オンラインセールスがもたらすメリットと導入時の4つの注意ポイント

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オンラインセールスは、Webツールを活用した営業方法です。コロナ禍でテレワークが普及するにともない多くの企業で導入が進みました。

今回はまず、オンラインセールスの概要と選ばれる背景を整理します。続いてオンラインセールスのメリットを洗い出し、フィールドセールス(対面営業)とは異なる視点や注意点も説明します。

オンラインセールスによって企業の収益化を図りたいと考える方にとって必要な情報です。ぜひ最後までお読みください。

オンラインセールスとは?

オンラインセールスとは、ZoomやTeamsなどのWeb会議ツールを使いながらパソコンやタブレットで商談を行う方法です。従来からオンラインセールスを活用する企業はありましたが、コロナ禍によって一気に導入が加速しました。

対してフィールドセールスは顧客に会って商談する営業手法です。フィールドセールスは顧客と直接ヒアリングができるため、信頼関係を築きやすいのがメリットです。ただし、移動時間がかかり一日の営業件数に制限があるのがデメリットといえます。

ほかにオンラインセールスと同様、職場や自宅で行う営業法としてインサイドセールス。インサイドセールスでは、Webツールのほかに電話やメールを使って顧客にアプローチします。

つまりオンラインセールスはインサイドセールスの一部といえます。非対面ですが顧客と情報共有ができ、しかも移動がなく時間を有効に使いながら営業活動ができるのです。生産性が高まるため、企業の収益化に好影響を与えるといえます。

オンラインセールスが必要な背景

2019年末から始まった新型コロナウイルス感染の影響で、多くの企業が営業手法の見直しを余儀なくされました。対面で営業活動ができないため、会社にツール導入や環境整備を施したり在宅ワークを推奨したりするようになったのです。

実際コロナ禍以前に、SFA(営業支援システム:顧客管理と営業の領域の一元管理ができるツール)などITによる営業のシステム化が進んでいました。背景に労働市場における人材不足があります。コロナ禍によってその流れが一気に加速したといえるでしょう。

オンラインセールスは、少ない人材で効率的に営業活動を回していくうえで必要な営業法です。また次章でお伝えするように明確なメリットがあり、企業活動を活発化させる糸口になります。ポストコロナ時代においても重要性は高まっていくでしょう。

オンラインセールスがもたらすメリット

オンラインセールスがもたらすメリットには大きく3つあります。「時間やコストの削減」「営業エリアの拡大」「営業業務の可視化」です。

時間やコストの削減

オンラインセールスは、フィールドセールスと異なり移動時間や出張旅費を節約できます。

フィールドセールスでは一日で回れる案件数が限られ、時間をやりくりするのが大変でしょう。

オンラインセールスは、移動時間を別の商談に組み込めるため一日の案件数を増やせます。もちろん移動の必要がなく交通費もかかりません。

時間のやりくりができれば、情報収集や商談準備などの時間に当てられます。つまり商談そのものの質を上げ成約数の向上につなげられるのです。ビジネスパーソンのスキルが磨かれ商談数が増えれば、企業の収益は上向きになるでしょう。

営業エリアの拡大

オンラインセールスがもたらすメリットの2つめは営業エリアの拡大です。オンラインセールスはインターネット環境が整えば、どのような顧客とも商談ができます。場所を理由に取引を断念していた企業との商談もできるのです。

また国内だけでなく海外との商談も可能になります。市場の成熟化にともない顧客のニーズは多様化しグローバルな視点も加わりました。

自社商品・サービスの強みを構築し競合他社との差別化を図れるのなら海外に目を向けるのも一案です。アプローチできる顧客が世界規模となれば受注機会が増え売上を伸ばせます。

営業業務の可視化

企業内の部門がいくつもあれば、市場調査や顧客情報、実際のセールスの状況を共有するのは難しいでしょう。しかしオンラインセールスでは営業ツールの導入により、例えばマーケティング部門と営業部門の情報共有が可能になります。

前述のSFA(Sales Force Automation営業(活動)支援システム)は、営業スタッフの行動や商談の進捗、成果などの情報を蓄積・管理するシステムです。

SFAによるデータの可視化により、チーム全員で情報共有がしやすくなります。また互いの進捗状況が把握できるため、うまくいかない商談案件をチームで話し合ったり一人が急に休みとなっても補ったりできます。

SFAによる可視化は、一個人に偏りがちな営業業務の共有を可能にするだけでなく、顧客にとってもメリットがあります。チーム一丸となって提案内容を吟味できるので営業の質を向上させるからです。担当スタッフが休みでも別のスタッフが代わりに対応できるので商談の停滞を防げます。

オンラインセールス導入時の注意ポイント4選

本章では、オンラインセールスを導入する場合、注意すべき4点を解説します。オンラインセールスのよさをさらに活かすための視点です。

リアルな状況を意識する

オンラインセールスの成功は、いかにリアルな状況を作りだせるかにあります。IT業界や広告業界などはWeb上で情報提供が可能ですが、食品や小売業の営業では実際に五感を使って確かめたい場合がありるでしょう。

肌触りや味覚、嗅覚などはその場でないと実感できません。また視覚情報も実際の印象とオンライン上とでは異なるでしょう。つまりオンラインセールスのデメリットは商品そのものを提示し商品の強みを充分に伝えられない点だといえます。

対策としてフィールドセールスとの併行営業がおすすめです。商談の始めと一押ししたい成約直前に対面による商談を設定しましょう。

また資料作成や提示段階で視覚に訴える材を用意したり、画面に移る背景や自分の姿を整えたりします。自分の話し方や声質、声量に注意を配るなど聴覚に関する改善点を克服しましょう。リアルな状況を作るにはフィールドセールス以上に努力が必要です。

