休眠顧客あての手紙例文「また行ってみよう」の心を動かすコツ

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自社商品やサービスを一度購入(利用)してくれた顧客であっても、続けて購入するとは限りません。

顧客が次に商品やサービスが必要になるまでの期間が長い場合、あるいは費用対効果に不満が残る場合は、休眠顧客となる可能性があります。休眠顧客を増やさないためには、適切な対策を講じなければなりません。

そこで今回は、休眠顧客の概要や顧客が買わなくなる要因について確認したうえで「また行ってみよう」と思ってもらうコツを紹介します。とくに、休眠顧客を増やさない方法の一つであるDM(手紙)に焦点をあて、顧客の購買意欲を喚起するためのポイントを解説します。

そもそも休眠顧客とは?その概要と要因

休眠顧客とは、自社商品やサービスを購入(利用)したのち、何らかの理由で「買わなくなってしまった」状態の顧客を指します。

顧客がなぜ休眠してしまうのか、その理由がわかれば休眠させない対策を練りやすくなります。ここでは、休眠顧客が生まれる理由としていくつかのパターンを紹介します。

紹介するパターンをDM(手紙)にどう生かすのかイメージしながらお読みください。

商品やサービスに対して満足していない

商品やサービスを購入(利用)する時点で満足していても、実際に使ってみると予想と異なる場合もあります。購入前後の印象にギャップがある場合は、休眠顧客になる可能性が生まれます

ましてやSNS上で「あまり良くない」と口コミされるような商品やサービスでは、2回目以降の購入(利用)は難しくなるでしょう。

価格改定でメリットを感じなくなった

商品やサービスが値上げになった場合は、商品の質よりも値段の安さに価値をおいたり費用対効果を重視したりする顧客にとってデメリットになります。

デメリットを感じれば、同じ商品やサービスを購入(利用)する確率は低くなるといえるでしょう。価格改定の際に適宜フォローしたり、改定後も継続してアプローチしたりしなければ、休眠顧客を増やす要因になります。

担当者に不信感を抱いてしまった

顧客が担当者やスタッフに対して不信感を抱けば、顧客は継続して購入するのをためらうでしょう。

顧客が商品やサービスに対して100%の満足感をもっていないとしても、担当者やスタッフが誠実で丁寧な対応をしている場合、続けて利用すると考えられます。

しかし商品やサービスの質が良くても、顧客が「担当者の横柄な態度に気分を害された」「高額の商品を無理やり買わされた」と感じているとすれば、休眠顧客を増やす状況を招きます。

商品が必要でなくなった

顧客が商品やサービスのターゲット層でない場合や、ライフステージの変化によって商品やサービスが必要でなくなった場合も休眠顧客につながります

たとえば、商品の顧客層とは異なるファッションを求めたくなったり、引っ越しや仕事の都合でサービスを利用しにくくなったりするケースが考えられます。

また、単純に顧客が「この商品は気になるけれどどうしても欲しいわけではない…」と思い、そのままにしている場合もあります。

検討する時間が長すぎた

商品やサービスの購入(利用)を検討する期間が長くなれば、検討する間に競合他社の商品やサービスに魅力を感じて乗り換えるかもしれません。

たとえば法人とのクロージングで、顧客から「社内で〇〇の点について検討し、ご連絡いたします」といわれ、その言葉を信じて待っているとします。

顧客のペースを尊重して待機していても、顧客によっては「あれからとくに連絡もないし…他社のサービスのほうがアフターフォローも良さそうだ」といった理由で競合他社のサービスを選定する可能性があります。

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以上のように、休眠顧客が生まれる要因を探ると「休眠顧客を増やさないようにするための視点」が明らかになります。つまり「満足感」「ベネフィット」「信頼」「必要感」「行動」といった視点を、商品やサービスそのものだけでなく、実際のアプローチ方法に取り込むのです。

次章から休眠顧客にもう一度商品やサービスの購入(利用)してもらうための手法を解説します。

休眠顧客を「覚ます」ための手法

ここでは休眠顧客を”覚ます”際に必要な手立てについて紹介します。各手立ての特徴やメリットを念頭におき、休眠顧客がまた買ってみたいと思えるようなアプローチを想定してみてください。

メール

メールはコストを抑えやすいアプローチ方法です。しかし、件名によっては開封されずに迷惑メールとして取り扱われる可能性もあります。

これを回避するには、件名を見て内容がわかり発信元を明確にする工夫が必要です。また、開封を前提に読者が読みやすい文面を心がけ、改行を適宜用いながら「見てわかる文章」にしましょう。

顧客への文面を考える場合、テンプレートを活用すれば時間やコストを削減できます。ただ、すべての顧客にまったく同じ内容で送るのは、あまり良い印象を与えません。その理由は、それぞれの顧客の休眠理由が微妙に異なるためです。

