DM(ダイレクトメール)は顧客とのコミュニケーションを強化し、再来店や購買を促進するための重要な手法です。しかし、実際の購買行動へつなげるためにはさまざまな課題があります。
そこで今回は、再来店促進DM活用術と効果的なDM戦略について解説します。まず、DMの目的を明確にする重要性や顧客ニーズに則した手立てのポイントを紹介します。
また、効果の上がるDMの書き方やリスク管理についてもお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。
まずはDMを出す目的を明確にもつ
効果的なDM戦略を策定する前に、まずはDMを出す目的を明確にしましょう。
仮にDM自体を目的とした場合、顧客に再来店を促すほどのインパクトを与えられず、顧客がDMによって行動をおこす確率を低めてしまいます。
また、DM送付によって生じる差額(実際に来店して購入してもらう額とDM送付にかける額)が減損されるケースもあります。
DM送付そのものを目的にするのではなく、DMによって「何を実現させるのか」に着目する必要があるのです。目的が明確になることで、具体的な戦略を策定しやすくなり効果的なDM作成につなげられます。
DMで再来店&購入へつなげる戦略を立てる
DMの目的を明確にしたうえで、実際の来店や購入につなげるための戦略を立てます。戦略を立てる際のポイントとして、ここでは以下の3点を挙げます。
- ターゲット設定とセグメンテーションをおこなう
- 来店につながる商品やサービスを決める
- 行動を促す要素を明確にする
次より詳しく解説します。
ターゲット設定とセグメンテーションをおこなう
DM戦略を策定する場合、ターゲットの設定とセグメンテーションは必要不可欠です。まず、ターゲットの設定について解説します。
ターゲットの設定とは、DMを贈る相手、つまり顧客の特定を指します。ターゲットを明確にすることで効果的なメッセージやアプローチをおこなえます。たとえば、再来店を促したい顧客属性(セグメント)や特定の商品に関心をもつ顧客層を絞り込みます。
セグメンテーションとは、顧客を共通の特徴や行動パターンをもとに分類することを指します。セグメントテーションによって顧客ニーズを把握でき、よりターゲットに合わせたメッセージを送れます。年齢や性別、購買履歴や趣味などをもとにセグメントを作成し、顧客属性に合わせたDMを送付しましょう。
ターゲットの設定とセグメンテーションによって、それぞれの顧客に最適なメッセージを届けられます。
再来店につながる商品やサービスを決める
実際の来店につなげるためには、顧客の心を動かす商品やサービスを選定しましょう。
過去の購買履歴やアンケート結果などから、興味をもっていると思われる商品や特典をピックアップします。購買履歴から関連性のある追加商品を提案するのも良いでしょう。たとえば顧客がボトムスを購入した場合には、商品に合うベルトやシューズなどを提案できます。
このほか、顧客アンケートを活用して、要望に合う商品企画や開発に取り組みましょう。顧客の意見を反映させる行動は、顧客満足度を向上させ来店意欲を向上させます。アフターフォローを充実させることも顧客に良い印象を与えるでしょう。
行動を促す要素を最適にする
それぞれの顧客に合わせた商品やサービスを選定したところで、実際の来店につなげるための要素を最適化させることも重要です。
行動を促す要素を最適化するためには次の方法が挙げられます。
- 魅力的なフレーズを選ぶ
- 視覚的に顧客の注意を引く
- 信頼できる情報を提供する
- 個別のニーズに対応する
顧客が魅力を感じるフレーズとは「期間限定」「限定〇〇個」「今すぐ購入すると…」「無料〇〇サービス」などの言葉です。具体的な行動につなげる効果があります。
視覚的な要素は、顧客にとってわかりやすく、情報の整理がつきやすい点が含まれます。また、顧客が直感的に「これ、いいね!」と思ってもらえるデザインやレイアウトを施します。
顧客の信頼を得るには、実績や評価に関する情報提供も有効です。口コミやレビューなどを示して行動への信頼性を高めましょう。
そして、個別のニーズに応える内容を盛り込みます。顧客が「自分を大切にしてもらっている」感覚を得られれば、店舗に足を運ぶ確率が高まります。
以上の要素を継続的に見直しながら、顧客の購買行動を促す戦略を策定しましょう。
再来店しない理由を把握しよう
前章のポイントをもとに、DM戦略を策定したうえでDMを作成したりアプローチを仕掛けたりします。戦略の過程で重視しなければならない点は「再来店しない理由」です。
購買履歴や顧客アンケート、SNSなどのデータ分析を通じて再来店しない顧客の理由を把握します。離れてしまった、あるいは離れてしまいそうな顧客のモチベーションを探るのです。調査内容を分析することで、再来店しない顧客に来店を促すための対策を考えられます。
また、再来店しない理由を探るだけでなく、頻繁に来店する顧客や不定期でも1年に数回訪れる顧客の「来店理由」を調査することも重要です。調査内容から、来店して購入へとつなげるヒントが得られます。
戦略の策定から実践までの過程では、常に顧客の心理を探って分析したり、適宜顧客とコミュニケ―ションをとったりして、顧客目線の取り組みを継続しましょう。
再来店を促すDMの効果的な書き方とは
