新規会員獲得の成功事例から学ぶ「会員登録したくなる」アピール術

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自社商品やサービスの購入(利用)率を上げるためには、見込み顧客に適切かつ効率的なアプローチが必要です。見込み顧客とは企業や商品に関心をもっている顧客で「買おうかどうか悩んでいる」顧客が含まれます。

購買行動へつなげるには、見込み顧客に「やっぱり買おう!」と思ってもらわなければなりません。ただ、実際に商品を買ってもらうのは難しいと感じる方もいるでしょう。

そこで今回は、顧客が新規会員に登録したくなるアプローチ法について紹介します。成功事例をもとにアプローチをする際の留意点についても解説しますので、ぜひ通してお読みください。

新規会員登録につなげるためのポイント

ここでは、新規会員を増やすために必要な視点を解説します。ポイントがわかれば、会員を獲得するための具体的なアクションに移せます。

今回紹介する5つのポイントをしっかり確認し、効果の上がるアプローチをしましょう。

市場や顧客を分析し戦略を立てる

まず重要なのは、市場調査や競合他社、顧客に関する分析を丁寧におこなうことです。自社や個人的な感覚だけで見込み顧客にアプローチしても効果は上がりません。

今は変化が激しい時代です。去年の流行がそのまま引き継がれるとは限らないでしょう。できるだけ多くの情報を収集し、専門家やツールを活用しながら精査する必要があります。その理由は、最適なターゲットを絞り込むためです。

また、業績を向上させるためには、社内で目標を明確にし戦略を策定する必要があります。見込み顧客を抽出するのはもちろん、新規顧客を開拓したり、既存顧客の購買行動や共通点、不満などを見つけたりする取り組みも重要です。

社内において顧客に応じた特化型のチームを編成するとともに、情報共有できるシステムづくりを戦略に盛り込みます。そして確実に実行に移せるようにアクションプランも作成しましょう。

ターゲットや付加価値を変えてみる

情報収集と分析、戦略策定する過程でターゲットを明確にしたのちに「より周知・集客するためには何が必要か」を考えなければなりません。

その際、新たな層に興味をもってもらうために商品やサービスの付加価値を変えてみるとよいでしょう。たとえば、女性に人気のある商品を男性に提供したり、イメージキャラクターを作ったりするなど、顧客に「おっ、何?、いいね!」と思ってもらうのです。

ただ、既存商品やサービスを大きく変えすぎれば、既存顧客や優良顧客が離れる可能性があります。これを避けるには、やはり顧客からの情報収集と分析が必要です。見込み顧客の会員登録を増やすためにも、既存顧客からの声を大切にしましょう。

自社商品やサービスを広く周知する

自社商品やサービスの購入(利用)率を伸ばすために、まずは周知が必要です。いくら商品やサービス内容が良くても、皆が知らなければ当然、購入(利用)してもらえません。

商品やサービスのよさや特徴を広く知ってもらうために何をすればよいか考えましょう。今は、WebサイトやSNSでの周知・集客が盛んな時代です。紙媒体の広告だけでなく、SNSを活用した広告、アフィリエイト、動画広告など、さまざまな媒体を通して提供できます。

予算の範囲内で、どの媒体でどのように周知すれば効果が上がるのかも分析して、戦略を実行に移すようにしましょう。

商品購入・サービス利用のしやすさを考える

顧客にとっての利便性は重要なポイントです。情報分析や戦略策定、周知がうまくいったとしても「お問い合わせや購入のしやすさ」に課題が残れば見込み顧客は離脱してしまいます。

サイトからの流入をめざす際は、Webサイトも含めて顧客層に合わせたデザインカラーにしたり、BOXへの簡単入力で登録ができるようにしたりします。

Instagramからの流入をめざすのであればコンテンツに統一感をもたせ、ECサイトとの連動を図る必要があるでしょう。

プルとプッシュを併用する

まず、プル型営業とプッシュ型営業の違いを紹介します。プル型営業とはインバウンド営業を指し、顧客側が問い合わせたり資料を請求したりする行動をしてもらうことを指します。この過程で顧客情報を得て営業を仕掛ける手法です。

プッシュ型営業とは、ニーズ調査や分析にもとづいて見込み顧客に直接アプローチする営業法を指します。テレアポや飛び込み営業がプッシュにあたります。

両者を併用する場合は、たとえば問い合わせがあった顧客に対して、テレアポや訪問などを通してより正確なニーズを把握する取り組みが挙げられます。

また、Webサイトを見やすくしたり魅力を伝えたりして、顧客が”思わず会員登録してしまう”心理的作戦を実行に移します。

新規会員獲得に成功した事例10選

ここでは、新規会員の登録に成功した10社の例を紹介します。

スターバックス

スターバックスはテレビCMの代わりに、SNS上で宣伝広告をしています。周知や集客にかかる費用を削減するとともに、時代にマッチした方法で効率的に宣伝しているといえるでしょう。

