営業をフェーズごとに管理!メリットとプロセス細分化のコツ

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営業フェーズとは営業のプロセスを表します。フェーズを管理すれば、業績や生産性の向上につながります。

しかし「営業の業績が思うように伸びない」「営業部全体の生産性が滞っている」などの悩みを抱える場合もあるでしょう。

そこで今回は営業フェーズについて確認し、営業をフェーズごとに管理するメリットをお伝えします。加えてプロセスを細分化して機能させるコツや留意点について解説します。

営業フェーズとは?

営業フェーズは、営業計画から商談成立までの流れを段階に応じて可視化したものです。

大まかにいえば3段階(フェーズ)に分かれます。1つめは営業計画を立て見込み客にアプローチするフェーズ、2つめは実際の営業つまり提案や交渉のフェーズ、3つめは契約に至るまでのクロージングフェーズです。

契約成立までの流れは簡単ではありません。成約には、案件の目的と方法を明確に設定する必要があります。設定しておけば目的から外れることはありません。外れたとしても直ぐに方向性の確認や改善ができます。

目的を設定した後、さらに細かな段階に分けます。各段階が1フェーズです。成約までの流れをフェーズごとに可視化すれば確実に目的を達成できます。

また営業フェーズは、自社商品・サービスの種類や企業規模などによって異なります。他社で成果を上げたフェーズが自社にそのまま通用するとは限りません。

実践して改善点が発見できればフェーズを調整し自社独自のスタイルを確立できます。

営業フェーズを管理するメリット

営業フェーズを管理するメリットを今回は4つに分けました。次をご覧ください。

・営業の現況を把握できる
・チーム全体の動きが分かる
・課題解決に活かせる
・業績や成約率のアップにつながる

1つめの「営業の現況を把握できる」とは、フェーズを管理すれば自分の動きを確認しやすくなることです。やる内容が明確になれば、顧客へのアプローチもしやすくなります。

一人でいくつもの案件を抱えている場合は、フェーズがあればスムーズに対応できます。

2つめの「チーム全体の動きが分かる」とは、チーム内の共有がうまく運ぶという意味です。自分の案件だけでなく他の営業スタッフの商談状況を把握していれば、問題が生じたとき即対応できます。また互いのプラス・マイナスを補う役目も果たします。

3つめの「課題解決に活かせる」は、事後処理的な観点を含みます。商談には破談もつきものです。残念ながら不成立となった場合もフェーズがあれば課題が明確に分かり次に活かせます。

つまり、細分化されたプロセスのうち、どこがどう悪かったのか検証できるのです。行き当たりばったりの営業方法であれば、失敗の分析は難しいでしょう。

4つめの「業績や成約率のアップにつながる」は、営業部全体で生産性の向上が図れるという意味です。個人の力量に任せるだけの手法より、全体で底力を挙げた方が効率的です。

プロセス細分化のコツ:5フェーズで可視化

営業フェーズの中身は、自社商品・サービスの種類や企業規模により異なります。商品・サービスに応じた細分化が必要で、中には9つほどのフェーズに分ける企業もあります。

今回は5つのフェーズを提案します。可視化がポイントです。BtoBの基本型となる内容ですのでご確認ください。

見極めるフェーズ

見極めるとは、商談すべき案件か見定めることです。例えば自社商品・サービスに興味があり「直接話を聞きたい」と先方の営業担当者から言われたとします。

即答の前に、しっかり見極める時間と場を設定しましょう。この見極めに使える条件がBANTです。

BANTとは、Budget(予算)Authority(決定権・決裁権)Needs(必要性)Timeframe(導入時期)をさします。以下に簡単に解説します。

・Budget(予算)…自社商品・サービスの価格と顧客側の予算が合っているか
・Authority(決定権・決裁権)…営業担当者は決定権があるのか、それともほかに決裁者がいるのか
・Needs(必要性)…顧客の求めるものと自社商品・サービスはマッチングしているか
・Timeframe(導入時期)…具体的な導入時期や見通しは立っているか

まず、見極め条件に合わせて各項目を洗い出します。実際に商談に入った際も確認すべき重要事項ですから目に見える形にしておきます。必ず上司や同僚と検討しましょう。

見極めをしなければ、商談が進んだ時点で「予算がなかった」「決済されない」という事態に陥ります。後戻りは時間と労力の無駄です。

見極めの際、双方にメリットがあるか確認するのも重要です。またデメリットがあればどうすれば改善できるか策を考えたりするなど総合的に判断します。

事前準備フェーズ

相手企業の経営状況や担当者からの情報をもとに、具体的なニーズを事前に整理・把握します。自社商品・サービスの押し売りでなく、相手企業のニーズに基づくものでなくてはなりません。

