めましょう。テレアポの目的とはアポイントの獲得です。
テレアポでは、ターゲットとなる顧客リストに掲載された企業や個人に電話をして、自社商品やサービスを紹介します。紹介の仕方、つまりトーク方法によってアポイントを取れるか取れないか決まるのです。
興味をもってもらうだけでは、テレアポの目的を達成したとはいえません。最終的な成約に向けて重要な「アポイントの獲得」を達成するためのトークスクリプトであるか、常に検証する必要があります。
トークスクリプトは見やすいものにする
トークの際、余計な文言が目に入ったり、読みにくかったりすれば、テレアポ業務に支障をきたします。トークスクリプトの見やすさ、分かりやすさ、修正のしやすさは基本だと考えましょう。
テレアポのトークスクリプトは、Excelを含めてさまざまなアプリケーションツールを使って作成できます。ただ、流れや条件分岐などを反映するのは、Wordの場合難しいかもしれません。
PowerPointならば、資料として共有し修正をかけやすいでしょう。どのアプレイケーションで作るかによって、見やすさや分かりやすさ、修正しやすさは変わってきます。
お客様に応じたトークを心がける
お客様の困りごとや悩みに共感し、潜在ニーズを引き出せるような営業トークが必要です。伝え方やニュアンスが非常に大切だと心得ておきます。
話が脱線したとしても「この話の中に何か深い意味があるのではないか」と思ったり、テンプレート以外の発言をチェックしたりするなど、事後に活かせる視点を探す姿勢も大切です。
しかし、あまりしつこいトークは嫌われるでしょう。お客様の思いを聞く姿勢に徹し、見えないお客様の心の内を引き出せるようなトークをめざしましょう。
無料や有料のテンプレートを活用する
テレアポのコツを盛り込んだテンプレートを活用します。サイトに無料や有料などさまざまなスタイルがあります。いずれにしても、自社の商品やサービス、営業スタイルに合わせたテンプレートに換える必要があります。
たとえば無料のテンプレートもインターネットを通して多く配布されています。インターネットからインターネットからテンプレートをダウンロードして、営業トークに関わる情報を入力するタイプです。
その場合も、テンプレートはトークスクリプトの元原稿と捉え、ダウンロードしたままのデータでは使わず、テレアポで使えるように編集し直しましょう。
質疑応答のテンプレートも用意しておく
テンプレートに合わせて営業トークをかけたとしても、突然の質問に答えられなかったり、回答につまったりすると、お客様に不信感や不安を抱かせるでしょう。
あらかじめ予想できる場合は、テンプレートに回答例を入力しておきます。また予想だにしない質問を寄せられた場合は、社内で必ず共有し、ベストな回答法を考案する姿勢も重要です。
まとめ
無料ツールや有料システムを活用して原稿となるテンプレートを作成したのちは、人間の力が試されます。最初から完璧なテンプレートはなく、営業マンの力でテンプレートを日々アップデートしていく必要があるのです。
営業マンは、テレアポで得られた情報(お客様の反応や言葉)をもとに、前日よりもベターなテンプレートにしていきましょう。テンプレートを更新し続けることで、成約率のアップや企業の成長へつなげられます。