インターネット環境を整備する

オンラインセールスは環境がしっかり整えられてこそ実現するものです。インターネット回線の影響を受けやすく、いつ何が起こるか分からないリスクがある点は承知しておきましょう。

接続が悪くて商談中映像が止まったり音声が途切れたりすれば、自分自身も焦りますが顧客はもっと不安になります。音声やカメラの設定状況を事前にしっかり確認したいものです。

インターネットの接続状況だけでなく、映像や音声の質を確保します。見やすく聞き取りやすい状況は顧客も安心です。印象のよさは成約率のアップにつながります。場合によってはカメラやマイクを新たに購入し万全の態勢で臨みましょう。

また相手にどう伝わっているのか分からない場合があります。社内で映像や音声の質を確かめるなど念入りに環境整備に努めてください。

チームで協力・共有する

インターネット環境が整いツールの導入を推進しても、テクノロジーに長けている人ばかりではありません。システム導入の前に、営業スタッフの意見に耳を傾け抵抗感をなくしたり、導入にあたって研修を行ったりすることも必要です。

貴重な人材がフル稼働できるよう比較的操作のしやすいシステムを選択しましょう。数回の研修で終わらず、その後のフォローをしっかり行います。

例えばフィールドセールスで業績を上げてきた営業スタッフが、Webシステムに慣れず業績を上げられないケースも考えられます。モチベーションを失わないようきめ細かなサポートが重要です。

オンラインセールスには、チーム内での共有が図れるというメリットもあります。フィールドセールスで業績を上げたスタッフを中心に、フィールドのよさをいかにオンラインにつなげるのか話し合うのもいいでしょう。営業の質を向上させるのに役立ちます。

信頼関係づくりを第一に

オンラインセールスでもフィールドセールスと同じく関係づくりは重要なポイントです。オンラインセールスで時間とコストを削減し業務の効率化ができたとしても、信頼関係が構築できなければ長続きしません。

顧客によってはコミュニケーションスタイルを変えたくないという方もいます。またIT業界や広告業界は比較的導入しやすい業種といえますが、業種や商材によってはオンラインセールスの方が効率が悪い場合もあるでしょう。

便利さはあってもむやみに顧客に押し付けるようなことがあってはいけません。オンラインセールスで商談するメリットを共有したり、顧客に応じて営業スタイルを変えたりするなど柔軟に対応しましょう。

オンラインセールスを成功させるには

オンラインセールスを成功させるには、そのよさを本当に理解できるかにかかっています。

「やっぱりフィールドセールスがいい」とする方はオンラインセールスの魅力を感じ切れていないからでしょう。成果が上がらないからオンラインセールスはダメだと結論づけているのです。

しかし企業側にとってオンラインセールスのメリットが大きいのは事実です。時間と経費のコスト削減による商談件数の増加や成約率の向上が収益化に直結します。オンラインセールスの成果を実感できれば「ダメだ」とするスタッフは減るでしょう。

確かにフィールドセールスの手法がオンラインセールスで通用するかといえばそうでもありません。前述したようにオンラインセールスには「リアルを実現するには難しい」「信頼関係を築きにくい」「WebやITに関する知識やスキルが必要」など解決すべき課題があります。

ほかに「熱量や思いなどが伝わりにくい」というデメリットがあります。実は人間の脳には相手の情報を「感覚」で受容し理解しようとするメカニズムが備わっているといわれます。

例えばフィールドセールスで営業スタッフが熱意をもって商品をアピールすれば、少なからず顧客の心は動くでしょう。それは人間の五感のうち身体感覚に訴えられるからです。対してオンラインセールスで身体感覚に訴えるのは難しいのが現状です。

ただ「だからオンラインセールスはダメだ」と即断するのではなく「だからこそオンラインセールスで○○を重視すべきだ」と前向きにとらえたいものです。

つまり五感の視覚・聴覚情報を充実させます。自分の服装や表情、背景だけでなくプレゼン資料の視覚情報を見やすくする、声の高さや話す速度などの聴覚情報を磨く、などです。

またフィールドセールスで使うトーク術はオンラインセールスでも重要です。それ以上の表現力・語彙力が必要になるケースがあります。例えば、対面で商品の味を確かめてもらうにしろ、前もって商品のアピールを言葉で伝えるケースがあります。

その際「このスイーツは甘さ控えめですが濃厚な味わいです」は普通…。それを「このスイーツは甘さを10%ほど抑えていますが、食べたあとも余韻を楽しめるような味わいです」と表現するなど工夫を加えます。

つまり話し方、トーク術というより言葉の表現そのものを磨くイメージです。この姿勢でオンラインセールスをすれば身体感覚や味覚、嗅覚に頼らずとも商談の質を上げられます。

言葉を丁寧に選び一語一語に心を込めて商談を行いましょう。それが信頼関係の構築や成約率の向上につながります。

まとめ

今回はコロナ禍で導入が進んだオンラインセールスについて解説しました。オンラインセールスはインターネット環境や営業スタッフのスキルが整えば、スムーズに導入でき効果を期待できます。

フィールドセールスのメリットであるリアルさや信頼関係をオンラインセールスで構築するには難しいのも事実ですが、改善の視点はあります。営業チームでよりよい商談について話し合ったり営業システムによる進捗や成果の共有を図ったりするのです。

またシステムの導入は営業業務を円滑にしますが、信頼関係づくりに言葉は重要です。よりよい関係を構築するには言葉の豊かさも鍵になります。この視点を忘れずにオンラインセールスのレベルと成約率の向上をめざしていきましょう。

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