2016年より始めた公式アプリも人気の一つです。My Starbaucks会員になれば、さらに特典の多いStarbucks Rewardsに案内されます。よりロイヤルティの高いプログラムは、モバイルアプリの支払いや54円お買い上げごとにポイント(1Star)がたまる仕組みになっており、お得感の高い会員制度となっています。

会員特典が付加価値として評価され、新規会員を増やしている事例といえます。また、コアファンの多いスターバックスの強みになっています。

Hotto Motto

お弁当のHotto Mottoは、アプリの活用でユーザーにお得感を与えて顧客を増やしている事例です。

Hotto Mottoアプリは、新商品のお知らせやキャンペーン情報を配信したり、事前にお弁当の注文や支払いができたりする仕組みになっています。

スターバックスと同様に、お店で待たずに商品を受け取ることが可能。またアプリで会員証を見せれば、ポイントや電子マネーで支払いができます。

よく利用する方が「会員になった方がお得だなあ」と感じるアプリであるため、新規顧客をふやす要素になっているといえます。

ヤマダ電機

家電量販店のヤマダ電機は、プレミアム会員の登録をすすめています。たとえば感謝デーへの案内、特限定クーポン発行、などです。

ほかに、毎月来店しただけで300ポイント付与、買物したのちにもう一回ポイントマシーンを回せる権利、毎月5日と25日にはポイントが+2%追加される…などは、顧客にうれしいサービスです。

年会費は3,960円(月330円)かかりますが、家電量販店を利用する機会が多い方には付加価値の高い会員制度で「これなら会員になった方がいいなあ」と思えます。

リッツカールトン

リッツカールトンは、実際に滞在した顧客に高品質の接客サービスを届けることから、会員数を確実に増やしているホテルチェーンです。

初めて利用したときから「ここだったら何度も泊まりたい」と思えるサービスは、リッツカールトンの理念とつながっています。たとえば、次の「サービスの3ステップ」を紹介します。

サービスの3ステップ

  • あたたかい、心からのごあいさつを。お客様をお名前でお呼びします。
  • 一人一人のお客様のニーズを先読みし、おこたえします。
  • 感じのよいお見送りを。さようならのごあいさつは心をこめて。お客様のお名前をそえます。

サービスを受けた感動が「ぜひ会員になってまた泊まりたい」という気持ちにさせてくれます。小さなことかもしれませんが、このサービスを”当たり前”にしている点が顧客の心をとらえているといえます。

Amazon Prime

Amazon Primeは月500円でさまざまな特典を利用できるサービスです。特典はなんと15種類。

配送料無料・お急ぎ日時指定・会員限定割引・家族会員など通販サイトに便利な特典のほか、映画やドラマが視聴できるAmazon Prime Video、Prime Reading、Prime Musicなどの趣味やエンターテイメントサービスも充実しています。

顧客に「ワンコインで毎日楽しく過ごせるから、会員登録しなきゃ損!」と思わせるサービスといえるでしょう。

U-NEXT

Amazon Prime Videoと比べて会員数は少ないのですが、動画配信のU-NEXTは映画やドラマなどの見放題作品総数がAmazonの20倍ほどであるため、人気があります。

HuluやNetflixと比べてみてもダントツの作品数です。ただ、Amazonと合わせた4社のうちU-Nextの月額料金はもっとも高くなっています(税込2,189円)。

実は、U-Nextの戦略はここからといえます。「高いから会員にはならない」のではなく、2つの策で顧客にメリットを感じてもらえるようにしているのです。それが下記の2点になります。

  • 31日間無料お試し(無料期間中に600円分のポイント付与)
  • 毎月1,200円分のポイント付与

つまり、ポイント付与で実質989円/月で、ほかの動画配信会社が提供する作品数以上のものを見放題できる!というわけです。

競合他社との差別化がここに成立し「高いけど、やっぱりお得」と思わせる戦略といえます。

株式会社CCCメディアハウス

雑誌や書籍を出版しているCCCメディアハウスは、双方向コミュニケーションシステムWEBCASを導入し、メルマガ登録者を増やした成功事例といえます。

それまではメルマガ登録フォームをサイト上に置いても、なかなか新規会員を増やせない状態にありました。そこで、CCCメディアハウスは「メルマガ登録をしてもらってから読者アンケートに回答、プレゼント応募ができる仕組みに変えたのです。

結果、新規メルマガ会員を獲得できるようになり、会員は1.4倍に伸びたといいます。メルマガ会員登録後の「アンケート回答」や「プレゼント応募」に魅力を感じてもらう策といえるでしょう。

