テスクロ(テストクロージング)とは?使いこなして営業力アップ!

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テスクロ(テストクロージング)は、商談の途中で商品やサービスを購入する意思があるかどうかお客様に確認することです。具体的な商品説明あるいは費用の提示に入る前に行います。

既にテストクロージングを使いこなしている営業パーソンがいるかもしれません。ただ、テスクロが分かっても「テスクロの目的や効果をしっかり把握したい」「テスクロを使いこなすためのコツを知りたい」と思う方はいるでしょう。

そこで今回は、テスクロの目的や効果を再確認し、営業の場面の活用方法や注意点などを解説します。使いこなせば、自社とお客様双方にとってメリットとなり業績アップにつながります。ぜひ最後までお読みください。

テスクロ(テストクロージング)とは?

商談の際に使われるようになったテスクロ。冒頭でお伝えしたように、テスクロとは、商談の途中で自社商品やサービスを購入する意思があるかどうか確かめるトーク法です。対してクロージングは、商談の終わりに意思を確かめる最後の一押しといえます。

自社商品やサービスを説明し、お客様の反応がいいと感じたところでクロージングに入ったとします。そのときになって「やっぱり購入しません」というお客様の言葉を聞けば、かっがりするでしょう。

クロージングまでの時間や労力が無駄になってしまう…。しかし、テスクロを使いこなせば、早めの段階でお客様の意思を確認できます。ほかの商材を案内したり、次の見込み客へのアプローチに入ったり…と可能性を広げられるのです。

次の章でテスクロの効果について詳しく説明します。

テスクロ(テストクロージング)の効果

効果の1つ目は会社側の視点です。テスクロは、時間と労力の節約、販売促進の拡張などの効果を生み出します。2つ目の視点はお客様の視点です。お客様は、ほかの商品やサービスを選んだり検討したりする機会を得られます。つまり、テスクロは自社とお客様、双方にとってのメリットとなるのです。

ここでは、2つの要素をもとにテスクロの効果をまとめます。要素とは、購買意欲と時間の2つです。

要素1:購買意欲

テスクロによってお客様の購買意欲が見えてきます。購買意欲とはお客様の本音です。たとえば「紹介した商品やサービスを購入する意思があるのかないのか」「商品やサービスに対する不安や懸案事項があるのかないのか」などです。

お客様の購買意欲がわかれば、自社にとって明確なニーズの把握につながります。また、より具体的あるいは別の案件を紹介するチャンスに生みます。

お客様にとっては、早めのクロージングで購買意欲を確認されると安心感を得られるでしょう。お客様は、もしかしたら「本当に自分(会社)に合っているのか」「もう少し安い商品があればいいのに」と思っているかもしれません。

テスクロで確認されると「実はね…」と本音を言いやすくなります。つまり、テスクロは、自社側とお客様双方の購買意欲に対する温度差を確認できる営業トーク法なのです。

要素2:時間

要素の2つ目は時間です。自社にとってもお客様にとっても時間は重要で、営業の内容次第で時間の価値づけが変わってきます。

お客様がまったく購入する意思がないのに「一応説明しよう」「仕事だから」と思って自社商品・サービスを延々と説明しては時間の無駄になります。

お客様は「実は全然興味がないのに…でも何だか断りにくい雰囲気だな…」のように、もやもやした気持ちで商品説明を聞くことになります。テスクロで意思確認されないため、貴重な時間を割いてしまうのです。

これでは後味が悪く実りのない商談となります。しかし、テスクロを用いれば貴重な時間を無駄にすることはありません。

テスクロ(テストクロージング)ができる営業

営業は相手先によって対応の仕方を変える必要があります。BtoC営業(企業と消費者間の営業)やBtoB営業(企業どうしの取引営業)あるいは誰が決裁権をもつかによっても変わってきます。

決裁権が明確である場合、たとえば個人「顧客=決裁者または世帯主」や企業「営業担当者=決裁者」の場合は、テスクロが有効に働きます。個人で商品やサービスの購入をするかしないか決められるためです。

しかし、複数の担当者が商品やサービスの導入検討をする法人営業の場合は、テスクロの有効性は低くなるといえます。担当者が社内会議に持ち込んで再検討するケースが多いためです。

テスクロを使う際は、相手先の事情を念頭において進めましょう。

テスクロ(テストクロージング)のタイミングは2つ

テスクロを用いる際は「タイミング」が重要なポイントです。商談のなかでは「商品・サービス説明の前」と「費用・価格を案内する前」の2回あります。絶妙なタイミングでお客様の購買意欲を高めましょう。

商品・サービス説明の前

商品やサービス内容を説明する前にテスクロを取り入れます。このタイミングでテスクロを使うのは、お客様が自社商品やサービスを本当に買いたいと思っているのか、購買意欲を確認するためです。

購買意欲の様相が分かれば、商談の方向性を確認できます。たとえば「購入意欲100%」「購入したいが予算面で心配」「ほかの商品を案内してほしい」「ほぼ購入しない」などの段階に分けられます。

ただ、1回目のテスクロで方向性が分かったとはいえ、お客様に「売り込み」をかけるのは避けたいところです。お客様の興味がどれくらいなのか確かめる程度にします。

・これから商品の詳しい説明をいたしますが、ご興味はございますか?
・弊社のサービスについて細かな点までご説明する前に、何か心配なことはございますか?