それぞれの顧客がもつ悩みや質問を想定しつつ、顧客が満足したりベネフィットを感じたりする情報を盛り込みましょう。また、顧客との関係性によって文章を若干変えたり、一文を添えたりして特別感をもってもらうと好感度がアップします。

電話

電話はメールに比べて時間や手間、コストがかかります。しかし電話営業は、休眠顧客の現況や休眠の理由をさりげなく探る場合に便利な手法です。

電話の会話を通して温度感がわかり休眠理由を明確にできるため、よりニーズに合う商品を紹介できます。また、自社商品やサービスに関する要望を把握しやすく、改善のアイデアを得る際に役立ちます。

休眠顧客へ電話する際、テンプレートを活用すれば時間やコストを削減できますが、メールと同様に顧客に応じたやり取りを心がけましょう。顧客ニーズを喚起するチャンスととらえて戦略的にアプローチするのが重要です。

DM(手紙)

DM(手紙)はメールと同様に文章で顧客へ伝える手法ですが、メールよりも顧客が特別感をもちやすい方法といえます。

たしかにメールのほうが、時間やコストをカットできるため優先されるケースが多いでしょう。しかし、直接手元に残る手紙のほうが温かみや信頼感をおぼえる人も少なくありません。

また、一度購入(利用)した経験のある企業からのDMを開封する率は9割を超えるといった調査報告(一般社団法人日本ダイレクトメール協会の「DMメディア実態調査2021」)もあります。DMを個人宛にした場合、開封率が上がる傾向にあることも示されています。

購入経験のない企業からのDMであっても、クーポンやキャンペーンに関するDMの開封率は5割(同調査)といわれるため、休眠顧客にクーポンやキャンペーン情報を届けるDMは、より一層効果を実感できるでしょう。

「〇〇社からのお知らせ?なんだろう…」と思っていぶかしがられそうな場合は、封筒の表に内容の分かる文言を印刷したり、中身が見えやすい封書にしたりするなど工夫できます。

手紙で休眠顧客を呼び戻すコツと例文を紹介

会社によってはメールや電話、DM(手紙)などの反応率を分析しているところもあります。顧客の管理を徹底し休眠顧客に適切な営業をおこなうためには、システムやツールを導入するのもおすすめです。

顧客の購買行動や情報などを分析するなかで「最近連絡がない…」「一度しか提供できていない」といった休眠顧客の割合もわかります。

休眠顧客の存在が明らかになった場合は、できるだけ間をおかずにアプローチを始めましょう
ここでは、DM(手紙)の文面にフォーカスして詳細を解説します。

個人向けの場合

個人の休眠顧客に対しては、冒頭に簡単なあいさつ(季節に応じて)を入れて書き出します。あいさつ文のあとは、商品やサービスを案内したり顧客のメリットを伝えたりします

たとえば次の例文を参考にしてみてください。

法人向けの場合

法人の場合も個人客と同様に、簡単なあいさつから始めましょう。個人の休眠顧客よりも形式ばった表現になりますが、商品やサービスを購入(利用)していただいた感謝の意をしっかり伝えましょう。

また商品やサービスの利用状況や不具合の有無などを考慮しながら、顧客に寄り添う内容で文章を進めます。

上記の内容について、文例の番号にそって話を進めますのでご確認ください。

①件名とあいさつ

あいさつの前に、話の内容が一目でわかるような件名を入れましょう。あいさつ文は、気遣いを伝えて読み進めてもらえる言葉にします。

休眠顧客にDM(手紙)を送る場合は「以前にご購入(ご利用)いただいた旨」を伝えると効果があります。

また、その後の様子をうかがう内容を入れると「購入したのちも気遣ってくれてありがたい」と好印象をもってもらえます。

②今回手紙を送った理由

次にDM(手紙)を送った理由を簡潔に伝えましょう。休眠顧客が「押し売りかな」と思わないアプローチの仕方が望まれます。

たとえば「購入1年後のお客様限定の特別キャンペーン」のようにすると、休眠顧客が自分が当事者であると認識しつつ、メリットを感じてもらえる可能性が高まります。

③メリットをわかりやすく伝える

休眠顧客であっても、再度商品やサービスを利用しやすい印象を与える必要があります。そのためには、顧客にメリットやベネフィットを感じてもらえる文面にしなければなりません。

オブラートに包みすぎず明確に記載するのが重要です。購入してもらった商品やサービスをよりよく利用できる内容を盛り込み「あなた(貴社)だけに」といった特別感をもってもらえるようにします。

休眠顧客が「それなら行ってみたいなあ、久しぶりだけれどお得に利用できそう」と思うメリットを提示しましょう。

④顧客に寄り添い親しみをもたせる

休眠顧客にメリットやベネフィットを伝えようにも、顧客によっては「購入してから時間が経ちすぎているから、なんとなく連絡しにくい」と思う可能性もあります。

いつでもどこでも顧客の不安に寄り添う姿勢を大切にしましょう。あえて「購入後1周年のお客様限定」とすれば、ほかにそうした顧客がいる状況が想定でき、休眠顧客であっても久しぶりに足を運ぶかもしれません。