再来店しない理由や来店してもらうためのポイントを把握し、戦略や計画を策定したうえで、顧客に対する個別化されたDMを作成します。ここでは、書き方のポイントとして3点挙げます。
- 顧客の感情に訴えるライティング
- 個別の顧客ニーズに合わせたメッセージ
- 効果的なデザインとレイアウト
以上の3つについて順に解説します。
顧客の感情に訴えるライティング
顧客へ送るDMを作成する際は、顧客の思いに寄り添う姿勢が大切です。タイトルやキャッチコピーを通じて、顧客の心を引きつけるようなメッセージを作りましょう。顧客が共感し、興味を持てる内容を盛り込むことが必要です。
たとえば以下の例を参考にしてください。
- 〇〇様へ感謝の気持ちを贈ります
- 〇〇様のお気に入りの音楽とともに癒しのひとときをお届けします
- 〇〇様が▢▢を身につけたお姿をぜひ拝見したく思います
- 〇〇様に限定の特典をご用意しております
1つ目のフレーズは、お客様へ感謝の気持ちを伝え、特別感をもってもらえます。「誠にありがとうございます」といった文言よりも顧客の心を引き付けるでしょう。また「送ります」ではなく「贈ります」といった言葉は顧客に喜びを与えます。
2つ目のフレーズは、顧客の好みを大切にしつつ、リフレッシュや心のやすらぎを提供する際に効果があります。3つ目の提案は来店を想定したもので、実際の行動へとつなげるために有効です。
最後のフレーズは「限定」といった文言を活用することで、店舗に足を運ぶきっかけをつくります。同時に、個別的な提案として好意的に受け止めてもらえます。
個別の顧客ニーズに合わせたメッセージ
DMでは、顧客に特別感をもってもらう必要があります。「〇〇様」といった文言だけでなく、個別の顧客ニーズに合わせたメッセージを作成しましょう。
単に顧客セグメントや理由などに関するメッセージを送るだけでは不十分です。顧客が本当に関心をもつ情報を効果的に伝えます。その理由は、顧客セグメントや理由だけでは一人ひとりに訴求しにくいためです。特典や割引サービスなど具体的情報を提供したほうが、顧客の心を刺激します。
たとえば、次のようなメッセージが効果的です。
- 〇〇様限定!ご来店で▢▢%割引
- 〇〇様のための特別なカスタマイズオプション
- 新〇〇〇を最初に体験しませんか?
- 〇〇様限定の特別セール!最大▢▢%オフ
すべて「〇〇様」といった文言が付いていますが、その後が重要です。来店によってどのような商品やサービス提供が待っているのか、具体的にわかるメッセージを追加します。個々の顧客が独自のメリットを感じることで、再来店や購買行動につながる率が高まります。
商品やサービスを設定したり、具体的な特典や割引を考えたりする際は、それぞれの顧客に合う内容や価格設定をおこないましょう。
効果的なデザインとレイアウト
より効果の上がるDMを作成する場合は、デザインとレイアウトも重要な要素です。DMを見て「わあ!いいね」といった感動を届けるには「見た目」が大切です。
視覚的な要素に配慮し、DMを見た顧客が魅力的に感じてもらえるように工夫しましょう。効果的なデザインとレイアウトのポイントは、下記の5点を参考にしてください。
- 鮮やかなカラーや配色
- 読みやすい文字のスタイルや形状、大きさ
- 魅力ある画像やイラストを活用
- わかりやすいレイアウト、適度な余白
- URLやメールアドレス、QRコードなど
無味乾燥的なDMではなく、顧客層や個別の顧客に合わせて「カラーコーディネート」してみましょう。赤はセール時に頻繁に使われ、オレンジは元気な印象を与えます。また、店舗やブランドのイメージに合うカラーを選択する点も大切です。
顧客が読みやすいフォントで、重要な部分について強調しましょう。改行を適宜使って読みやすくします。視覚的なインパクトを与える画像やイラストも吟味して、メッセージを補完しましょう。
このほか、具体的な行動を促すには、情報を手軽に入手したり連絡したりできるひと工夫が必要です。たとえば、サイトやSNSのQRコードやメールアドレスなどをDM下部に設定します。
以上のポイントを参考に再来店を促進するDMを作成し、顧客との関係を深めながら実際の再来店につなげましょう。
DMのポイントはメリットと長期的なビジョン
DM作成時には、顧客が再来店に値するメリットを感じてもらう必要があります。また、顧客がDMを通じて長期的なビジョンを描けるかが重要です。
本章では、これまでの内容を整理しながら、DMで顧客にメリットと長期的なビジョンをもってもらうために必要な視点を確認します。
まずは、顧客にあたえるメリットを明確にしましょう。顧客がDMを受け取った際に、具体的なメリット(特典や割引、限定情報)を感じるように伝えます。
また、顧客自身が長期的なビジョンと将来的な見通しを持てるようにサポートします。顧客は、店舗と同じように自分の将来に期待をもっています。店舗からのDMを通じて、自分の目的を再確認したり将来像を描けたりするのは魅力的です。
店舗からの提案と顧客の望みが合致すれば、顧客との信頼関係を高められます。顧客が本当に必要とする商品やサービス、特典を確認できれば「このお店は私のことを大切にしてくれている」と実感するでしょう。
店舗の運営を円滑に、かつ発展させていくためには顧客が店舗に対する信頼感をもつのは重要なポイントです。顧客との関係性をよりよくできれば、優良顧客を増やすことにつながります。
DM戦略ではリスク管理も重要!