ダイソー

Instagramを有効活用する企業は多くありますが、100円均ショップで有名なダイソーもその一つ。ダイソーは、フォロワー数180万人を有しています。

Instagramでは、取り扱っている商品の紹介や有効活用の仕方について情報発信したり、入荷予定の新商品に関する情報も提供したりしています。

商品の意外な使い方、今話題の商品の紹介などもInstagramで知ることができ、ファンにとってはうれしいコンテンツといえるでしょう。

また、InstagramからECサイトに流入できる仕組みを構築しています。つまりInstagramを見て「これっていいな」と思う商品をECサイトで買えるのです。

この利便性がオンラインショップの新規会員登録へとつなげる要因となっているといえるでしょう。

らでぃっしゅぼーや

厳選した野菜や果物を届けてくれる、らでぃっしゅぼーやは、SNS上でキャンペーンを打ち出して成功した事例です。

SNSでのキャンペーンが当たり前になってきたからこそ、キャンペーンの目的や背景などに競合他社との差別化を図る必要があります。

らでぃっしゅぼーやのInstagramでは「生産者からありがとうプレゼントキャンペーン」をおこない好評を博しました。こちらは、天候不順で被害を受けた農家に対してハッシュタグをつけた投稿数に応じて、らでぃっしゅぼーやが寄付をおこなうというもの。

生産者と消費者をつなぐ役割を担う企業の姿勢をユーザーに伝え、それに共感したユーザーが参加するキャンペーンは、企業と顧客が協働でおこなう営業活動です。

キャンペーンは顧客に「自分も参加者のひとり」という感覚を与えて会員登録への動線をつくる策といえます。

アイペット損害保険

ペット保険の場合、会員登録=保険申込となりますが、顧客の多くは申し込む前に見積もりがほしいところでしょう。

アイペット損害保険のWebサイトは、初めて来訪するユーザーにもわかりやすい設計となっており、商品説明ページへのリンクをポップアップで表示しています。つまり、保険内容を理解しつつ、見積もりやお問い合わせしやすくしているのです。

ペットに限らず保険関係は、問い合わせや見積もりが、見込み顧客のファーストステップとなるため、埋め込み型・ポップアップ型のフォーム設定が必要になります。

また、個人情報保護に関する情報提供やセキュリティの証明などを提示し、顧客が安心してコンタクトをとれるようにしましょう。

「会員登録したくなる」アピール術とは?

ここでは、成功事例からわかるポイントを中心に整理します。企業がおこなっている戦略も含めて、下記のような認知・集客に必要なアピール術が考えられます。

WebサイトやSNS運営

顧客の情報収集といえばインターネットを介して…が当たり前の時代です。見込み顧客が企業のサイトやSNSを訪問しても魅力やわかりやすさに難点があれば、すぐに離脱します。

新規会員を増やすには、顧客のニーズを徹底的に研究し、自社に何を求めているのか把握してサイト設計や運営をおこなう必要があります。たとえば、「登録してどれほどのお得感があるのか」「登録やお問い合わせフォーム入力が面倒ではないか」などの視点を重視します。

また、個人情報の扱いに関する情報やセキュリティ証明などを明確に提示することも合わせて意識しましょう。

コンテンツ動画

昨今はYouTube動画を使って販促をかける企業が増えてきました。Google広告でユーザーに見てもらうのはもちろん、自社オリジナルの公式動画で直接アプローチできます。

YouTube動画のメリットは、顧客に広く周知できる点と動画コンテンツそのものを”作品”として残せる点にあります。動画の出来次第では、商品やサービスの集客に加えて広くユーザーにインパクトを与えられるでしょう。

このため、見込み顧客に自社会員に登録してもらうだけでなく、新規顧客を呼び込む手法としてコンテンツ動画は価値があるといえます。

各種広告

現在は、紙媒体のほかインターネット広告など、さまざま広告があります。広告には大きく3種類あり、Web広告と呼ばれる「インターネット広告」、テレビや新聞などの「マス広告」、会員誌やイベントなどに使われる「SP広告」が挙げられます。

とくにインターネット広告は、比較的少額から始められ、効率的にターゲット層に周知できるため、昨今多くの企業で採用されています。サイトや動画で検索すると表示されるリスティング広告やリンク設置型のアフィリエイト広告、SNS広告などが該当します。

ただ、インターネット広告はユーザーに敬遠されたり、スキップされたりする可能性もあり、押し売り的なイメージをもたせない工夫が必要です。新しい顧客に会員登録してもらうにも、まずは”嫌がられない”ことは鉄則といえます。

インフルエンサー

インフルエンサー広告とは、世の中に与える影響力の大きい人(InstagramやTwitterなどフォロワー数の多い人)を起用して、自社商品やサービスを宣伝する広告を指します。