サービス利用後に時間が経っていても、顧客が「どうしようか…」と実際に悩みをもっている場合があります。この際にDM(手紙)で「いつでもご相談に応じます」といった言葉があれば、休眠顧客から連絡してくれる可能性があります。

⑤休眠顧客に行動を促す

そもそもDM(手紙)の目的は、休眠顧客からの反応を期待して送付することです。読んで終わりにならないように、文章の終わりには行動を促す一文を添えましょう。

小売事業者の場合はクーポンを同封して、休眠顧客が来店の際に活用してもらえるようにアプローチする方法もあります。また、キャンペーンには期限がある旨を添えておくと「できるだけ早めに行ってみよう」と思ってもらいやすくなります。

休眠顧客の心を動かすポイント

ここでは、手紙を書く場合に気をつけたり工夫したりする点について伝えます。計8点になりますが、「また行ってみよう」と思えるポイントとして確認してみましょう。

明らかなセールスにならないように

休眠顧客はそもそも購買に積極的ではありません。明らかなセールストークは避けるようにしましょう。

休眠顧客のなかには、内心「高いし必要ないからもう買わない」と心に決めている人もいます。その顧客に「今回さらに高品質の新デザインが誕生しました。ぜひ当店に足をお運びください」のような内容で送るのは「もっと高価なものをおすすめしてくるなんて…」のようにマイナスに受け止められる可能性があります。

はがきで送ってみる

休眠顧客へのDM(手紙)は封書だけではありません。とくに個人の顧客へあてる場合は、はがきで送るのも一考の余地があります。その理由は、はがきのほうが内容を見てもらえる可能性が高く、関心があれば「ちょっと取っておこう」と思いやすいためです。

サービスの期限日を伝える

先ほどもお伝えしましたが、クーポンやキャンペーンなどに有効期限がある旨を伝えておくと購買行動へつながります。

また「先着順」や「数量限定」といった言葉は、既存顧客だけでなく休眠顧客であっても「すぐに問い合わせてみよう」と思って実際の行動につながる要素となります。

デザイン性の高いものを

休眠顧客が個人や法人か、あるいは顧客の層に合わせてデザイン性のあるDM(手紙)を送るのも効果があります。顧客がDM(手紙)を目にしたとき、ぱっと目の引くカラーやデザインにすると関心をもってもらえます。

高価な案件のDM(手紙)についは、最新のパンフレットなどを同封しましょう。実際に開封して目を通してもらう可能性が高まります。

反応率を見て改善すべき点を探る

休眠顧客を掘り起こし商品やサービスの業績を上げるためには、施策を講じたあとの情報収集や分析を重視しましょう。

DM(手紙)を送っただけで、休眠顧客の動向を探る手立てを講じなければ、せっかく送っても意味がありません。1つのDM(手紙)の反応率を見れば、どの休眠顧客がDMで良い反応を見せるかがわかります。加えて、反応の悪い休眠顧客に対する新たなアプローチの必要性が見えてきます。

信書として送る

信書とは、法人が個人に送る場合に使われる手紙を指します。法人が休眠顧客にDMを送る場合は、個人宛に信書として送るようにしましょう。

単なるセールスではなく「ぜひ〇〇様にこちらのサービスをご案内したい」という思いを伝えるほうが、顧客に特別感を与えられ実際の行動へ促せます。

手書きでひと言入れる

DM(手紙)に手書きでひと言添えるのは、手にした休眠顧客に良い印象を与えられます

お伝えしてきたように「できる限り先方に特別感を与える」のは、顧客の反応率を高めるうえで重要なポイントです。休眠顧客の数が多い場合、それぞれの顧客に応じてすべての内容を変える必要はありません。

たとえば小売業者が個人宛のDM(手紙)に「〇〇様にはその後はお変わりありませんか?」「〇〇様がお好みの〇〇も入荷いたしました」など個人にあてたコメントを添えると、顧客に良い印象を与え行動へ移してもらいやすくなります。

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このほかに、MAの活用も考えられます。休眠顧客の満足度を図ったり、課題をいかに解決できるかの視点を補ったりできます。MAについてはおもにメール例文において活用できますが、DM(手紙)を送る場合も念頭におきましょう。

まとめ

休眠顧客へのDM(手紙)は、ブランクのある顧客に対して自社商品やサービスを再度利用してもらえるよう、掘り起こしを目的とするものです。

DM(手紙)を実際に開いて読んでもらうには、メールや電話と同じように件名や書き出し、文章の流れなどを工夫する必要があります。

文章の内容から休眠顧客が改めて、自社商品やサービスの必要性や満足感を呼び戻してくれれば、実際に反応を示してくれるでしょう。

今回紹介した手紙の例文を参考に、自社からどのような内容で伝えると休眠顧客の心を動かせるのか想定して作成してみてください。

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