最後に、DM戦略におけるリスク管理について解説します。DMを通じて店舗に足を運んでもらうのは可能ですが、リスクがある点も承知しておきましょう。
DM戦略で高いメッセージ性のあるDMを作成、送付できたとしても、その後に何らかにトラブルが生じる可能性があるため、事前に対策を練って備えておきます。ここでは3点に絞ってリスク管理のポイントをお伝えします。
顧客の不満や不信感への対策
DMが違う住所に送付されたり顧客名を間違えたりして顧客からのクレームをもらわないよう、事前に顧客リストの確認をおこないましょう。
顧客がDMを好感的に受け止め来店してくれても、実際の商品やサービス内容に不満をもつことになればDM戦略の成功率を低めてしまいます。
DMを受け取った顧客には、DMで受けた印象以上の商品やサービスを提供する必要があります。日ごろから良質の商品を用意したり、サービスの向上を図ったりする姿勢を大切にしましょう。
マイナスコメントへの対応
顧客によっては、再来店で店舗に対するマイナスイメージをもつ可能性があります。SNS上にマイナスコメントが拡散されるかもしれません。発見した場合の対応をあらかじめ考えておくのは重要です。対策としては次のような対応が挙げられます。
- マイナスコメントを迅速に把握する
- まずは謝罪、必要であれば質問する
- 傾聴して真摯な対応をとる
- 顧客に応じた解決策を提案する
- 感謝を伝えて継続的なフォローアップをする
リスク管理で一番怖いのは、マイナス面に気づかず、そのままにしておく点です。常に情報把握に努め、発見した場合は即時に対応します。顧客の不満の内容によりますが、まずは謝罪し質問事項があれば真摯な態度でたずねましょう。
可能であれば対面で、もしも無理であれば電話やメールでのやり取りになります。ただ、電話やメールは対面と異なり、誤解を生じやすい方法でもあるため注意が必要です。顧客の話をよく聞き、不満を解消するために必要な手立てを考えます。
具体的な対応策を提示し、顧客が納得してもらえるよう丁寧な説明を心がけましょう。最後に顧客に対して感謝の気持ちを伝えます。
対応を誤れば店舗に対するイメージがますます悪くなります。しかし、店舗側が顧客目線で丁寧に対応すれば、顧客が店舗を支持する側へと変わる可能性があります可能性があります。優良顧客につながるチャンスだととらえ、誠実な対応を心がけましょう。
評価分析と改善策の実施
大きなリスクにならなくても、小さなリスクの積み重ねで大きなトラブルを招く場合もあります。こうした事態を回避するにはDMだけでなく、接客や商品開発、販売などあらゆるプロセスや手法について継続的に評価をする取り組みが重要です。
早めに改善点を見つければ、それだけリスクを回避できます。また、常に改善をしようとする姿勢は、商品やサービスをよりよくする結果となり、店舗の売り上げにプラスの効果をもたらします。
改善点を探し具体的な解決策を考える際は情報分析が欠かせません。定量的分析(数値データをもとにした客観的な分析)と定性的分析(アンケートやインタビューなどを用いた分析)の両方を実施して問題の原因を特定し、解決策のヒントを見つけましょう。
考え抜かれた解決策を実行し、その後も分析と評価を継続的に行うことは事業の成功につながります。
まとめ
DM戦略にあたってはDMを出す目的を明確に持ち、再来店させるための要素を把握するのが重要です。顧客の思いに寄り添う姿勢を保ち、個別のニーズに合わせたメッセージを作成・送付しましょう。
また、長期的なビジョンや顧客満足度向上のための戦略、リスク管理など、全体計画を立て、確実に実施することがDM戦略の重要な要素となります。
継続的な評価と改善を通じてDM戦略を最適化することで顧客に来店を促せます。本記事の内容を参考にしながら、具体的な戦略を立てて実践していきましょう。