大きく周知したい場合は、自社商品やサービスに合うインフルエンサーに依頼して宣伝するとよいでしょう。

インフルエンサーは、ユーザーにとって魅力的なコンテンツ作りに長けているため、協働的に広告を作成できれば、新規会員の呼び込みを図れます。

口コミ活用

口コミは無料で収集でき、ユーザーのリアルな感想を得られます。また、広まりやすいため、自社が上手に活用できれば広告よりも費用を押さえながら効率的に宣伝できるといえるでしょう。

顧客の声に対して丁寧にコメントを返せば、見込み顧客が「この店は誠実な対応をしてくれる」と良い印象をもってくれるでしょう。

新規会員を増やすには、SNSやGoogleマイビジネスの運用管理者を決めて、口コミを集めるキャンペーンを企画したり、インフルエンサーにレビューを依頼したりするなど、戦略的にアクションする必要があります。

MEO対策

小売・食関係の店舗運営の場合、実際に店舗を訪れて会員になってもらうケースが多いといえるでしょう。その際にMEO対策を念頭におくと新規顧客の呼び込みにつながります。

MEO対策は、店舗への来店や電話の問い合わせに誘導することを目的としています。対策する場所としては、Google検索とGoogleマップの検索結果が挙げられます。Webサイトへの誘導を図るSEO対策よりも、比較的安価かつ短期間で効果を実感できるでしょう。

始めるにあたってはGoogleビジネスプロフィールに登録します。店舗の集客をめざして会員を増やしたい場合は、MEO対策をしっかりおこないましょう。

プレスリリース

プレスリリースは、企業や団体が出す新しい商品やサービスをテレビや新聞、ニュースサイトなどのメディアに向けて発表する公式の文書です。

プレスリリースのメリットは、コストをかけずに信頼性を高められることです。高い信頼性とは、記事を書く人が企業側の人間でない第三者であるため、客観的に情報を伝えられることを指します。

たとえば、見込み顧客がプレスリリースの情報を知って「新聞記者がすすめるサービスなら安心」と感じ新規に会員登録するケースもあるでしょう。

ただ、自社が明確にした顧客層に響かないプレスリリースになる可能性もあるため、逐一確認する必要はあります。

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ここまで、会員登録につながるアプローチ術の具体的方法、媒体について解説しました。

いずれにしても「新規に会員登録するとお得ですよ!」感を出すことが肝心です。また、新規会員につながらなかったとしても、顧客のその後を把握したり分析したりする必要もあります。市場や顧客ニーズを丁寧に把握すれば、商品を改善したり新商品の開発に活かしたりできるためです。

もし顧客が継続会員にならないで退会をしても、さりげなくその理由を聞けるシステムづくりをするのも有効です。顧客の反応すべてが自社にとってプラスであると考え、PDCAをしっかり回す取り組みが最終的な業績の向上につながるのです。

本当の成功は継続会員を増やすこと

新規会員の登録獲得をめざして「おわり」ではありません。新規会員数のアップをめざす際も、いかに継続して購入・利用してもらうかを考える必要があります。そのために必要な手立てを打たなければ、”新規は増えるのに、会員総数は変わらない状況”に陥ってしまうでしょう。

見込み顧客の購買意欲に程度の差はあっても「会員登録をするとどれくらいお得感なのか、あるいは長く購入(利用)するメリットはあるのか」を気にします。

SNSやメルマガ、クーポンの発行など会員にとってのお得情報を提供したり、参加型のキャンペーンを継続しておこなったりして「私こそ〇〇会社のサポーター」的感覚を育てる必要があります。

現在は、SNSで良くも悪くも企業情報が拡散します。場合によっては企業が販促をしなくてもSNSユーザーがすすんで周知してくれる時代といえるでしょう。

このため、企業とユーザーがともに作り上げるようなアプローチを開拓するのも一つの方法です。

企業理念や経営方針などを重視しつつ、顧客が「この商品を買い続けたい」「この企業を応援し続けたい」と思ってもらえるよう、きめ細かな対応を続けていきましょう。

まとめ

新規会員登録者を増やすには、限られた予算内でいかに効率的に集客・販売を仕掛けていくかがカギとなります。このとき、やみくもにやるのではなく、しっかりと分析をして見通しをもって戦略を仕掛けましょう。

ただ、競合他社とは一味違う新たな提案を顧客に示すのも重要です。流行を追うよりも自社が流行を作り出す視点と方法を探りながら、現段階でのベストなアプローチをしていきたいですね。その答えはやはり「顧客」にあり、徹底した情報収集と分析が重要であるのに変わりありません。

今回紹介した、成功事例やアプローチ術を参考に、自社が最大限できることを見つけて新規会員を増やしていきましょう。


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