お客様の立場に寄り添うイメージで、やんわりと確認しましょう。

費用・価格を案内する前

1回目のテスクロで、お客様が自社商品やサービスの内容に興味をもっているのが確認できたら、詳しい説明に入ります。

お客様が「ぜひ商品を購入したい」「予算の調整は必要だけど利用してみたい」と感じてもらえるような説明を心がけます。次に提示するテスクロは、具体的な費用や価格の提示の前に行いましょう。

早く買ってもらいたいと思って、早急に金額の話を出すのはおすすめできません。金額は確かにお客様の関心事です。しかし、それ以前に本音やニーズを把握し、金額以外の懸案事項を解決する必要があります。

もしも金額の情報を伝えてからテスクロに入りたい場合は、他社の費用感や業界の価格帯を伝えます。お客様のなかで「だったら…」「やっぱり…」という判断が生まれ、商品やサービスの購入意図が明確になるためです。

2回目のテスクロは次のようにしてみましょう。

・商品の説明は以上になりますが、現時点でお聞きしたいことはございますか。
・お客様の条件に合うようでしたら、ご利用いただけそうですか。

今の時点でお客様が商品やサービスの購入をどのように考えているか確かめます。費用や価格の話は、お客様にとってリアルな話題となるため、テスクロで不安や緊張感を和らげるのです。

テスクロ(テストクロージング)営業トーク術3選

タイミングよくテスクロを取り入れて、お客様の心を解きほぐしつつ商品やサービスの購入へとつなげていきたい…。ここでは、テスクロが効果を発揮するためのコツを3つ解説します。

お客様に寄り添うトーク

営業の目的は、自社にとっては商品やサービスの購入につなげること、お客様にとっては商品やサービスで生活を豊かにできることにあります。

ただ、双方のメリットを念頭に営業をしても、ときに「買わせようとしている」「やり方が強引だ」とお客様が感じてしまうケースも少なくありません。

営業パーソンは「お客様に話を聞いてもらおう」「何がなんでも買ってもらおう」という「してもらう」精神から脱却しましょう。お客様の気持ちや状況を理解しようとする姿勢が重要です。

お客様が考えたり黙ったりする時間さえも大切にします。たとえば次のようなトークを参考にしてください。

あなた:…ご購入についてはいかがでしょうか?
お客様:う~ん…ねえ… (この間を待つ) 費用がねえ…
あなた:そうですね、確かに他社様でそのようにおっしゃる方も多いです。無理にご購入いただく必要はまったくございません。

お客様が事後に後悔しないサービスを提供したければ、当然の内容といえます。「ご縁が無かったということで…また何かございましたら、いつでもご相談ください」など次につながるトークで締めくくりましょう。

お客様のイメージを膨らませるトーク

お客様自身が「その商品やサービスがある生活」をイメージできるようなトークにします。お客様のイメージを膨らませるとは、予算や契約方法などの情報ではなく「心が動く」ような質問や情報を提供する意味です。たとえば次のようなトークを紹介します。

あなた:もしも弊社のホームページ運用代行サービスで1日数時間のゆとりが生まれたとします。どのように時間を活用できるでしょうか。
お客様:そうですね…顧客対応や商品開発の時間に当てられますね。
あなた:なるほど…たった1時間でも顧客サービスの時間にあてたり、アイデアを収集したりできそうですね。

たった数分間の営業トークで、お客様が「運用代行サービスを使った場合の自分の姿」を想像でき購買意欲を高められます。確認は、費用を話す前のテスクロで可能です。

お客様に選択肢を与えるトーク

商談の場面でよく使われるのが、お客様に選択肢を与えるというものです。A商材のみ説明して終わり…ではなく「AだめならBもCもあります」のように選択肢がある旨を伝えると、お客様の購買意欲をキープできます。

まず、テスクロで購入の意思を確認し、それに続く内容として次の例のようにトークを進めましょう。

あなた:お客様の条件に合うようでしたら、ご利用いただけますか。
お客様:そうですね…。ちなみに費用はおいくらですか。
あなた:税込みで25万円となります。
お客様:う~ん…このプランは予算からすると…ちょっと難しいです。
あなた:なるほど…。確かに費用については、ほかのお客様からも”安くはない”という声をいただいております。そのお客様には別のプランをご案内しております。

このように、お客様の気持ちに添い、プライドを傷つけないよう考慮しながら別の選択肢を提案するのです。お客様に購入意欲があり課題が予算であるなら、解決の糸口をいくつか提示しましょう。

テスクロ(テストクロージング)の際に注意すること

ここでは、テスクロを行う場合の注意点を説明します。まず、テスクロの目的や効果を忘れないようにしましょう。テスクロを使う際は、単なる意思確認としてではなく、意思の背景に目を向ける姿勢が重要です。

つまり「なぜ買おうと思うのか」または「なぜ買わない(買えない)と思うのか」と聴く姿勢が大切なのです。買う買わないの事実より、その理由に焦点を当てます。

お客様の心の奥、本音に近くなればなるほど、お客様のニーズが顕在化します。そして営業トークの質も向上し、自社とお客様双方にとってのメリットは大きくなるでしょう。

また、1回の営業で購入へつなげられなくても、次に活かせる材を得られたら成功です。逆に営業感を出しすぎるのは問題です。お客様は営業感を即座にキャッチします。

一度営業感を抱いたお客様は、心を閉ざしてしまいます。テスクロ、そして一連の営業トークでは、自分の「売りたい」気持ちを抑え、お客様を「よりよく理解する」姿勢へと転換させることが重要です。

まとめ

テスクロ(テストクロージング)には、購買意欲の確認や無駄な時間や労力の削減というメリットがあります。タイミングやコツなど、各種ポイントを押さえて、営業場面で実践しましょう。

しかし、テスクロの目的を念頭におくのは忘れないようにします。テスクロの目的とは、お客様の購買意欲の有無を知りつつ、その背景に迫る…つまりお客様をよりよく理解することです

たとえ購買につながらないとしても、お客様が商品やサービスに興味をもち、営業パーソンその人に信頼感をもつようなクロージングが望まれます。その積み重ねが、実際の購買へとつながるのです。

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