ニーズに合う商品・サービスの提供を第一と捉え、初期商談に向けた準備を進めましょう。コンタクトの取り方、アプローチの仕方、提案の順番なども検討します。

自社商品・サービスの価値が相手企業のニーズにどう応え、どのようなメリットをもたらすのかを軸に準備資料を整えます。

提案内容を価値づける情報や統計資料などは分かりやすく可視化してください。紙媒体だけでなくパワーポイントでデータ共有の準備もすすめます。

先方訪問フェーズ

初めて相手企業を訪問する際は、信頼関係づくりを第一に考えましょう。雑談を交え親近感を与えられるようトークに気を配ります。

自社商品・サービスの提案に早速入りたいところですが、そこはぐっと我慢。まずは相手の話にしっかりと耳を傾け、適宜質問します。

事前準備の内容が、話にそぐわない可能性もあるでしょう。準備段階での先方ニーズと視点がズレていた場合、率直にその旨を伝え出直すことも考えられます。

その際、貴重な時間を再び割くことがないよう、しっかりヒアリングしてください。大きな案件であればあるほどヒアリングは重要です。

先方の抱える課題を整理し、自社が提供可能な商品・サービスは何がよいか検討します。

また「どのくらいの数量をいつ頃提供できるのか」先方の予算や自社の収益を軸に見通しをもたせます。

見極めや事前準備フェーズで自分がまとめた資料を提示する場合も、信頼関係づくりが大切です。丁寧なヒアリングを心がけ、案件の具体化をめざします。

提案と見積りフェーズ

営業担当者のスキルがもっとも必要になるフェーズです。

最初の訪問でじっくりヒアリングし相手のニーズを把握したうえで、自社商品・サービスの選択、提案書の作成に入ります。つまり案件の具体化・可視化です。

この際「相手企業が求める商品・サービスの提案書」と「相手企業のニーズを深掘りした提案書」の2点を用意すると効果的です。課題にむけた双方のギャップを埋めたり視点のズレをなくす役割を果たします。

商談での質疑応答で、案件がさらに具体的になれば双方のメリットになります。また、この場でもBANTの確認をしましょう。BANTを共有しつつ、案件や見積り内容を具体にしていきます。

クロージング・成約フェーズ

何度か商談を重ねて案件内容が明確になり、ニーズの解決やBANT条件もそろったところでクロージングに入ります。

クロージングの際は、契約内容や支払金額、決定・決裁者の承認、商品・サービスの導入時期など、契約に必要な情報を事前に確かめておきます。

加えて、購入後の商品・サービスがどのように相手企業の課題を解決するのか説明します。先方が事後のストーリーを描けるかどうかは重要です。

なぜならストーリーで商品・サービスを価値づけられるからです。相手企業にとって今後業績をのばせるという自信につながります。もしも先方が迷っている場合、後押しの一言を発せられるかどうか、営業担当者の腕の見せどころです。

また、アフターフォローは必ず行います。成約後何も連絡がないというのは相手企業に不安や不信感を与えます。事後対応までフェーズに含まれると捉えてください。

営業フェーズを機能させるために

営業フェーズを有効に機能させる視点として3つお伝えします。社内、社外との関係、そして営業フェーズツールの活用です。

まず、営業フェーズを用いた際の社内における留意点をお伝えします。

営業フェーズを営業部で共有し可視化するのは、業務の効率化や成約率のアップにつながります。個人だけでなく営業チーム全体のスキルアップになるのです。

ただ、可視化によるデメリットはあります。優劣が顕著になりやすいという点です。

営業フェーズが明確であれば、優秀な営業担当者のスキルを学ぶ機会を得られます。しかし、営業成績が伸びない担当者がいれば、フェーズの可視化がマイナスに働く場合もあります。自信を失う可能性があるからです。

上司がマイナス面を指摘し過ぎたり、個人の成果をおおっぴろげに評価したりすれば、チーム全体がギスギスした雰囲気になりモチベーションの低下につながります。

営業フェーズを機能させるには、やはりマンパワーが重要なポイントになるのです。特に上司の役割は大きいといえます。

例えば、一人のよさを他の人が共有できるようなチーム編成を考えたり、うまくいかない担当者を面倒見の良い先輩とペアにしたりするなど工夫します。相性を加味しながら温かくも機能的なチーム作りをするのです。

つまり営業フェーズは人を管理するというより業務を管理するという点を忘れないようにしましょう。

もう一点は、相手先との関係性に関する留意点です。アフターフォローの姿が営業の本質といえます。事後対応こそ”最終フェーズ”であり、新たな商談の始まりと考えます。

案件が成立したとしても、顧客との本当につながり・付き合いは「ここから始まる」と捉えるのです。

商品・サービスを使った消費者の声を分析したり改善したりするプロセスを相手企業と共有する姿勢が大切です。そこから新たな提案が生まれる可能性もあります。

また特に大企業の場合、一つの部門との取引が開始されると、他部門あるいは子会社との取引につながりビジネスチャンスが広がります。

営業フェーズで最初の取引成立につなげられた場合は「ここからが新たなスタート」と思い、事後対応を丁寧に進めましょう。

最後に、管理ツールの導入についてです。第三者的、多面的な視点を増やすことで営業フェーズをさらに具体化できます。また客観的にフェーズ評価できるため業務の効率化に活かせます。

例えば、SFA(セールス・フォース・オートメーション)。こちらは、営業活動の可視化や一部の業務の自動化を目的とした営業支援ツールです。

SFAには過去の商談履歴や案件の進捗を記録する機能があり、データをもとに分析・活用して業務の効率化を図れます。

また、自社と他社企業の関係性・コミュニケーションを可視化して一元化を図るシステムがあります。それがCRM(カスタマー・リレイションシップ・マネージメント)。社内フェーズだけでなく社外との関係性について可視化できれば、業務全体を一元化できます。

このように、営業フェーズを機能させるには「社内の人間関係づくり」「社外との継続的な関係性」が重要で、場合によってはツールの導入も考えましょう。

営業フェーズは生産性の向上につながる

営業プロセスの作成で営業活動が可視化されると、営業担当者が主体的に動きやすくなるばかりでなく、営業チーム全体の底上げにつながります

生産性が上がり効率的な業務遂行が達成されれば、成約率や業績が向上します。また、効率化により新たな案件・提案ができるようになり、他社とのつながりも深められます。

社内だけで管理するのが大変な場合は管理ツールを活用して対応しましょう。試行錯誤しつつ、ぜひ自社独自の営業フェーズを確立してください。

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